2025年 4月 28日の投稿一覧

★心和む曲水のせせらぎ 多様な客が訪れる兼六園の景色

★心和む曲水のせせらぎ 多様な客が訪れる兼六園の景色

きのう兼六園を歩いた話の続き。園内を曲がりくねり、ゆったりと流れる曲水(きょくすい)には風情があり、晴天ということもあり水面には青空が映えていた=写真・上=。兼六園の園名は、宏大・幽邃・人力・蒼古・水泉・眺望の6つの景観を兼ね備えていることが名園の誉(ほまれ)とされたことが由来とされる。その6つの風景の一つの「水泉」の景観が曲水ではないだろうか。曲水のせせらぎが心を和ませてくれる。

この曲水の流れについて、以前、兼六園の管理事務所の所長さんから聴いた話を思い出した。水の流れなので雨が降れば当然、水かさが増して流れも激しくなるものだ。でも、兼六園の曲水が大雨で荒れて氾濫したという話は聞いたことがない。逆に、夏に日照りが続いて、曲水が干せ上がったという話も聞いたことがない。なぜ、この穏やかなせせらぎが絶えないのか、と尋ねた。

曲水の水源となっているのは園の東側に位置する「沈砂池(しんさち)」という池。所長さんの話によると、「この池は辰巳用水という江戸時代につくられた用水から水を引いている。ここで水を調整し、1秒間に160㍑の水が流れるように計算して下流に流している」とのことだった。池は深く、よく見ると水道管と思われるパイプラインとつながっている。

雨が降れば水門を少し閉めて水量を調整し、水が足りなくなれば、水道管で水を補給するようにもしている。160㍑以上になっても、以下になっても、曲水のせせらぎは流れないとの話だった。兼六園の曲水の風景は計算された景色でもあることを、このとき初めて知った。

それにしても兼六園を歩いていて、インバウンド観光客が多い=写真・下=。英語や中国が飛び交っている。石川県国際観光課のまとめによると、2024年の兼六園の入り客は延べ235万4570人で、前の年と比べて7.7%減ったものの、外国人は前年比36.4%増の53万2879人で過去最多となった。国・地域別では台湾が14万6216人と最も多く、続いてアメリカ5万3633人、以下イタリア、オーストラリアと続いた。日本人が減ったのは能登半島地震による影響だろうか、インバウンド観光客が増えたのは円安が背景だろうか。

オーバーツーリズムによる園内の混乱はこれまで聞いたことはない。むしろ、多様な国の人々が訪れて名園を眺める光景そのものが兼六園の新たな風景のように思えた。

⇒28日(月)午後・金沢の天気   くもり