2025年 7月 14日の投稿一覧

☆能登地震で海底の地形変化か、舳倉島周辺のアワビが激減

☆能登地震で海底の地形変化か、舳倉島周辺のアワビが激減

前回ブログの続き。輪島の海女が2年ぶりにアワビやサザエの漁を始めた。ウエットスーツ、水中眼鏡、足ひれを着用して素潜り。輪島市や、49㌔沖合の舳倉島=写真・上=を拠点に170人ほどの海女たちがいる。

舳倉島は古くからアワビが採れる島として知られる。万葉の歌人・大伴家持が越中国司として748年、能登を巡行している。島に渡ってはいないが、輪島で詠んだ歌がある。『沖つ島 い行き渡りて潜くちふ あわび珠もが包みて遣やらむ』。沖にある舳倉島に渡って潜り、アワビの真珠を都の妻に送ってやりたい、との意味のようだ。この和歌から分かることは、少なくとも1277年前の昔からこの島ではアワビが採取され、いまでも連綿と続いているということだ。

アワビ漁を守り続けるため、海女たちは自主的に厳しいルールをつくっている。素潜りを原則として、決してアクアラングなど呼吸器具を装着しない。アワビの貝殻の大きさ10㌢以下のものは採らない。漁期は7月1日から9月30日までの3ヵ月。海に潜る時間は午前9時から午後1時までの4時間と制限している。さらに、休漁日は一斉に休む。こうしたルールを互いに守ることで、持続的なアワビ採りの恩恵にあずかっている。まさにSDGsの手本とも言える。

ところで、きのう採れたサザエやアワビはきょう金沢の近江町市場に並ぶと聞いていたので市場に行ってきた。水産物店の店先にサザエ=写真・中=が並んでいたので、店主に「どこのサザエですか」と尋ねると、「輪島の海女採り」と即答で返ってきた。大きいサイズのものは1個200円、中小型のものは5個で600円の値段だ。

それにしてもアワビ=写真・下=が見当たらない。そこで、「アワビはないの」と尋ねると、「去年の地震の影響でいまほとんど採れていない。値段も2万円と去年の倍になっている」とのこと。確かにきのう輪島漁港の荷捌き場をのぞいた時もアワビは少なかった。アワビはこれまで浜値で1㌔1万円が相場だったが、それが一気に2万円とは。アワビは海底の岩場にへばりくつように生息している。それが、地震による海底の隆起で地形が変化したため、アワビの生息場所も変化した。その場所を把握できていないため採取する量が減ったということもあるようだ。

どの水産物店にもアワビが見当たらない。先の店主に聞いた。「では、アワビはどこに流れた」。すると、「ほとんど東京だろうね」と。値段の高騰で金沢ではさばき切れないと判断した仲介業者が東京市場に流しているようだ。2年ぶりのアワビ漁、はやく「金沢市民の台所」近江町市場に戻ってほしいものだ。

⇒14日(月)午後・金沢の天気   はれ