2025年 9月 3日の投稿一覧

★石破総理の発言に翻弄されるメディア 読売の検証記事から

★石破総理の発言に翻弄されるメディア 読売の検証記事から

ドル円相場で急に円安が進んでいる。きのう午前中は147円だったが、午後にかけて148円に、さらに149円に迫ろうとしていた。きょうも148円台後半で値動きしていた。この円の値動き誘引したのが政治情勢だ。自民党幹部の辞意表明で日本の政治が不透明になるとの見方から円売りが進んだようだ。

もう少し詳しく見てみる。自民党の森山幹事長は2日午後の両院議員総会で、7月の参院選で大敗した責任をとる形で辞意を表明し、小野寺政調会長や鈴木総務会長も辞任するとの意向が伝えられた。そして、自民党総裁の石破総理は総会で「地位にしがみつくつもりは全くない。責任から逃れず、しかるべき時にきちんとした決断をする」(メディア各社の報道)と語った。これが、日本の政治情勢に不透明感があると世界に伝わり、円売り・ドル買いにつながったようだ。

話は変わる。読売新聞はきょ3日付の1面で、7月24日付の1面で「石破首相退陣へ」と報じたことの検証記事を掲載している=写真=。それによると、石破氏は7月22日夜、日米関税交渉が合意に達した場合には「記者会見を開いて辞意を表明する。辞めろという声があるのなら辞める。責任は取る」などと周囲に明言したことを踏まえて報道に至った。しかし、報道の後に石破氏は「態度を一変させた」と指摘。「翻意する可能性への思慮が足りなかった」として「結果として誤報となったことを読者の皆様に深くおわびします」と検証記事で記している。

「態度を一変」「翻意する」ことの背景には石破氏の責任を取らない性格がにじんでいるのではないだろうか。「ヒゲの隊長」として知られる、前自民党参院議員の佐藤正久氏(元陸上自衛隊イラク先遺隊長)がテレビ番組(先月30日・ABC番組『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』)で面白いことを語っていた。2003年12月、イラク先遣隊を派遣する際の防衛庁長官は石破氏だった。当時の世論はイラク派遣反対の声が高まっていて、防衛庁の正門には反対デモが行われていた。派遣にあたって佐藤氏ほか多くの隊員は家族と涙の別れをして、多くの隊員が遺書を書いていた。出発に当たって石破長官は反対デモとのもめ事を避けるために先遣隊に(正門でなく)裏門から出なさい、と指示した。

その時、佐藤氏は「我々の名誉や誇りはどうなるんだ」と怒りを込み上げたそうだ。それを同席していた自民党議員が石破氏に猛反対し、裏門ではなく堂々と正門から出ることになった。デモ隊とのもめ事を回避するため、逃げの姿勢がこの一件で見えたという。そして、「責任を取らない」「トップの器ではない」と石破氏を批判していた。

前述した「態度を一変」「翻意する」こそ、まさにこの責任を取らない姿勢ではないだろうか。「誤報」と言うより、読売新聞は石破氏に翻弄されたのだろう。

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