2025年 7月 16日の投稿一覧

☆能登ゆかりの地にトキが舞う 来年6月の放鳥場所決まる 

☆能登ゆかりの地にトキが舞う 来年6月の放鳥場所決まる 

トキが能登に帰って来る。環境省が来年6月に予定している、国の特別天然記念物トキの放鳥場所が決まった。本州で初となる放鳥の場所は、能登半島の中ほどにある邑知潟(おうちがた)周辺=羽咋市南潟地区=。石川県や能登4市5町などで構成する「能登地域トキ放鳥受入推進協議会」では2022年に9市町によるそれぞれの「トキ放鳥推進モデル地区」を設定し、トキが生息しやすい減農薬の水田など環境づくりに取り組んできた。環境省の専門家による調査などを経て、きょう開かれた協議会で県が提案し、邑知潟周辺を放鳥場所と決めた。

選ばれた理由は大きく二つあるようだ。一つは、邑知潟を中心に羽咋市南潟地区には2㌔圏内の水田面積が1185㌶あり、放鳥が予定される15羽から20羽のエサ場としても十分な広さ。もう一つが、地形が佐渡の地形とよく似た場所だ。潟と平野を挟むように眉丈山系と石動山系があり、トキがねぐらをつくる場所として適している。また、新潟県の佐渡から飛来したとみられるトキの姿が2011年以降たびたび目撃されていて、2013年には5ヵ月間ほど住み続けたことなども評価された(16日付・NHKニュースWeb版)。

かつて能登はトキの生息地だった。眉丈山では1961年に5羽のトキが確認されている。ところが、田んぼでついばむドジョウやカエルなどのエサは農薬にまみれていた。能登のトキは徐々に減り、「本州で最後の一羽」と呼ばれたトキが1970年に捕獲され、新潟県佐渡の環境省トキ保護センターに繁殖のために送られた。ところが、翌年1971年3月、鳥かごのケージの金網で口ばしを損傷したことが原因で死んでしまう。(※写真・上は、輪島市三井町洲衛の空を舞うトキ=1957年、岩田秀男氏撮影)

こうしたいきさつもあり、石川県と能登9市町は環境省による本州でのトキ放鳥を熱心に働きかけてきた。国連が定める「国際生物多様性の日」である5月22日を「いしかわトキの日」と独自に定め、県民のモチベーションを盛り上げてきた。冒頭の能登9市町による「トキ放鳥推進モデル地区」も独自の取り組みとして設けたものだ。一連の動きが環境省で評価され、来年の能登での放鳥につながっている。(※写真・下は、羽咋市南潟地区の邑知潟と水田。左の山並はかつてトキが生息していた眉丈山)

トキのゆかりの地でもある眉丈山と邑知潟に再びトキが舞う日がやってくる。能登半島地震の災害からの復興のために石川県が策定した『創造的復興リーディングプロジェクト』の13の取り組みの中に、「トキが舞う能登の実現」が盛り込まれている。トキが舞う能登を震災復興のシンボルとしたい。その思いが動き出す。

⇒16日(水)午後・金沢の天気  はれ