2025年 5月 14日の投稿一覧

☆トレーラーハウスで時代を走る 輪島塗アート&工房

☆トレーラーハウスで時代を走る 輪島塗アート&工房

輪島と言えば輪島塗だ。徹底した分業で専門職人の手から手へと渡るプロセスがあり、木地づくりから塗り、加飾までじつに124の工程があるといわれている。こうした綿密な作業工程から完成度の高い漆器が生まれる。「NOTO、NOT ALONE研究所」の次に、知り合いの「田谷漆器店」を訪ねた。

漆器工房は地震で倒壊したため、トレーラーハウスでギャラリー=写真・上=と工房が造られていた。訪ねたのは日曜日ということもあり、ギャラリーは休館で本人がいる様子もなかった。外から窓越しに中をのぞくと、整然と作品が並んでいる=写真・下=。下のカップはひょっとしてあのカップではと思い浮かんだ。

あのカップとは、去年4月、当時の岸田総理がアメリカを訪問し、バイデン大統領にお土産として手渡したのが輪島塗のコーヒーカップだった。プレゼントしたカップにはバイデン夫妻の名前入りで、青と黒のグラデーションが施されていた。岸田氏は、被災した能登で創られている日本ではとても有名な「lacquerware(漆芸品)」だと紹介した。あのコーヒーカップはこの漆器工房でつくられたものだった。

震災、そして余震も続いたが、輪島塗は124の工程を綿密に重ね、いまもトレーラーハウスでつくられている。でも、ふと思った。なぜ仮設店舗ではないのだろうか、あえてトレーラーハウスを使用する理由は何か、と。以下憶測だ。トレーラーハウスが使用されたのは去年の9月以降だ。あの48時間で498㍉という「記録的な大雨」に見舞われたことを教訓に床を高くしたのか、と考えた。さらに、仮設店舗より外観にデザイン性があり、別荘のような趣(おもむき)だ。

まずは漆器工房のオーナー本人に尋ねてみよう。あれこれ思いをめぐらしながら現地を後にした。

⇒14日(水)午前・金沢の天気  はれ