☆能登半島地震 被災地で横行する便乗商法や火事場泥棒
能登半島の知り合いに電話をした。70歳のおばさんが「ちきない」「ちきない」と連発していた。能登の放言で「疲れた」という意味だ。避難所生活、そして車中泊などを繰り返し、「もう体がもたん」と嘆いていた。もう一言発した言葉が「気つけんと」だった。注意しなければ、という意味だが、被災地に怪しげなブルーシート貼りの業者が来て、当初示した値段より高額な請求をするらしいとのうわさが広がっているようだ。
おばさんの家も今回の震災で、屋根の一番上にある棟瓦の一部がはがれるなど屋根瓦に被害が出た。8日に町内の人たちとの助け合いでブルーシ-トを張ることができたが、その数日前に県外ナンバーのワゴン車から降りてきた見知らぬ中年の男から「被災地のために役立ちたい」と15万円で話を持ち掛けられ、断っている。この地域の別の家では、損壊した瓦の修繕で見積もりよりも高額な請求をされたところもあるとか。被災地では便乗商法が横行している。(※写真は棟瓦がはがれた住宅。記事とは関係がない)
便乗商法だけでなく、窃盗事件も起きている。メディア各社の報道によると、珠洲警察署は17日、地震で半壊となった珠洲市内の住宅から模造刀などを盗んだとして、大阪市の37歳の男を窃盗容疑で逮捕した。警察が被災地をパトロール中、不審者の情報をもとに職務質問したところ、窃盗が発覚した。男は人命救助のために被災地を訪れたと説明しており、「持ち主の方に返すために家の中から持ち出した」と容疑を否認している。被害者の70代男性はすでに市外に避難していて、容疑者と面識はない。
また、石川県警は5日、被災した輪島市内の民家から高級ミカン6個(時価約3千円相当)を盗んだとして、住居侵入と窃盗の容疑で愛知県刈谷市の大学生の男21歳を逮捕した。男は「ボランティアで来た」と供述している。身柄を金沢中警察署に移し所持品検査をしたところ、大麻を所持していたとして大麻取締法違反(所持)で逮捕された。液体が入ったカートリッジが見つかり、鑑定の結果、大麻と判明。吸引機も押収されている。本人は「私のものではない」と容疑を否認している。
もちろん、便乗商法や火事場泥棒、大麻などはごく一部のボランティアと称する者たちの犯行なのだが、このままだと、被災地の人々に「ボランティアには気つけんと」のイメージが定着するのではないかと思うと、残念でならない。
⇒18日(木)夜・金沢の天気 あめ
島塗を扱う漆器店や木造住宅が密集していて、地震による火災で200棟以上が全焼。県警などが9日から焼け跡などを捜索していた。
気象庁によると、震度1以上の揺れを観測した地震は16日午前4時までに1400回以上になる。能登地方やその周辺を震源とする地震は徐々に減少しているものの、地震活動が活発な状態が続いている。気象庁が今後2、3週間は震度5強程度か、それ以上の揺れに注意が必要と呼びかけていた矢先に先ほどの震度5の揺れが起きた。
葬場があるものの、火葬炉計8基のうち6基が被災して使えない状態になっている。6基の復旧のめども立っていない。このため、災害時の協定に基づき、金沢市など他市町の火葬場に遺体を搬送することになる。このため、12日からは全国から寝台車15台の応援を受けて搬送を行っている(15日付・北陸中日新聞)。
ん・しげる)氏に設計を依頼できないか、県に働きかける意向を示している(15日付・北國新聞)。同市は約6千世帯で、今回の震災で仮設住宅を必要と市民は4千世帯と見込んでいる。
の史跡でもある「加賀藩主前田家墓所」にも被害があった。見に行くと、加賀百万石の礎を築いた前田利家の墓碑、そして横にある正室まつの墓碑は無事だった。ただ、両墓碑の入り口などにある石灯篭の笠の部分が崩れたりしていた=写真・上=。前田家墓所は全体で敷地面積が8万6千平方㍍もあり、すべてを見たわけではないが、多くの石灯篭などが倒れていて、相当な数になる。国史跡なので金沢市文化財保護課が修復することになるのだろう。
今回の地震で「庭の石灯篭が倒れた」という話をよく聞いた。和の雰囲気を醸す石灯篭は日本の庭文化のシンボルのような存在で、金沢の一般家庭の庭でもよく見かける。ただ、石灯篭は地震で縦揺れや横揺れにさらされると、上部にある笠や球体などが揺れ動き、崩れやすいのかもしれない=写真・下、金沢市内で=。
能登半島で孤立化している17の地区をチェックすると地理的に一つの傾向がある=図・上=。それは17のうち15の地区が半島の尖端部分で大陸に面する海岸沿いにあり、地元では「外浦(そとうら)」と呼ばれる地域だ。富山湾の側は「内浦(うちうら)」と呼ばれている。ちなみに、外浦と呼ばれるのには波が荒く、内浦は波が静かとのいわれがある。
ータベース」(2012年)=図・下=によると、能登北部でがけ崩れ現場が集中している場所は外浦であり、今回孤立化している地域とほぼ一致する。
ード6.6から7と推測される揺れや、2007年3月25日の同6.9など、2023年5月5日の同6.5にかけて強い地震が12回も起きている。それ以前にも能登では相当の揺れが繰り返されてきたことは想像に難くない。このため、リアス式海岸が広がる外浦では地盤が広範囲に緩んでいて、山側のがけ崩れの要因になっているのではないだろうか。
あり、能登の漁村をイメージさせる。その漁港の防波堤を含めて周囲一面で隆起し、陸地化している。
で、のとじま水族館で飼育していましたジンベエザメの『ハク(メス)』が死亡しました」とそれぞれ短文で伝えている。
先日、能登町の実家に行く際、う回路の穴水町を経由した。道路はどこもかしこもヒビ割れて隆起し、傾いていまにも崩れそうな家屋も多い。のと鉄道「穴水駅」近くにある穴水大宮の前を通ると、鳥居や手水舎(てみずしゃ)が無残にも崩れ落ちていた=写真=。毎年9月に大宮などを中心に盛大なキリコ祭りが開催される。神輿やキリコ、山車などが曳き出され、提灯や奉灯で長い光の帯ができ、イヤサカヤッサイ、サカヤッサイと男衆の掛け声も勇ましく、笛と鉦、太鼓の囃子が町中に響き渡る。崩れた鳥居や周囲の家屋を眺めると、能登の伝統のキリコ祭りは今後どうなるのかと気がかりになる。
日を追うごとに犠牲者が増えている。石川県庁危機管理監室のまとめによると、亡くなった人は202人、重軽傷者は565人に上る(9日午後2時現在)。道路の寸断などで輪島や珠洲など奥能登2市2町などでいまも24地区3300人が孤立状態に。生活インフラの復旧もまだ途上で、1万8000戸で停電、5万9000戸で断水が続いている。
は金沢を含め県内外の宿泊施設に被災者を移す「2次避難」へと動いている。気象庁はきのう8日の会見で、地震活動は活発な状態が続いていることから今後1ヵ月程度、最大震度5強以上の地震に注意するように呼びかけた。
元旦の地震では内灘町は震度5弱だった。震源となった能登からは距離がある地域だが、なぜこのように被害が大きくなってしまったのか。隆起した現場をよく見ると、土砂が噴き上げた様子があちらこちらにある。これを見て液状化現象だと思った。2007年7月16日に震度6強の揺れとなった新潟県中越沖地震の後、柏崎市を訪れたことがある。このときも道路に土砂があふれていて、初めて液状化現象の現場を見た。