☆高値の地物タケノコ 産地で見えた風景
前回ブログの続き。それにしても、地物のタケノコが高い。いくら裏年とはとは言え、3割高はどうなんだろうとふつふつと疑問がわいてきた。そもそも金沢はタケノコの産地でもある。そこで、近江町市場を出て、「別所のたけのこ」として知られる金沢市の山手の別所町に向かった。
ここのタケノコは、鮮度がよいものはアク抜きをせずに食べられると定評がある。シーズン中には沿道にタケノコの販売所が並び、市内から買いに訪れる人が大勢いる。「たけのこ市」は季節の風物詩にもなっている。きのう別所町に行くと2軒の販売所が開いていた。タケノコの出荷は始まったばかりで5月の連休が本番の忙しさなので、こんなものかと思ったが、それにしても2軒は少ない。シーズンにこの地を訪れるのは10数年ぶりだが、閑散とした印象だ。

そして、ある意味で愕然としたのが竹林だ。モウソウ竹の林が荒れている=写真=。もちろん管理された竹林は多くあるが、それにしても雑木が生え、折れたままの竹がそのままになっている竹林が目立つ。言葉は適切ではないかもしれないが、まさに「耕作放棄林」だ。これがタケコノの産地かと目を疑った。
ここから見えることは、金沢の山地の過疎・高齢化だ。竹林を管理する人が高齢化し、後継者も少なくなっているのだろう。その結果、放置された竹林の荒廃が広がっている。裏年によるタケノコの減少もさることながら、生産者そのものが減り出荷量も減っている。これが「地物1本2800円」の背景ではないだろうか。以上は自身の憶測だ。
竹林の荒廃問題は金沢だけでなく全国的で起きている。竹林を放置すれば、地域によっては年間6㍍のペースで広がるとの説もある。根が浅い竹林では豪雨による土砂崩れの事例もある。一方で、荒廃した竹林を環境問題ととらえ、竹を積極的に活用する動きもある。北陸のパルプメーカーは国産の竹を紙原料として使い商品化している。竹林の荒廃をどう防ぐか、まさに里山保全が問われている。
⇒25日(金)午前・金沢の天気 はれ時々くもり