2020年 3月 の投稿一覧

☆コロナ危機 負の連鎖

☆コロナ危機 負の連鎖

   新型コロナウイルスによる感染が世界的なパンデミックになるのはもはや時間の問題ではないだろうか。それを予感させるニュースが続々と流れている。アメリカで感染者が300人を超え、死者は計17人となった。今月初めに首都ワシントンで開かれたユダヤ教系団体「イスラエル広報委員会」(AIPAC)の大規模会合に東部ニューヨーク州から参加した2人の感染が判明した。ペンス副大統領やポンペオ国務長官も参加しており、政治の中枢に影響が及ばないか懸念が広がっている(7日付・共同通信Web版)。

   世界の眼は東京オリンピックに向いている。7月開催についてIOCのバッハ会長の思惑をイギリスBBC(6日付・Web版)=写真=がこう述べている。「When one considers just how much is at stake, perhaps it is no surprise that Bach seems so reluctant to even contemplate the suggestion of a delay or cancellation, and is in no rush to take a decision before he needs to.」。以下は意訳だ。「IOCのバッハ会長にはとても重圧がかかっているだろう。延期や中止を示唆することをためらっているように見えるが、時期がくれば述べるだろう。決定を急がない、それは驚くことではない当然だ」。世界のメディアの論調はBBCが代表しているようにも思える。延期か中止、バッハ会長はその発表のタイミングを慎重に見計らっているだけだ、と。

   世界経済への打撃も深刻だ。IMF(国際通貨基金)のゲオルギエワ専務理事と世界銀行のマルパス総裁は4日、共にワシントンで記者会見し、「残念ながら過去1週間に、世界経済に対する予測は厳しく、暗いシナリオへ移行した」と述べた(7日付・Bloomberg News日本版)。

   NHKニュースによると、安倍総理はきのう(7日)官邸で新型コロナウイルス感染症対策本部会合を開き、個人事業主を含む中小・小規模事業者を対象に、金利などの条件を大幅に緩和した貸付制度を創設すると表明した。日本政策金融公庫などを通じて「実質無利子、無担保の融資をする」と述べた。このニュースは週明けに大問題となるだろう。国がこれを実行すれば、地方銀行のいくつかは破綻するのではないか。まさに負の連鎖が起きかねない。

⇒8日(日)朝・金沢の天気    あめ

★コロナ危機を逆手に遠隔教育を

★コロナ危機を逆手に遠隔教育を

        2月28日付のこのブログで、新型コロナウイルス感染の拡大を防ぐため、今月2日から全国の小・中学校と高校などが臨時休校となるので、NHKは3月から放送と通信の同時配信に入るのチャンスにEテレ(教育テレビ)の動画コンテンツを特別編成してはどうかと提案した。ブログを読んでくれた知人から「大手出版社はすでに漫画コンテンツを期間限定で無料公開を始めているよ。さすがに対応が速い」とメールをもらった。 

   さっそくネットで調べてみる。集英社は『週刊少年ジャンプ』の2020年1号から13号を無料公開している。今月2日正午から同31日23時59分まで、マンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」と同社の総合電子書店「ゼブラック」上で無料で読めるとツイッターで紹介している=写真=。小学館も『コロコロコミック』の1月号や『Sho-Comi』の3・4合併号・5号・6号、『ベツコミ』の2019年12月号から2020年2月号などを無料公開に踏み切っている。

   突然の休校で手持ちぶさたになった子どもたちの間で、この漫画コンテンツの無料公開は話題になっているのではないか。子どもたちの興味がスマホでのゲームなどに流れ、少年誌が部数減になるなど「漫画離れ」の現象が起きている。そこで、出版社としては子どもたちを漫画の世界に呼び戻すきっかけにしたいとの思惑があるのだろう。無料公開されている漫画コンテンツは子どもたちだけでなく、大人も楽しめる。意外と熱中しているのは大人かも知れないが。

   ところでNHKの対応はその後どうか。3日に「学校休校に伴う特別編成」をNHKが発表し、Eテレでは午前9時から10時15分までの学校放送番組、午後2時から3時までの高校講座を休校期間中も放送し、自宅学習をサポートするとしている。ウェブサイト「NHK for School」でも、特に未履修の単元を自宅で学習できるよう、教育現場の先生たちが薦めるコンテンツを学年別にセレクトして掲載する。また、子どもたちが「NHK for School」に感想文などを投稿できるようにする。

  面白いのは、Eテレのサブチャンネルを活用するコンテツだ。午前10時25分から子ども向け番組として『すイエんサー』『バビブベボディ』『自由研究55』や海外ドラマを、そして午後1時5分からは「子どもたちにストレスを発散してもらえる番組」として『パプリカ』『おしりたんてい』『なりきり!むーにゃん生きもの学園』などを編成する、としている(3日発表のNHK報道資料より)。ただ、サブチャンネルで番組が提供されていることはあまり知られていないので、ぜひPRもしてほしい。

  Eテレ活用の発案者の一人である、『月刊ニューメディア』編集長の吉井勇氏からのメールマガジンによると、5日官邸で開催された未来投資会議で、複数の民間議員から「コロナ対応で、遠隔診療と遠隔教育の推進を」との発言が出て、とくに遠隔教育でのNHKの活用に言及があったようだ。これを機会に教育の多様な有り様をぜひ実現してほしいものだ。

⇒7日(土)朝・金沢の天気     はれ

☆コロナ危機 イタリアの悲しみ

☆コロナ危機 イタリアの悲しみ

   新型コロナウイルスの感染が欧米で広がり、とくにイタリアで感染者が3000人、死者は100人を超えている。きょう5日のニュースでは、イタリア政府が大学を含めすべての教育施設を今月15日まで休校とする「学校閉鎖」の措置を講じたという。事態の深刻さが伝わってくる。というのも、イタリアでは大学と地域は一体化している。そこでの「学校閉鎖」、つまり「地域閉鎖」というイメージなのだ。

   地域と大学は歴史的にも関わり合う。11世紀後半に創設されたイタリアのボローニャ大学はヨーロッパ最古の総合大学といわれる。「大学(ユニバーシティ)」の語源であるウニベルシタス(universitas)はそのボローニャに集まった青年たちの集団を意味する言葉だったとされる。青年たちは組合をつくり、法学者の中から先生を選び、教授契約を結んで学問をした。このような伝統がある大学がイタリアには多い。

   2006年1月に訪れたフィレンツェ大学も14世紀初頭に設立し、大学と街が一体化していた。11学部5万人の学生が学ぶ。社会人の学生が多い。校舎はフィレンツェ市内に点在する。学部・学科の看板がなければ街の中の住宅アパートと見誤るほどだ=写真=。街に溶け込んでいると表現した方が的確かもしれない。同大学には6つも附属の美術館や博物館がある。一時的とは言え閉鎖するとなると、観光としても打撃で、街の活気が失われるのではないだろうか。

  イタリアではハンカチをプレゼントされることを忌み嫌う。他国の人がその習慣を知らずに贈った場合、数十セントで「買う」。そうすれば、贈られたことにはならない。なぜそこまでするのか。「ハンカチは涙(悲しみ)を運んでくるもの」との思いがイタリア人には強いからだ。そう考えると、イタリアには同情は無用だ。「あえて日本からそのように思われたくない。悲しみが増すだけだ」と言われそうだ。

⇒5日(木)朝・金沢の天気      くもり

★コロナ危機、でも、乳牛も新幹線も休めない

★コロナ危機、でも、乳牛も新幹線も休めない

   北陸新幹線の利用客がかなり落ち込んだようだ。これも新型コロナウイルスの影響。だからと言って、新幹線は休めない。JR西日本金沢支社が3日、メディアに対して発表した北陸新幹線の開業5年目(2019年3月14日-20年2月末)の利用者数は790万千人だった。これは前年比で6%の落ち込みとなった(3日付・共同通信Web版)。

   2019年10月は台風19号による被害で東京ー金沢の全面運休が13日間続いたことなどが響き、前年同月比47%減の41万4千人だった。20年2月は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で同8%減の56万5千人(同)。まさにダブルパンチだ。しかも、コロナウイルスに関してはいつ終息するか予想がつかない。それでも北陸新幹線は暫定ダイヤなどは組まず予定通り運行している。

   ウイルス感染の影響で、小中学校などが「学校閉鎖」となった。ところが、給食用に使われる牛乳に関しては行き場がなくなっている。きのう農林水産大臣が記者会見で「余った牛乳はバターやヨーグルトなど乳製品の加工原料としてメーカーに受け入れてもらう」(3日付・NHKニュース)と発言していたが、メーカーにしても受け入れ設備には限界があるだろう。

   結局、需給調整がつかなくなれば廃棄をせざるを得なくなるのではないだろうか。おおいなる食品ロスとなる。これはアイデアだが、SDGs(持続可能な開発目標)を積極的に進めている企業や団体を中心に牛乳を購入してもらってはどうだろうか。

  乳牛に休んでもいいよと言う訳にはいかない。新幹線に運休していいよと言う訳にもいかない。「作る責任」「使う責任」「走らせる責任」「乗る責任」、まさにSDGsの知恵出しが問われているのだと思う。

⇒4日(水)朝・金沢の天気     あめ

☆コロナ感染、経済を揺さぶる

☆コロナ感染、経済を揺さぶる

   きのうテレビでニュース速報が流れた。黒田日銀総裁が「潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努める」とする異例の談話を公表したとの内容だった。すると午後に入って東京株式の日経平均は一時400円を超える値上がりとなり荒い展開に。終値は先週末より201円高い2万1344円だった。コロナウイルスの感染拡大は日銀総裁を動かし、そしてアメリカの連邦準備理事会(FRB)も揺さぶっている。

   地元メディアもウイルス問題を連日報じている。石川県内の繊維メーカー(東証一部上場)は社員3人がコロナ感染したとして、今月2日から15日まで国内のグループ企業含め1300人に自宅待機を命じた。3人は2月10日から6日間、パリでの素材見本市のため出張し、帰国後に体調不良を訴えて、検査機関で陽性が確認された。同メーカーはその他の出張の同行者ら、濃厚接触の可能性がある33人を自宅待機にしている。今回の2週間の事業停止中は全社員が体調管理を徹底し、健康状態を記録するためのものだ(3日付・北國新聞)。

   繊維メーカーの徹底した緊急措置の決断には敬服するが、地元ではある「風評」が出ていた。24日に1人目の感染が確認され、27日と28日にさらに2人の感染が確認された。そのさなか、地元紙には「ウイルスを高速分解 マスク、シーツ素材に」との大見出しで、同メーカーがウイルスを高速分解する効果のある新たな光触媒技術を開発したと報道された(2月28日付・同)。A香港型インフルエンザウイルスの接触試験では感染能力が6時間で99%低減する効果が確認されたという(29日付・北陸中日新聞)。

   読者はこの記事に少々混乱したに違いない。自身もその一人だ。インフルエンザウイルスで光触媒技術を開発しているメーカーで感染者が出たのは何か因果関係があったのか、たとえばコロナウイルスとの何らかの接触があったのか、と。この画期的な新素材を使ったマスクでコロナウイルスを抑える実証実験をしてはどうか、と。それにしても、メディアへの発表のタイミングが余りにも悪い。

⇒3日(火)朝 金沢の天気     はれ

★コロナ感染、「現場」に行く

★コロナ感染、「現場」に行く

   きょう2日午前、2ヵ月に一度診療と薬をもらいに通っている病院に行った。その病院は石川県で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認された病院でもある。

   普段なら駐車場も混み合って、人も窓口で列をなすほど多いが、今回は人影もまばらで、ロビーなどはガランとした光景だった。正面入り口の「緊急のお知らせ」という張り紙が目についた=写真=。少し長いが引用する。

  「新型コロナウイルスに罹患したことが2 月21 日(金)に判明した患者様が、2 月17日(月) 、2 月19 日(水)に当院を受診されていました。
  当院では外来・病棟ともに毎日消毒を行っていますが、2月21日(金)に金沢市保健所から報告があった後、当患者様の立ち入りされた区域について、すべてアルコール消毒を行いました。さらに、23日に専門業者による病院の消毒を実施し、23 日と24 日の連休中は救急外来の診療を中止、併せて、面会を中止させていただきました 。
  濃厚接触の可能性のある職員は2月22日より自宅待機としております。今後、感染の有無を調査し、関係各所と連携を取りながら 経過を注視していきます。
  当院にはご高齢の患者様も入院されています。すべての患者様に安全安心な医療を提供すべく全力で対応させていただきます。
  専門業者による病院の消毒が終了したため、本日より通常の外来診療を開始いたします。
  患者様のご健康を第一に考えての対応でございますので、何卒ご理解をいただきますようお願い申し上げます。 令和2年2月2 5日 病院長」

  もう一枚、「お知らせ」の張り紙があった。「昨日の報道でも発表がありましたとおり、新型コロナウイルス罹患した患者様を対応した当院の医療従事者は、2月24日にPCR検査を実施し、全員が陰性でありました。 令和2年2月25日 病院長」

   上記の「緊急のお知らせ」と「お知らせ」を見る限り、ともに「2月25日」付で、メディアが病院名を報道した翌日である。院内のアルコール消毒や職員のPCR検査など院内が相当混乱したことは想像に難くない。さらに、24日になって病院名がメディアで公表され、さらに混乱に拍車がかかったのだろう。

   問診の呼び出しがあった。診療室に入り、主治医に「院内はとても静かですね」とあいさつ代わりに声がけすると、医師は「マスコミの中には誤った情報を出すところもあるので大変です」と少し気色ばんだ表情だった。

   ふと気になった。感染者はここに入院しているのだろうか、と。顔見知りの看護師にさりげなく聞いた。すると、「当病院は石川県の感染症指定医療機関ではありませんので」と言葉少なに返事があった。自宅に戻り調べると。この病院は指定医療機関(6ヵ所)のリストに入ってはいなかった。ということは、県内の感染者6人は指定病院にそれぞれ入っているということか。

⇒2日(月)夜・金沢の天気      くもり

☆ウイルス猛威、アメリカに飛び火

☆ウイルス猛威、アメリカに飛び火

          新型コロナウイルスはいよいよアメのリカにも飛び火した。CNN(1日付・Web版)は「First coronavirus deaths reported in US and Australia」(アメリカとオーストラリアでコロナウイルスによる初の死者)と大々的に報じている。何しろ、コロナウイルスの関連記事が、11月のアメリカ大統領選に向けた民主党の候補者選びのサウスカロライナ州予備選挙でバイデン氏が勝利したとの記事より扱いが格段に大きいのだ=写真=。大統領選の行方を丁寧に追いかけているCNNとしては異例の扱いかもしれない。

   トランプ大統領は記者会見し、アメリカ国内でさらに症例が増える可能性は高いと述べた。そして、「メディアや政治家ら関係者にはパニックを煽らないように願いたい。パニックを起こす理由はどこにもない」と、メディアに冷静な報道を求めた。また、新型コロナウイルス対策担当に任命されているペンス副大統領は会見で、感染が広がっている韓国とイラン、イタリアの一部地域への渡航中止を勧告すると国民に対して呼びかけた。また、一般市民はマスクを買いに走る必要はないと強調し、国内で1ヵ月当たり3500万枚のマスクを増産する方針を示した。

   トップで使っている写真はアメリカではなく、感染が急拡大している韓国での道路の消毒の様子だ。特集記事では、CNNの記者はカルト教団「新天地イエス教会」の幹部にインタビューしている。その中で、大邱教会が感染源となった理由について、証言を引き出している。「Kim also admitted members had been encouraged to deny being part of the group — not to conceal any vital information or to hamper the coronavirus investigation, but because “Shincheonji is perceived as a cult, and because of this many members are discriminated against.”」(キム氏は以下のように認めた。教団は重要な情報を隠したり、コロナウイルスの調査を妨害したりはしていない。ただ、新天地教会はカルトと見なされており、このため多くの信徒が差別されているため、信徒であることを否定するよう奨励されていた」。

   家族であれ、兄弟であれ、自ら信徒であることを隠したがゆえに感染が広がったと記者を推測している。市中感染というより、韓国独自の宗教事情により感染が拡大したようだ。

   韓国では1日現在で感染者が前日より586人増え、計3736人になった。死者も1人増えて18人に。感染者の多くが大邱市に集中している。きょう1日は、1919年に朝鮮半島で日本の植民地統治に抵抗して起きた「三・一独立運動」を記念する日で、例年は各地で関連行事が開かれるが、今年は集会の自粛が呼び掛けられ、ソウル市の広場や繁華街も閑散としているという(1日付・共同通信Web版)。

           そして金沢では。安倍総理が要請した2日からの小中学校の一斉休校の見送りを決めていた金沢市では5日から実施する。2日は通常通り授業を行い、3日と4日は休校準備で午前中のみの授業とする(金沢市公式サイトから)。さらに自身は、参加する予定でいた会議やイベントが3月だけで11も中止となった。多くは書面付議となった。

⇒1日(日)夜・金沢の天気   くもり