2025年 4月 26日の投稿一覧

★人とクマの境界ぼやけ 石川県が「警戒準備情報」を発令

★人とクマの境界ぼやけ 石川県が「警戒準備情報」を発令

冬ごもりから目覚めたツキノワグマが活発に動き始める季節に入った。石川県自然環境課は春から夏にかけて親離れした若グマの出没や、エサとなるブナが今秋は凶作と予想されることから出没の可能性が高いとして、「出没警戒準備情報」を発令した(今月24日)。県内ではブナの大凶作でクマが大量出没した2020年に目撃情報が869件、人身被害が15人にも上った。ことしはこれに準ずる危険性が予想されることから、警戒を呼びかけた。警戒準備情報の発令は2年連続となる。人身事故が発生した場合、県では「警戒情報」に切り替えて警備をさらに強化する。

クマの出没は始まっている。小松市役所の公式サイトによると、ことし4月に入ってクマ出没情報がすでに3件(7日・11日・13日)寄せられていて、サイトでは「鈴やラジオなどの音のなるものを身につけ人間の存在をクマに教えてください」や「暗くなるとクマは人を恐れなくなり、エサ探しに夢中になって、人間の接近に気づかなくなります。事故をさけるために、夕暮れには山をおりましょう」と注意を呼びかけている。

エサ不足のクマが人里に下りてきて、ペットフードや生ごみなどをあさる。最近では「アーバンベア(都市型クマ)」と呼ばれていて、市街地周辺で暮らし、街中に出没するクマも増えているようだ。県内でのクマの出没は白山ろくの加賀地方に多いが、最近では行動範囲を広げて、能登地方でも出没事例が多くなっている。(※イラストは、石川県公式サイト「ツキノワグマによる人身被害防止のために」から)

クマの市街地での出没や人身事故は石川県だけでなく全国的な問題となっている。このため国は今月18日、クマやイノシシが市街地に出没し、建物内に立てこもったり、木の上に登ったりするなど膠着状態が続いた場合、市町村の判断で発砲できるようにする「改正鳥獣保護管理法」を成立させた。6ヵ月以内に施行される。

日本は狭い国土の中で3分の2が山林で、これまで人とクマは隣り合って生きてきた。その境界が人の山林放棄やアーバンベアの出現でなくなりつつり、人とクマとの軋轢は今後ますます大きな問題になってくるだろう。改正鳥獣保護管理法だけでは済まないステージに入ってきたのではないだろうか。

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