☆「百万石まつり」金沢を歩けば花3題~花寄せ、友禅、花手水~
金沢で開催されている「百万石まつり」(6月6-8日)は晴天に恵まれたこともあって、例年になくにぎやかな雰囲気を醸し出した。きのうはメインイベントの「百万石行列」があり、主役の前田利家公役を 俳優の石原良純氏が、正室のお松の方役を女優の北乃きいさんがそれぞれ見事に演じ、沿道から喝采を浴びていた。

兼六園周辺を歩くと、金沢神社の入り口に「お花寄せ」の看板が目に留まった。茶道では、季節の花や枝を茶席に置かれたいくつかの花入れに選んで飾る作法のこと。主催者が「石川県華道連盟」とあるので、いわゆる華展が開かれていると思い、見学に入った。社務所の和室には華道家が寄せた30点の作品が並んでいた。係りの人に尋ねると、県内の華道6流派から提供された作品とのこと。アジサイやギボウシなど初夏の花材が季節感を感じさせる=写真・上=。

床の間には室町時代の画僧として知られる雪舟の筆による掛け軸がかかっていた。「南無天満大自在天神」。いかにも禅僧らしく力強い筆致だ。そして、面白いのは、「神」の字の終りを上へはね上げて梅の枝とし、花を描いている。文字と絵を繋いだ遊び心なのだろうか。落款は「備陽雪舟筆」。この掛け軸は1969年に県の指定文化財となっている。
その後、兼六園近くにある石浦神社に行った。参拝をする前に、柄杓で水をすくって身と心を清める手水舎(ちょうずしゃ)に行く。すると、手水鉢にはいろいろな花が浮かんでいた。家族連れで訪れていた女の子たちがワイワイと騒ぎながら清めを楽しんでいた=写真・中=。係りの人に尋ねると、毎年この季節には花を浮かべていて、「花手水(はなちょうず)」と呼んでいるそうだ。それにしても女子たちの着物姿と花手水がとてもマッチして華やかな光景だった。

最後に県立美術館で開催されている「伝統加賀友禅工芸展」に足を運んだ。加賀友禅の公募展の作品で、入選した着物や帯27点と会員作品の合わせて42点が展示されている。着物の部で最高賞の金賞に輝いた作品のタイトルは「藤鏡(ふじかがみ)」=写真・下の左の作品=。学問の神様とされる菅原道真を祀る、東京の亀戸天神社での「藤まつり」を題材にしたもの。着物の上は藤の花、そして下はライトアップされた藤の花が水面下に映り込んだものを表現しているようだ。
「百万石まつり」という一大イベントのおかげで、今回の街歩きでは行く先々で花との出会いがあった。
⇒8日(日)夜・金沢の天気 はれ