2025年 8月 11日の投稿一覧

★不祥事の処分と公表は早めに 悪評が拡散するSNSの時代

★不祥事の処分と公表は早めに 悪評が拡散するSNSの時代

スポーツ紙をはじめメディア各社が大々的に報じている。夏の甲子園で10日、1回戦を勝ち上がり2回戦を控えていた広島代表の広陵高校が出場辞退を発表した。報道によると、発端はカップラーメンだった。ことし1月、硬式野球部の寮で禁止されているカップラーメンを食べた1年生部員が複数の2年生部員から殴るなどの暴力行為を受けた。学校側から報告を受けた日本高野連は3月、同校に対して厳重注意の処分を出していた。

ところが、同校が夏の甲子園出場を決めた7月下旬以降、この暴力事案に関する様々な情報がSNS上で拡散し、一部報道もされた。今月5日に大会が開幕するとさらにSNSで上でエスカレートし、高野連は厳重注意の事案があったことを公表。同校は1回戦が行われる前日の6日になって暴力行為を初めて公表した。7日の1回戦で旭川志峯高(北北海道)に勝利。この日、高野連は同校の監督やコーチらによる暴力を訴える別の元部員からの情報提供があったことを発表。同校も「第三者委員会を設置して現在調査中」とした。9日には同校が緊急理事会を開き、出場辞退を決め、10日に同校の校長が甲子園の大会本部に出場辞退を申し入れて受理された。(※写真は、広陵高校の出場辞退を報じる11日付メディア各社)

校長が大会本部での記者会見で、「本校にいる生徒が登下校で誹謗中傷を受けたり、追いかけられたり、寮で爆破予告があったり、そういったようなこともSNS上で騒がれています」と出場辞退を決めた理由について述べている(10日付・NHKニュースweb版)。爆破予告については同校に対する直接の予告ではなく、SNS上での情報のようだ。

広陵高が辞退するまでの一連の流れを読んでの感想は、本来ならばことし3月に日本高野連から厳重注意を受けた段階で同校は暴力事案と高野連からの処分を公表すべきではなかったか、と考える。この場合、校長と監督が責任者として記者会見で謝罪し、警察に事案を届け出ればよかったのではないか。高野連の学生野球憲章の規則では厳重注意は原則として非公表となっているようだが、それは説得次第で不可能ではない。自身の記憶にある似たような事案は、2005年の高知の明徳義塾高校の一件。夏の甲子園の出場を決めた後で、野球部員による暴力行為や喫煙などが明らかになり、大会前に出場を辞退した。1992年の夏の甲子園で、星稜高校の松井秀喜選手に対し、ピッチャーが5打席連続で敬遠した、あの高校だ。大会前の事案の公表と辞退表明は英断だと、そのとき納得したのを覚えている。

公表のタイミングを遅らせばそれだけ世論の憶測を呼び悪評へと広がるものだ。SNSはその広がりを加速、さらに炎上させる。なので、不祥事の処分と公表は早めにする。そんな時代だ。

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