2020年 3月 の投稿一覧

☆「巣ごもり」脱し「のとキリシマツツジ」へ

☆「巣ごもり」脱し「のとキリシマツツジ」へ

        新型コロナウイルスの感染拡大の影響で外出を控える風潮のことを「巣ごもり」という言葉で新聞やテレビメディアが紹介している。もともとは、鳥が巣の中に入ってじっとしていること、あるいは、冬を越すため虫などが土の中にもぐったままでいることの意味だ(三省堂『現代新国語辞典 第六版』)。なかなか言い得て妙かもしれない。

   この「巣ごもり」現象から派生して「巣ごもり消費」「巣ごもりグルメ」「巣ごもり銘柄」などさまざまな言葉が出てきているから面白い。確かに、近所でも宅配のトラックやバイクが普段より多く目にする。また、自身もスーパーマーケットでこれまで買わなかったカップ麺を手に取ったり、酒類などを買い込んでいる。まさに「巣ごもり消費」にシフトしてる。石川県白山市に本社があるドラッグストア(東証一部)は昨日の終値が前日より10%値を上げた。これは「巣ごもり銘柄」だろう。

   巣ごもりと言っても、鳥や虫のようにじっとしているわけではない。テレビを視聴したり、ネット検索など情報を得よう人は動いている。ネットを閲覧していて、目にとまったニュースがあった。19日に民放連(民間放送連盟)の大久保会長(日テレ会長)が記者会見し、コロナ感染拡大の影響で、テレビ視聴率が上昇しているのかとの記者からの質問に、「ここ2、3週間の視聴率などを見ていると、少し全世帯視聴率が上がっているのではないかと言うふうにテレビの編成の責任者が言っていたことを聞いたことがあります」と答えていた(19日付・スポーツ報知Web版)。これは「巣ごもり視聴」と言っていいだろう。

   巣ごもり視聴がトレンドかもしれないが、気になるのは、テレビCMが「ACジャパン」(公共広告機構)ものがやたらと多いと感じることだ。とくに、昼から夕方にかけてはスポットCMがつきにくくなっているのだろう。今月11日付のこのブログでも述べたが、電通がまとめた『2019年 日本の広告費』によると、通年で6兆9381億円で前年比101.9%と、8年連続のプラス成長。消費税率アップにともなう個人消費の落ち込みの中でも、全体を底上げしたのがインターネット広告費で、初めて2兆円超えてトップに。一方、テレビ広告費は減り、首位の明け渡した。これを電通は「広告業界の転換点」と伝えているが、その実感も伝わってきた。

  巣ごもりばかりでは気が滅入るので、きょう花展を見に金沢市の「しいのき迎賓館」に出かけた。深紅の花をつける「のとキリシマツツジ」=写真=。本来は5月に奥能登で見頃を迎えるのとキリシマツツジだが、花展を実施している地元のNPO法人と石川県立大の研究者が協力して開花時期を調整し、2ヵ月早く8分咲きのものが鑑賞できるようになった。深紅のツツジに生命力を感じる。「コロナウイルスなんかに負けるな」と励まされているようで、心が温まる。

⇒20日(金・祝)夜・金沢の天気   くもり

★もう引くに引けない東京オリンピック

★もう引くに引けない東京オリンピック

   新型コロナウイルス感染症への不安が拡大する中、アメリカ国内で銃や銃弾を購入しようとする動きが広がっているとアメリカのCNNなどメディアが伝えている。小売店で水や食料などの品切れが相次いでいることから、略奪行為に備える防衛本能だろう。銃に頼るアメリカ人の思考回路は変わらないようだ。

  いよいよ東京オリンピックがやって来る。報道によると、IOCは電話会議の形式で臨時理事会(17日)を開催し、以下のコミュニケを公式ホームページで発表した=写真=。「The IOC remains fully committed to the Olympic Games Tokyo 2020, and with more than four months to go before the Games there is no need for any drastic decisions at this stage; and any speculation at this moment would be counter-productive.」。要約すると、東京大会まで4ヵ月あり、今は抜本的な決定をすべき時ではなく、開催に向け準備を進めていく、と。

   これを受けて、オリンピックの聖火を開催都市の東京に引き継ぐセレモニーがきょう19日にギリシャで行われ、あす20日午前中に宮城県東松島市に聖火が到着する。聖火は東日本大震災の被災地の東北3県で展示され、今月26日から国内で聖火リレーがスタートする。

   ここからは憶測だ。IOCとすれば、新型コロナウイルスの感染防止のため、無観客の大会になろうとも東京オリンピックは予定通り実施するだろう。と言うのも、IOCの収入は放送権料が73%、スポンサー料が18%とされる。放送権料の中でも大口とされるのはアメリカのNBCテレビだ。「刑事コロンボ」や「大草原の小さな家」など数々のヒット作を生み出したNBCが最初にオリンピックを放送したのが、1964年の1回目の東京大会。1988年のソウル大会以降は全米のオリンピックの放送権を独占している。

   では実際にNBCはどれだけIOCに払っているのか。韓国・平昌冬季大会(2018年)と東京大会の合算した数字だが、21億9000万㌦とされる。日本はNHKと民放がコンソ-シアムを組んでIOCに払っているが、5億9400万㌦だ。アメリカと日本では人口の違いがあるので1人当たりで計算すると、アメリカの人口を3億2800万人として1人当たり6.7㌦、1億2600万人の日本は1人当たり4.7㌦なので、チカラの入れようが分かる。IOCにとって「NBC様様」なのだ。

   アメリカでは競泳、陸上、体操がオリンピックの花形競技に視聴率が集まる。先のリオ大会(2016年)でアメリカは46個の金メダルを獲得したが、競泳16個、陸上13個、体操4個と花形3種で7割を占める。これが大会に何をもたらすかと言うと、北京大会(2008年)でも問題になったが、NBCはこうした花形競技の決勝戦をアメリカのゴールデンタイムに強引にもってこようとする。つまり、日本とニューヨークの時差は13時間(サマータイム)なので、日本では午前中の決勝へとシフトしている。

   では、秋へ延期の可能性はどうか。これもないだろう。アメリカではアメリカンフットボールが始まり、メジャーリーグのポストシーズン、プロバスケットNBAとまさにスポーツの秋を迎える。NBCとすればCMスポンサーの獲得が難しくなるので、この時期でのオリンピックとの重複は避けたいだろう。

   東京ビックサイトに設営されたIBC(国際放送センター)には、来月4月になるとIOCから放送権を得たRHBs(Rights Holding Broadcasters)と呼ばれる放送メディアが続々と準備のためにやって来る。その第一陣はおそらくNBCか。IOCはもう後には引けない。無観客でも東京オリンピックは実施する。バッハ会長はそう覚悟を決めているのではないか。

⇒19日(木)夜・金沢の天気    くもり

☆アメリカのブレーカーまた落ちる

☆アメリカのブレーカーまた落ちる

   仮に新型コロナウイルスの感染が世界的に治まったとして、人々はこれまで通りの消費活動に動くだろうか。今回のパンデミックで人々が学習したことは行動の抑制ではないだろうか。人との濃厚接触は避ける、行動範囲を極力抑えて合理的に動く、である。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と楽観的に評する人もいるが、熱さを忘れるにはかなり時間を要するのではないだろうか。行動の抑制が長引けば、それだけモノと金が動かなくなる。いわゆる経済の停滞だ。

   金融市場はそれを見越しているようだ。16日のニューヨーク株式市場のダウは、先週末に比べて2997㌦も安い2万188㌦だった。下落幅は今月12日を上回って過去最大となる。取り引き開始早々に15分間、自動的に売買を停止した。「サーキットブレーカー」がまた落ちた。ことの深刻さを浮き立たせたのは、前日の15日にアメリカの中央銀行に相当するFRB(連邦準備制度理事会)が事実上のゼロ金利政策に踏み切ることを大々的に発表したにもかかわらず、暴落したことだ。「FRBの対策が出たものの、どう動けばよいのか。とりあえず売りだ」という市場の声が聞こえてきそうだ。

   イギリスのBBCニュースWeb版は「Coronavirus: Stocks plunge despite global central bank action」(コロナウイルス:世界的な中央銀行の行動にもかかわらず株式は急落)との見出しで伝えている=写真=。記事ではたとえ話を交えて述べている。「 バーが閉まり、フライトがキャンセルされたときに、顧客は外出してマルセイユやニューヨークに出かけようと思うだろうか」、「トレーダーが本当に望んでいるのは、ウイルスの件数がピークに達し、その後の財政回復が順調であることの兆候だ」と。FRBは経済のエンジンをふかそうとゼロ金利政策に打って出たが、事態の様子見の段階に入っている今は動けない。タイミングがよくない。記事を読んだ感想だ。

   FRBに比べ、きのうの日銀の発表はインパクトに欠けた印象だったものの、ある意味で正解だったのかもしれない。株価の下支えを狙って、ETF(上場投資信託)の購入枠を年間6兆円から12兆円に倍増させるとともに、企業の資金繰り支援も決めている。黒田総裁は「マイナス金利政策が限界で、これ以上できないということはない。深掘りが必要なら実施する」と述べていた。追加策を持っているとワンクッション置いた言い方だった。手の内をさらけ出すのではなく、説得力と安心感を持たせると言い方ではある。

⇒17日(火)朝・金沢の天気    くもり

★春風に笑む花と世の無常

★春風に笑む花と世の無常

   この時節庭の花が色とりどりに咲き始めている。フクジュソウ(福寿草)は黄色い花、カンシャクヤク(寒芍薬)は白や紫と、春を感じさせる。先日友人から花入れを頂戴したこともあって、さっそく活けてみた。

   まず床の間に飾ってみる。春先なので掛け軸は「桃花笑春風」(とうかしゅんぷうにえむ)を選んだ。唐代の詩人・崔護の漢詩の一部「桃花依旧笑春風」が元の書である。うららかな春風に揺られて咲く桃の花は、まるで微笑んでいるようだ。無心に咲く、花の美しさよ(淡交社『茶席の禅語大辞典』より)。床の間をじっと見つめていると、モモ、フクジュソウ、カンシャクヤクの花が春風にそよいでいるように思えるから不思議だ。

   さらに禅語風に、花は変わらず咲くが、人の世は変わってしまうという無常感とも解釈できる。本来ならば春の訪れを祝うかのように人の心はうららかになり、街も華やいでくる。ところが、人の世は新型コロナウイルスの流行(はや)りで滅入っている。春の選抜高校野球の快音と歓声は聞けなくなり、世界は互いに国境を閉ざしている。   

   WHOの記者発表(ジュネーブ・現地時間13日)をチェックすると、新型コロナウイルスの感染は139の国・地域に及び、感染者は13万2000人、死亡者は5000人超えとなった。テドロス事務局長は死者が5000人を超えたことを、「a tragic milestone」と述べている(WHOホームページ)。これを「悲劇的な節目」と解釈するか、あるいは「悲惨な節目」と解釈するかは別として、世の無常を感じさせる言葉ではある。

⇒15日(日)午前・金沢の天気    はれ

☆コロナ危機 アメリカの国家非常事態宣言

☆コロナ危機 アメリカの国家非常事態宣言

   新型コロナウイルスの舞台はアメリカに移ったようだ。ニューヨーク・タイムズWeb版によると、独自の集計でアメリカ国内の感染者が2100人となり、死亡は48人となった。感染が確認されたのは48州と首都ワシントン。トランプ大統領は13日の記者会見で、国家非常事態宣言を出した。これにより、FEMA(連邦緊急事態管理庁)の災害対策予算など最大で500億㌦(5兆4000億円相当)を、感染拡大の防止や各州ならびに地域行政の対策に投入することができるようになる。

   国家非常事態宣言とは別に、連邦保健機関に83億㌦を提供する緊急対策措置法も成立させる。健康保険に加入していなくてもウイルスの検査を受けられるようにする。また、休職や解雇を余儀なくされた人たちのために所得の保障や、失業保険を充当させる。すでに野党・民主党の合意を得ていて来週にも成立する。

   ニューヨーク・タイムズWeb版によると、今回の記者会見でトランブ大統領は政府の危機対策だけでなく、国民に大規模な集会を避け、出張を延期するなど「短期的な犠牲」を払うよう呼びかけた。これからの8週間はウイルス拡散を防ぐために重要であるとして協力を求めた。記事は、トランプ大統領の締めのコメントを紹介している。「“This will pass through,” Mr. Trump said, “and we’re going to be even stronger for it.”」

   意訳だが、「コロナ危機を乗り超えよう、そうすれば、私たちはパンデミックに対してさらに強くなるだろう、とトランプ氏は述べた」だろうか。国家非常事態宣言らしい、危機対応への戦闘意欲がにじみ出た言葉ではある。もちろん、来る11月の大統領選挙を意識したに違いない。   

            今回の記者会見は、ニューヨーク株式市場の取引終了前のタイミングだったこともあって大きく値上がりした。ダウの終値は前日に比べて1985㌦高い2万3185ドル。前日は2352㌦安と過去最大の値下がりだった。そこそこ値を戻したとは言え、1ヵ月前の2月12日は2万9551㌦の史上最高値をつけているので、きのう13日の終値は最高値に比べマイナス21.5%だ。今後「we’re going to be even stronger for it.”」と力強く動くかどうか。

   それにしても、民主党は大統領候補者選びの選挙がやりにくくなったのではないか。すでに、10日に予定されていたオハイオ州でのバイデン陣営とサンダース陣営の支持者集会はキャンセル。15日夜にアリゾナ州でバイデン氏とサンダース氏の討論会が開かれるが、主催するCNNは会場に観客を入れずに実施すると発表している。

⇒14日(土)午前・金沢の天気   くもり時々あめ

★未明にグラグラ、能登で震度5強

★未明にグラグラ、能登で震度5強

   先ほど金沢の自宅で就寝しているとグラグラと揺れを感じた。一瞬「関西か」「能登か」と思い浮かんだ。1995年1月17日の阪神淡路大震災、2007年3月25日の能登半島地震のときもも同じような揺れを感じたからだ。スマホでNHKニュースを確認すると「能登地方で震度5強」の速報が出た。能登に住む知人にショートメールで「どうだった」と確認すると、「ガタガタと揺れたが、家は大丈夫」と返信があった。

   テレビのNHKを確認すると、「午前2時18分に輪島市で震度5強、穴水町で震度5弱、マグニチュード5.5、七尾市や中能登町、志賀町、能登町、高岡市、富山市などで震度4、金沢市などで震度3」と報じられている。   

   テレビ画面で表記されている震源(✖印)は2007年3月25日の能登半島地震のときと同じ場所、輪島市門前町沖だ。このときは輪島市と穴水町でマグニチュード6.9、震度6強だった。写真はそのときの輪島市門前町の様子だ。この地区だけで200余りの住宅が全壊したと記憶している=写真・上、2007年3月26日撮影=。明け方になるにつれて全容が明らかになるだろう。地域のみなさんの無事を祈りたい。 ⇒記述:3月13日午前3時24分現在

        震源地近くで震度5強だった輪島市門前町に住む知人に8時50分に電話して、街の状況を聞いた。「13年前に比べると棚から物がそれほど落ちていない。瓦が落ちたとか壁が崩れたということもない。ただ、総持寺の石灯籠が一部崩れたらしい。13年前と比べるとおとなしい地震だった」と。この地域ではけが人も倒壊家屋もなかったと聞いて少し安心した。気象庁が午前4時30分から行った記者会見をネットのライブ中継で視聴していた。今後1週間ほど最大震度5強程度の地震に注意が必要とのこと。 ⇒記述:3月13日午前9時19分現在 

  新聞各紙は夕刊で被害状況を詳細に伝えている=写真・下=。JR七尾線、のと鉄道は一部で区間運休となった。輪島市の小学校などでは図書館で棚から落ちた大量の書籍類が散乱、給食室でも食器棚から皿など食器が落下した。能登地域では地震に人的被害や火災の発生はなかった。 ⇒記述:3月13日午後7時50分現在 

        世界の金融・経済も大揺れだ。12日のニューヨーク株式市場のダウ終値は前日比2352㌦安の2万1200㌦、下げ幅は9日につけた2013㌦安を超え、過去最大となった。ドイツやフランスの株価指数は12%強下落し、イタリアの指数は17%近く値下がりした。新型コロナウイルスの感染拡大が直撃している。13日東京株式の日経平均も一時1830円を超え、取引時間中の下げ幅としてはバブル経済末期の1990年4月以来、30年ぶりの大きさになった。日経平均の終値は12日より1128円58銭安い、1万7431円なった。終値が1万8000円を下回るのは2016年11月以来となる。(13日付・日経新聞Web版)。 ⇒記述:3月13日午後8時10分現在 

☆ついにパンデミック宣言、世界は

☆ついにパンデミック宣言、世界は

   WHOのテドロス事務局長は11日、新型コロナウイルス感染症について「パンデミックと表現できるとの判断にいたった」と表明した。中国にとどまらずイタリアや韓国、イランなど世界の広範囲に拡大し、これらの国からさらに他国に広がる例も多発。全世界で感染者数が12万人、死者は4380人に上っている。テドロス氏は「感染者や死者は今後も増える」と予測した(12日付・共同通信Web版)。

   パンデミック宣言を受けて、11日のニューヨーク株式市場のダウは前日比1464㌦安の2万3553㌦で取引を終えた。下げ幅は今月9日の2013㌦安に次ぐ過去2番目の大きさを記録した。パンデミックによる景気後退への懸念から投資リスクを回避する売り、「弱気相場」に入り込んだ(同)。

   さらにニューヨーク株式の流れを受けて、12日の東京株式の日経平均は一時1000円安で午前中は時1万9000円を下回る展開となった。この背景には、アメリカのトランプ大統領が感染拡大の防止措置として、イギリスを除くヨーロッパからアメリカへの入国を13日から30日間停止すると発表したことが、世界経済の減速要因ととらえられた(12日付・日経新聞Web版)。

  パンデミックは経済だけにとどまらない。ニューヨークに本部がある国連は、コロナ感染を防ぐため、今月下旬から来月にかけて予定されていた2つの国際会議の延期を決め、本部を閉鎖するかどうかについても具体的な検討に入った。国連では、今月すでに女性の地位向上を話し合う一連の会議が延期され、11日には新たに今月下旬から来月下旬にかけて開く予定だった生物多様性の保全に関する政府間協議と、先住民の権利保護を話し合う国際フォーラムなど次々と延期を決めている(12日付・NHKニュースWeb版)。

  ドイツのメルケル首相は11日の記者会見で、新型コロナウイルスのワクチンは存在しないと述べ、このままの状況が続けば「人口の6割から7割が感染すると専門家は言っている。ウイルスは身近にある」と語った。医療機関の受け入れ能力を維持するため、感染の急拡大防止に取り組んでいると訴えた(12日付・共同通信Web版)。(※写真は11日付・イギリスBBCニュースWeb版。「Italy shuts nearly all shops as WHO declares pandemic」、WHOがパンデミックを宣言したため、イタリアはほぼすべての店舗を閉鎖すると伝えている)

⇒12日(木)午前・金沢の天気    はれ

★「広告業界の転換点」 ネットがテレビを抜く

★「広告業界の転換点」 ネットがテレビを抜く

   きょうは「3月11日」。東日本大震災が起きて満9年になる。震災発生時、私は大学の公開講座で社会人を対象に広報の在り方について講義をしていた。テレビ速報を見た講座の担当教授が血相を変えて講義室に駆け込んできて、「東北が地震と津波で大変なことになっている」と耳打ちしてくれた。受講者には私から東北で地震があったことを口頭で伝えた。自宅に戻りテレビ画面でその惨状を見て愕然とした。

   2ヵ月後の5月11日に仙台市と気仙沼市を調査に訪れた。当時、気仙沼の街には海水の饐(す)えたような、腐海の匂いが立ち込めていた。岸壁付近では、津波で陸に打ち上げられた大型巻き網漁船が横わたっていた。この目で現場を見て、改めて津波のすさまじさを思い知らされた。死者・行方不明者は1万8千人、犠牲者へ哀悼の意をささげたい。

       「ついにこの日が来たか」と感じたニュースがあった。メディア各社が報じている、電通がまとめた「2019年 日本の広告費」によると、通年で6兆9381億円で前年比101.9%と、8年連続のプラス成長だった。不透明な世界経済や相次ぐ自然災害、消費税率アップにともなう個人消費の落ち込みや弱含みのインバウンド消費など厳しい風向きの中でも、インターネット広告費が初めて2兆円超えてトップの座に躍り出て全体を底上げした。一方、テレビ広告費(1兆8612億円)は減り、首位の座をネットに明け渡した。電通は「広告業界の転換点」と伝えている。

  テレビ広告費ついてもう少し詳細に見てみる。テレビ広告費は地上波放送と衛星放送を合わせた数字だ。対前年比で言えば97.3%だった。地上波単体だと1兆7345億円で対前年比97.2%となる。スポット広告は、軽減税率関連やキャッシュレス関連のCMが増加した一方で、スポット全体としては、台風などの自然災害や、消費税増税に伴う出稿控えやアメリカと中国の貿易摩擦の経済的影響などで、3年連続で減少した。業種別では「官公庁・団体」「金融・保険」などが増加し、「情報・通信」「化粧品・トイレタリー」などが減少した(※写真は電通「2019年 日本の広告費」から)。

  「広告業界の転換点」の意味は、2019年を機にすでに欧米で著しいネット広告へのシフトが日本でも加速すると示唆している。さらに今年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で経済が減速する中、テレビ広告にニーズが向くだろうか。放送と通信の同時配信、そして広告費の減収と民放テレビが大きく様変わりしていくだろう。

⇒11日(水)夜・金沢の天気    くもり

☆コロナ危機 経済のブレーカー落ちる

☆コロナ危機 経済のブレーカー落ちる

  「今さら発言」ではないだろうか。WHOのテドロス事務局長は9日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて「パンデミックの脅威は現実味を帯びてきた」と述べた。一方で、依然、制御は可能だと強調し、感染国・地域が100を超えた現実を踏まえ、柔軟に対応していく考えを示した(10日付・共同通信Web版)。パンデミックはもう起きていると世界に警報を出すのがWHOのスタンスではないだろうか。

   世界の経済はすでにパニックに陥っている。週明け9日のニューヨーク株式のダウは暴落し、前週末比で2013㌦安となった。1日の下げ幅としては過去最大。ダウの下落率は7.79%で、アメリカの金融危機が深刻化したリーマンショックで2008年10月15日(7.87%)以来の大きさ(同)。アメリカ株式はどちらかと言うと、強気の相場感があったが、コロナショックに原油相場の急落が重なり一気に崩れたのではないか。

   ニューヨーク株式のダウ暴落のニュースをNHKで視聴していて、聞いたことのある横文字があった。「サーキットブレーカー=Circuit Breaker」。自動的に売買を停止する装置のようだ。ニューヨーク株式の主要500社の株価指数「S&P500」の下落率が7%を超えると自動的に15分間、売買が停止されるのが第一段階。取り引きは再開されるが、下落率が13%に達した場合は第2段階として再度15分間の売買停止。それでもさらに下がって下落率が20%を超えると第3段階としてその日の売買はすべて停止となる仕組みのようだ。今回は第一段階でのサーキットブレーカーだった。

   生活の中でも「ブレーカーが落ちる」という言葉を使うことがある。落雷や漏電、電気を使い過ぎるとブレーカーが自動的にダウンする、電気回路の遮断器のこと。フルの名称はサーキットブレーカーだ。

   「資本主義の総本山」ニューヨークで世界経済のブレーカーが落ちた。きのう2万円を割った東京株式の日経平均にどう連鎖していくのか。

⇒10日(火)朝・金沢の天気    あめ

★コロナ危機 「独り相撲」の寂しさ

★コロナ危機 「独り相撲」の寂しさ

   きょう午前の株価が急落して2万円を割り込み、円相場が1㌦=101円に。新型コロナウイルスの世界への感染拡大がついに「円高株安」へと波及してきた。リーマンショックの再来、「コロナショック」だ。

   きのう初日の大相撲の春場所。テレビで見ていたが、会場にいつもの観客の歓声やざわめきがなく、アナウンサーの声も弾まず淡々と伝えているように感じた。ふと浮かんだ言葉が「独り相撲」という言葉だ。相手もいないのに、独りで意気込むことの意味で今でもたまに使う。大相撲を揶揄するつもりはまったくないが、力士がどれだけ頑張っても歓声なき土俵は寂しい。体と体がぶつかる音は聴き応えはある。

            さらに「独り相撲」を感じるのが北朝鮮の弾道ミサイルの発射だ。テレビのニュース速報によると、北朝鮮ははきょう9日午前7時34分から35分にかけて、北朝鮮の東岸から、複数の弾道ミサイルとみられる飛しょう体を北東の方向に発射、日本海に落下した。日本のEEZ(排他的経済水域)の外側と推定されるという。「このご時世に金正恩氏は何を独りで意気込んでいるのか。国内のコロナ感染対策はどうなっているのか」と思ってしまう。

    安倍総理も「独り相撲」の感がある。いきなり発表された「学校閉鎖」(2月27日)や「無利子・無担保融資」(3月7日)は唐突な感じがした。これは憶測だが、国内でのコロナ感染の拡大のほかに、総理には別の危機感があるのだろう。共同通信の世論調査(2月15-16日実施)で、内閣支持率が8.3ポイントも減少し41%、不支持率は9.4ポイント増の46.1%だった。読売新聞の調査(同14-16日実施)も、支持率が5ポイント落ちて47%、不支持率は4ポイント上昇して41%だった。内閣支持率の20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾ-ン」と呼ばれる。第一次安倍改造内閣が退陣した直前の読売新聞の内閣支持率は29.0%(2007年9月調査)だった。

   この「危険水域」の苦しみを味わっているがゆえに、「これ以上落としてはならぬ」ともがくようにコロナ対策に手を打ち始めている。これが傍からは「独り相撲」のように見える。

⇒9日(月)午前・金沢の天気      はれ