☆能登半島の最先端「狼煙の灯台」も被災 観光復興の手立てにならないか
能登半島をこれまで何度もめぐって一番印象に残るスポットと言えば、半島の最先端にある「禄剛崎(ろっこうさき)灯台」だろうか。海抜48㍍の断崖絶壁の岬にあり、海から上る朝日と海に沈む夕日が同じ場所から眺めることができることでも知られる。さらに、海越しに見える立山連峰は絶景で、佐渡島も見渡せる。灯台とその周囲の風景を眺めていると「さいはて」感が込み上げてくるような、そんな思いにかられる。能登の人たちは、灯台がある地名(珠洲市狼煙町)から「狼煙(のろし)の灯台」と呼んでいる。
こうした日中の灯台の風景とは別に、夜は岬の尖端から日本海を照らし、漁船や海運船舶の航海の安全を支えてきた。その要(かなめ)となる灯台のレンズが去年元日の能登半島地震で一部が損傷した。地元メディアの報道によると、レンズの上部の3分の1ほどのガラスが落下した。このため、光が届く距離が短くなった。観光パンフレットなどによると、レンズは明治16年(1883)の灯台完成時から使われていたフランス製の大型レンズ(高さ2.4㍍、直径1.4㍍)で、18カイリ(33㌔)先までを照らしていた。(※写真は、能登半島の最先端に位置する禄剛崎灯台=2021年9月撮影)
レンズが損傷したことから、日本海を管轄する第9管区海上保安本部ではLED照明に切り替えている。これまでのレンズは珠洲市に譲渡された。同市では災害の教訓を将来に伝える「震災遺構」として展示を考えているようだ。
何度か聞いた地元に伝わる話。そもそも狼煙という地名は、この岬の周辺には暗礁が多く、北前船の時代から船の座礁を防ぐために警戒を呼びかける「狼煙」を上げていたことが地名の由来だそうだ。140年余りの歴史を持つ灯台レンズそのものが歴史遺産ではないだろうか。さいはての「狼煙の灯台」とセットに、観光復興のシンボルにする手立てはないだろうか。
⇒8日(土)午後・金沢の天気 くもり時々はれ