☆アメリカのブレーカーまた落ちる
仮に新型コロナウイルスの感染が世界的に治まったとして、人々はこれまで通りの消費活動に動くだろうか。今回のパンデミックで人々が学習したことは行動の抑制ではないだろうか。人との濃厚接触は避ける、行動範囲を極力抑えて合理的に動く、である。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と楽観的に評する人もいるが、熱さを忘れるにはかなり時間を要するのではないだろうか。行動の抑制が長引けば、それだけモノと金が動かなくなる。いわゆる経済の停滞だ。
金融市場はそれを見越しているようだ。16日のニューヨーク株式市場のダウは、先週末に比べて2997㌦も安い2万188㌦だった。下落幅は今月12日を上回って過去最大となる。取り引き開始早々に15分間、自動的に売買を停止した。「サーキットブレーカー」がまた落ちた。ことの深刻さを浮き立たせたのは、前日の15日にアメリカの中央銀行に相当するFRB(連邦準備制度理事会)が事実上のゼロ金利政策に踏み切ることを大々的に発表したにもかかわらず、暴落したことだ。「FRBの対策が出たものの、どう動けばよいのか。とりあえず売りだ」という市場の声が聞こえてきそうだ。
FRBに比べ、きのうの日銀の発表はインパクトに欠けた印象だったものの、ある意味で正解だったのかもしれない。株価の下支えを狙って、ETF(上場投資信託)の購入枠を年間6兆円から12兆円に倍増させるとともに、企業の資金繰り支援も決めている。黒田総裁は「マイナス金利政策が限界で、これ以上できないということはない。深掘りが必要なら実施する」と述べていた。追加策を持っているとワンクッション置いた言い方だった。手の内をさらけ出すのではなく、説得力と安心感を持たせると言い方ではある。
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