2025年 9月 6日の投稿一覧

★秋の夜長楽しむ「ひやおろし」 被災した奥能登の7銘柄も醸造

★秋の夜長楽しむ「ひやおろし」 被災した奥能登の7銘柄も醸造

残暑の酒、秋の限定酒、あるいは秋の夜長の酒とでも言おうか、石川県ではこの時節の日本酒が造られる。「ひやおろし」だ。冬場に仕込んだ酒を1度だけ火入れして保存し、夏の間は酒蔵でじっくり寝かせて熟成させ、この時季に瓶詰する。まろやかな丸みのある味わいが特徴で、ひやおろしを待ちこがれる酒通も多い。

酒通の知人から聞いた話だが、ひやおろしの歴史は古く、江戸時代の初期のころからあるそうだ。そもそも、ひやおろしの語源は日本酒で常温のことを「冷や」と言い、その状態で「卸す」、つまり蔵出しすることを意味する。江戸時代から秋の風物詩として親しまれていたようだ。

石川県の酒造メーカーでも個別にひやおろしの伝統を守ってきたところもあったが、2007年からは石川県酒造組合連合会が卸売酒販組合や小売酒販組合と連携して一斉販売を始めた。ことしは酒造メーカー23社が参加し、秋限定の日本酒「石川ひやおろし」を共通のレッテルとして、きのう5日に一斉発売した=写真、金沢市内のス-パーで撮影=。23銘柄はいずれも720㍉㍑入りで価格は1650円から2420円。メディア各社の報道によると、酒販店からの予約は前年とほぼ同数の3万4030本で好調のようだ。ひやおろしの販売は10月末まで。

去年元日の能登半島地震で被災した奥能登(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)からは前年より2社多い7社の酒造メーカーが「ひやおろし」に参加した。奥能登の酒造メーカーで酒蔵が倒壊したままとなっているところもあり、連携する加賀地方の酒蔵で醸造しているようだ。

ひやおろしに合う料理と言えば、なんと言っても9月1日に日本海側で解禁となった底引き網漁の新鮮な魚介だろう。刺身では甘エビやガスエビの甘さが、ひやおろしのまろやかな丸みのある味わいと合う。酒と料理のマリアージュで秋の夜長が楽しめる。

⇒6日(土)夜・金沢の天気  はれ