☆「覆面のパロディ画家」バンクシーの作品 イギリス裁判所で物議
けさ7時30分ごろ、金沢の自宅前の道路を登校する子どもたちのいつもの声が聞こえてきた。雨が結構降っていたが、その雨音に負けない子どもたちの元気な声だ。石川県内は、前線の影響で一時、大雨や洪水の警報が出されていたが、きょう8時すぎにすべて解除となった。日中は時折晴れ間ものぞく和らいだ天気だったが、気象台によると、このあとも大気の不安定な状態が続く見込みとのこと。

話は変わる。「覆面のパロディ画家」として知られるバンクシー。公共空間にスプレーと型紙で作品を描き去るストリートアーティストだ。ことし4月に金沢市内のデパートで「バンクシー新作版画展」の鑑賞に行ってきた。中でも面白かった作品が「JUDO」=写真・上、版画展チラシより=。柔道少年が大人の柔道家を投げるシーンが描かれている。2022年11月にウクライナの首都キーウ近郊にある街で発見された作品という。同年2月に始まったウクライナ侵攻でロシアは世界から批判にさらされることになる。プーチン大統領は柔道家としても知られる。少年がウクライナで大人の柔道家がロシアと見立てると、この絵は「ロシアに負けるな」というウクライナに対する応援メッセージと読み取れた。

バンクシー作品がまたメディアで話題になっている(※写真・下は、9日付・BBCニュースWeb版より)。バンクシーが9月8日に発表した新作。イギリス王立裁判所が入居する複合施設、クイーンズ・ビルディングの外壁に描かれた。イギリスの裁判官の衣装である黒いローブとかつらを身に着けた人物が、プラカードを掲げた抗議者を小槌で殴りつける様子が描写されている。抗議者は地面に横たわり、プラカードには血を思わせる赤い飛沫が飛んでいる。今回の壁画は9月6日にロンドンで行われたパレスチナ支持のデモで900人が拘束されたことへの抗議だという。
ただ、新作が発表されてすぐに、作品は大きなプラスチックシートと金属製バリケードで覆い隠され、2人の警備員による厳重な防御体制が敷かれていた。そして9月10日の朝、顔を覆い隠しヘルメットをかぶった業者によって、壁画は削り取られ、塗料で塗りつぶされたという。
バンクシーは大量生産や消費社会、そして時事性のある事柄を風刺してきたアーティストだ。今回、壁画は削り取られ、塗料で塗りつぶされたとなるとある意味でもったいない。ある見立てでは、壁画は最大500万ポンド(約10億円)で売れた可能性があったという。この一件でバンクシー作品の価値がさらに上がったようだ。
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