2020年 2月 の投稿一覧

★早すぎるウメの開花、異常気象の心配

★早すぎるウメの開花、異常気象の心配

   金沢市内でウメがあちこちで開花している=写真=。何しろ暖冬なのだ。金沢地方気象台のホームページには「生物季節観測」というページがある。ウメやサクラが開花した日やウグイスやアブラゼミの初鳴きなどの日が記されている。ことしは金沢のウメの開花日が「2月3日」、平年は「2月26日」なので三週間余り早いことになる。ちなみに、最も早い記録は1998年の「1月28日」、最も遅い記録は1957年の「4月6日」だ。

           「梅は咲いたか、桜はまだかいな」などと、のんきなことは言っておられない。最も早かった1998年との差は4日しかない。1998年はエルニーニョ現象で世界的に異常気象が発生し、世界の平均気温が観測史上1位という記録的な高温となった。そして、スーパータイフーンと呼ばれた台風10号など超大型台風が暴れまくった年だった。ということは、昨年に続きことしも台風イヤーか。昨年の梅の開花は「2月18日」、ことしはさらに15日も早い。昨年よりさらに大荒れの台風かやって来るのか。梅を眺めながら、今年はどんな気象になるのかと心配になる。

    心配と言えば、新型コロナウイルスの感染が日本で広がっている。きょう16日のNHK番組で、加藤厚労大臣がクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で、新たに70人の乗客の感染が確認されたと述べていた。クルーズ船での感染者はこれで合わせて355人だ。この数字はすべて日本でカウントされるので、国内感染は400人を超えたことになる。死者は1人。さらに中国での死者は1665人、感染者は6万8500人と発表されている。東アジアへの厳しい視線が世界から注がれていることだろう。

    日曜日ということもあって、金沢の繁華街は人通りは多かったが、見る限り、7割がマスク姿だ。おそらく観光客であろう、レンタルの和服姿のカップルもマスクを着けていた。和服にマスクは似合わないと思うのだが。(※写真は16日午後、金沢市西町で撮影)

⇒16日(日)夜・金沢の天気     あめ

☆「大将」の道

☆「大将」の道

   四季折々、3ヵ月に一度ほどの割合で訪れている寿司屋がある。先日もカンター(6人掛け)に座り、海の幸を堪能した。白エビのイカごろかけ、イカのウニかけ、マグロのトロあぶり、彩りよく次々と出てくる。スピード感ある包丁さばきや握りの技術、小さなカウンターだが独特の食の空間が醸し出されて、これがまた味わい深い。

   カンター越しに店主との対話も楽しめる。一度聞こうと思っていた質問をぶつけてみた。「この店では、お客さんから大将と呼ばれますか、あるいはマスターと呼ばれますか」と。すると、「3人に2人は大将、1人はマスターですね」と笑った。続けて、「マスターと呼ぶ人のほとんどはシニアの方ですね」と。すると、隣の30代とおぼしき男性客は「そりゃ大将でしょう。寿司屋でマスターという外来語は何かヘンですよね」とうなずいた。

   60歳の真ん中、ひと昔前なら「高齢者」と呼ばれた自身も店主のことを「マスター」と呼んでいるので、確かにそうだ。でも、なぜいわゆるシアニ世代は「マスター」と呼ぶのだろうか。我々の世代は「大将」は「お山の大将」というイメージや、店主が我々より若いということもあって、「マスター」とつい呼んでしまうのかもしれない。もし、店主が70代だったら、「大将」あるいは「おやっさん」と呼んでいるかもしれないなどと話しながら、ブリ、サンマ、イクラ巻をつまんだ。   

   店主はもともと千葉の出身で、東京銀座の寿司店で修業を積んだ。金沢は縁もゆかりもなかったが、旅行で訪れた金沢の近江町市場に並ぶ魚介類の豊富さと鮮度の高さに惚(ほ)れ込んだ。すし屋として独立するなら金沢でと決めて単身で移住した。

   北陸新幹線金沢開業の1年後の2016年3月開店にこぎつけた。しかし、金沢で「鮨道」を極めるには超えなければならない難関が待っていた。ところが開店はしたものの、江戸前の銀シャリの味が金沢の食通の人には馴染まず、酢の配合が定まるまで試行錯誤の日々が続いたという。

    カウンター向こうの壁に『粋』と墨書の大額が飾られている。その右下に『人間到る処青山あり 極鮨道』と。世の中どこで死んでも青山(墳墓の地)はあるから、夢を達成するためにあえて郷里を出る。鮨道(すしどう)を極める。店主自らの書である。「大将」の道を極めようと人生修業に励む姿がここにある。

⇒15日(土)夜・金沢の天気    くもり

★コロナショック、「5G元年」の出鼻くじく

★コロナショック、「5G元年」の出鼻くじく

           知人からも誘いを受け、一度は行ってみたいと思っていたMWCがコロナウイルス感染の拡大で中止になったと聞いて驚いた。何しろ開催地は地球の遠方のスペイン・バルセロナ。そして、MWCはモバイル・ワールド・コングレス、世界モバイル展である。日本にとっては、「5G元年」に当たることから注目していた業界や関係者も多かったはず。まさに、コロナ感染で「5G元年」の出鼻がくじかれたと思っている関係者も多いのではないか。

   MWCは、毎年この時期にバルセロナで開かれていて、世界の通信関連企業がスマホや5Gなど最新の技術やサービスを展示する場として知られる。今年は今月24日から27日まで開催される予定だったが、コロナウイルスの感染が拡大する中での開催となることから、主催者は会場の消毒を徹底するとともに参加者に握手を控えるよう求めるなど対策を講じていた。

   ところが、12日になって主催者側はコロナウイルスに対する世界的な懸念の高まりから開催は不可能と判断し、開催を取り止めを発表した。報道によると、ソニーやNTTドコモのほか、韓国のLG電子、スウェーデンのエリクソンといった代表的な企業が「従業員や来場者の健康を守るため」などとして相次いで出展を見送った(13日付・NHKニュースWEB版)。

          おそらくMWCの開催中止で一番ショックを受けているのは中国の最大手通信機器「ファーウェイ」ではないだろうか。前回参加した知人からのリポート。「同社が誇るチップから中継、送信のトータル提案が、整理されてプレゼンされています。ネットワーク構築のAIを生かした効率の良い支援体制も用意されていました。5Gの技術では、世界のリーダー、それを印象づけるものでした。ブースで説明する人たちも自身満々です。制裁措置など、お構いなし。5G対応のチップを独自で開発し、それを生かした5Gネットワークの構築という分野で、その技術力を見せつけた、そんな印象でした」

   ここからは憶測だ。上記のリポートで描かれているように、MWCで張り切るのはファーウェイを始めとする中国の関連企業群なのだ。口角泡を飛ばすようなにぎやかな雰囲気なのだろう。ソニーやNTTドコモ、LG電子、エリクソンといった企業が辞退したのも、中国の関連企業から参加するスタッフからのウイルス感染を恐れたのではないだろうか。

   世界最大規模と評価が高い展示会の中止は今後、世界の展示会に波及するかもしれない。東京オリンピック・パラリンピックの開催のゆくえも気になる。

⇒13日(木)朝・金沢の天気   あめ

☆コロナ感染、アメリカの異常警戒の背景

☆コロナ感染、アメリカの異常警戒の背景

      新型コロナウイルスの感染拡大は止む気配がない。報道によると、中国・国家衛生健康委員会は新型コロナウイルスによる中国本土の死者が1113人、感染者が4万4653人になったと発表した(12日付・共同通信Web版)。厚生労働省はきょうクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗船者のうち新たに39人の感染が判明し、さらに検疫官1人も感染したと発表している。言葉は適切ではないかもしれないが、検疫官も巻き込みウイルス感染との戦いがまさにドロ沼化している。

   ニューヨーク・タイムズWeb版(2月6日付)=写真=で気になるが記事が出ている。「China’s Lavish Funds Lured U.S. Scientists. What Did It Get in Return?」。記事を要約すると、アメリカのハーバード大学教授が中国政府からの学術・研究協力の名目で多額の研究資金などを受け取っていたことを報告していなかったとして、アメリカ司法省は1月下旬、教授を「重大な虚偽、架空請求、詐欺」の容疑で訴追(逮捕は2019年12月10日、その後、21種類の生物学的研究を中国に密輸しようとした罪で起訴)していた。捜査当局はアメリカの71機関で、中国当局によって180件もの知的財産権が盗用された疑いがあるとして捜査を行っている。

   教授はハーバード大学化学・化学生物学部のチャールズ・リーバー氏で、ナノサイエンス・ナノテクノロジーの分野で世界最先端の研究を行っている化学者。リーバー氏は中国の武漢理工大学の「戦略科学者」として2011-16年までの雇用契約を結び、5年間で毎月5万㌦(540万円)の研究費と年間15万㌦(1620万円)の生活費を支給されていた。

   リーバー教授には「武漢理工大・ハーバード大共同ナノテクノロジー研究所」の設立費として150万㌦(1億6200万円)の資金も提供されていた。アメリカ司法省は、リーバー教授が中国側と契約を結んでいた時期と、アメリカ国防総省と国立衛生研究所から研究資金を受け取っていた期間が重なっていることを問題視した。

   注目したいのは、リーバー教授が中国と、アメリカ国防総省と国立衛生研究所からダブルで研究資金を受け取っていたころ、武漢理工大学に出向いていたことだ。教授はアメリカ国防総省と国立衛生研究所からの受託でどのような研究をしていたのか。単純に、生物化学兵器を連想させるのだが。そして、武漢理工大学でどのような研究をすることで、高額な所得を得ていたのだろうか。研究と言うより、ひょっとして生物学的研究の中国への持ち込みだったのか。

   アメリカはコロナウイルス感染に当初からきびしく対応している。今月2日から実施している3項目は、中国からの外国人の入国を一時的に禁止(過去14日以内に中国を旅行した外国人対象)、湖北省・武漢から帰国したアメリカ国民の強制隔離(2週間)、過去14日以内に湖北省以外の中国から帰国したアメリカ国民は2週間の監視付き自宅隔離。ヒトとヒトの感染が猛威を振るうことをあらかじめ見通していたかのような対策である。

   リーバー教授の生物学的研究の中国への密輸で逮捕・訴追、武漢理工大学での研究、武漢でのコロナウイルスの感染拡大、アメリカのスピーディな対応、どのような関連性があるのか。果たして一体化したストーリー展開はあるのか。偶然の出来事、なのか。

⇒12日(水)午前・金沢の天気     はれ

★ホスピタリティのプロ対応

★ホスピタリティのプロ対応

    1000人の大台が間近になってきた。肺炎を引き起こす新型コロナウイルスによる死者が中国で91人増え、中国全土の死者は計902人となった。感染者も全土で3万9000人となった(10日付・共同通信Web版)。収まる気配がない。

   TVメディアなどが連日報じている、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で新たに6人の感染を確認され、乗客乗員の感染者数は計70人となった(同)。「ダイヤモンド・プリンセス」のニュースで目を引いたのは、クルーズ船の運航会社「プリンセス・クルーズ」(本社:アメリカ・サンタクラリタ)は、集団感染が発生した今回のクルーズでの旅行代金を全乗客に全額払い戻し、無料にすると明らかにしたことだ(10日付・産経新聞Web版)。

   記事によると、同社は9日夜、船内の客室で待機する乗客に社長のメッセージを配布し、クルーズの旅行代金だけでなく、クルーズ前後の航空費やホテル宿泊費、送迎料金、オプションの寄港地での観光ツアーなども含め、今回の旅行で乗客が支払った全ての代金を全額を払い戻すとした。検疫下に置かれた待機期間中の費用も請求しないとしている。「ストレスを少しでも緩和できるよう願っています」との社長メッセージが添えられている。

   単なる太っ腹ではない。利益より客にストレスを与えないことを最優先するという、ある意味で「もてなし」と察する。もてなしはホスピタリティ(hospitality)と訳される。欧米のもてなしは癒しが言葉のルーツだ。サービス(service)は役に立つことや奉仕 、供給などの意味はで解釈されるが、ホスピタリティとはニュアンスが異なる。

   プリンセス・クルーズ社は現状の隔離状態によって、乗客に精神的な苦痛で与えていると相当重く受け止めたのだろう。しかし、現状では我慢を引き続きお願いするしかない。そこで金銭的な負担を一切かけないことで、ストレスを少しでも和らげる客対応に打って出た。乗客とすれば、会社側が大幅な経営赤字になることを覚悟でメッセージを丁寧に届けてくれたことを評価するだろう。「プリンセス・クルーズ社は私たちと痛みを分かち合ってくれている」と。こうした相互の信頼関係の構築がストレスの緩和になるのは言うまでもない。

   混乱の中での冷静な対応に、プロ意識を感じる。ウイルス感染の暗いニュースの中で心が和らぐ物語ではある。(※写真はプリンセス・クルーズ社のホームページより)

⇒10日(月)午前・金沢の天気    くもり時々ゆき

☆そのマスク姿が次なる風評被害に

☆そのマスク姿が次なる風評被害に

   ついに「SARS」を超えてしまった。中国・湖北省の保健当局は8日現在で、新たに89人が死亡したと発表した。中国全体での死者の数はこれで811人となった。2002年から2003年にかけて流行した新型肺炎「SARS」の世界全体の死亡者数が774人だったので、これを超えたことになる。感染者は中国全体で3万7千人となった(9日付・共同通信Web版)。

   中国は隔離や検疫などの対策を施しているが、ウイルスの封じ込めには至っていない。イギリスBBCのWeb版をチェックすると、日本の感染者は86人で中国に次いで2位。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で「隔離」されたマスク姿の日本人女性が日本の国旗に「くすり ふそく」と書いて訴える姿が紹介されている。アメリカCNNのWeb版では香港でのマスク姿の群衆が掲載されている=写真=。

         このような世界のニュースをチェックして気になるのは東京オリンピック(7月24日-8月9日)とパラリンピック(8月25日-9月6日)への影響だ。2002年11月に中国・広東省で発生したSARSが終息したのは翌年7月だった。足かけ9ヵ月かかっている。新型コロナウイルスの発生は昨年12月とされるので、SARSと同じ長さの流行期間と仮定すれば終息は8月だろう。

   冒頭で述べたようにコロナウイルスはSARSを超える勢いだ。日本人の感覚からすれば、「それは中国での数字でしょう」となるが、世界の目線からだと、東アジアでひと括りの話になる。ましてや今回のウイルス感染で、世界中に映像で広がった「マスク姿」はウイルス感染のシンボルになった。

   気になるのが、ウイルス感染がなくても、普段でも東京はマスク姿が目立つ。この夏に東京のマスク姿が世界に流れたらどうなるだろう。「東京ではまだウイルス感染が終息していない」との風評被害を拡散させることになるのではないか、と案じたりもする。

   WHOが終息宣言を出さない限り、東京オリンピック・パラリンピックの開催は無理だろう。早めに競技会場入りをする選手たちはもっとナーバスになっているに違いない。

⇒9日(日)午前・金沢の天気   くもり時々ゆき

★WHOへ1億㌦の太っ腹、1千万㌦の「なぜ」

★WHOへ1億㌦の太っ腹、1千万㌦の「なぜ」

           マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツ氏の慈善財団が新型コロナウイルスの対策のために1億㌦を寄付することがニュースになっている。さっそくホームページ=写真=にアクセスすると、以下のプレスリリースが掲載されていた。

   「The foundation will provide up to $100 million to improve detection, isolation and treatment efforts; protect at-risk populations in Africa and South Asia; and accelerate the development of vaccines, drugs and diagnostics.」(財団は、検出、隔離、治療の取り組みを改善するために最大1億㌦を提供します。アフリカと南アジアのリスクのある人々を保護します。ワクチン、薬、診断薬の開発を加速します)

   1億㌦の寄付、日本円で109億円になる。寄付の先は感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)などにワクチンや治療薬の開発資金として最大6000万㌦、ウイルス拡散防止にWHOやアメリカ疾病管理予防センターなどに最大2000万ドル、さらに中国など複数の国家公衆衛生局にも支援を予定しているようだ。発表文では、「This response should be guided by science, not fear」(対策は恐怖ではなく、科学によって導かれるべきである)というゲイツ氏の言葉が添えられている。

   この言葉はどこかで聞いたことがあると思ったら、WHOが先月30日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したときに記者会見したテドロス事務局長の言葉だ。「This is the time for facts, not fear.This is the time for science, not rumours.」(恐怖ではなく、事実の時。これは噂ではなく科学の時です)

   ということは、テロドス事務局長がゲイツ氏に寄付を要請する「営業」をかけたのではないかと察した。おそらくこの言葉を用いて、ワクチンや治療薬の開発資金を提供してほしいとゲイツ氏に直接懇願したのだろう。営業はゲイツ財団だけではない。なんと日本政府にも働きかけている。WHO本部で6日開かれた記者会見で、テドロス事務局長は資金面での協力を呼びかけに日本政府が1000万㌦の拠出を表明したと述べている(7日付・NHKニュースWeb版)。

   新型肺炎のまさに当事者である日本政府に資金拠出を要請するこの感覚は何だろう。緊急事態宣言に名を借りた寄付集めではないか、と考え込んでしまう。それにしても、金を出す日本政府も政府だ。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の船内に今月3日から乗客と乗員全員3600人を横浜港沖に停めおいて、その経費はだれが負担するのか。WHOへの1000万㌦、これが果たして国民が納得できる税金の使い方なのだろうか。

⇒7日(金)午後・金沢の天気    くもり時々ゆき

☆経済不況という寒波

☆経済不況という寒波

  北陸にようやく雪が降った。今季初めてお目にかかる「初雪」だ。ただ、金沢の自宅周囲で数㌢なので、ごあいさつ程度の積雪だ=写真=。朝、ご近所さんと言葉を交わしたが、「ようやく降りましたね」と声がけすると、「もうちょっと降ってもらわんと心配やね」だった。北陸人にとっては降るべき時に降ってもらわないとこれからのシーズンで反動があるのではないかと不安が募る。これから1週間の天気予報をチェックすると、9日に雪マークがついている以外は、ほかに雪の予報はない。ひょっとして、これが名残雪(なごりゆき)か。

   日本でも広がり続く新型コロナウイルスだが、共同通信Web版(6日付)によると、中国本土の死者は6日現在で563人となり、感染者は2万7000人を超えた。武漢市の死者は414人、感染者は1万117人となった。きのうのブログでも述べたが、日本に帰国した邦人565人の感染率1.4%から推測しても、人口1100万人といわれる武漢市では感染者が15万4000人でも不思議ではない。おそらく検査体制が追い付いていないのだろう。現地の混乱ぶりがこの数字から読める。

   6日の東京株式の日経平均は大幅続伸して始まり、午前9時15分現在で前日比387円高の2万3706円。おそくら、ニューヨーク株式のダウが大幅に続伸し、9営業日ぶりに2万9000㌦台を回復したことを受けてのことだろう。勢いづく株式投資とは裏腹に、中国での経済減速の影も見え隠れしている。

   東証一部の上場企業である化学素材メーカー「小松マティーレ」(本社・石川県能美市)が、中国・江蘇省で計画していた合成繊維の加工・染色の新工場を見送り、連結子会社を解散・精算すると発表した、と地元各紙が伝えている。新工場で中国やヨーロッパ向けに衣料などの生産体制を増強する予定だったが、中国の経済の減速を受けて当初予定していた需要が見込めないと判断したようだ。要は、現地判断で経済復興は当面見込めないと判断し、投資を撤回したのだろう。

   もう一つ。「KOMTRAX(コムトラックス)」という「経済指標」がある。小松製作所(コマツ)が販売したブルドーザーなどにGPSをつけて自社製品の稼働状況を確認するために備え付けたデータだ。これによって各国に輸出した建機の稼働状況がわかり、経済状況もある意味で判断できる。昨年のデータ(前年同月比)を見ると、北米(アメリカ、カナダ)はプラスの月が多いが、日本、ヨーロッパ、中国はマイナスの月が多い。中でも中国は1月と10月に10数%の大幅なマイナスだ。

           では、日本はどうか。実はこの数字を眺めていて寒気を感じる。9月のプラス3.1%以外は11ヵ月すべてマイナスだ。9月のプラスは観測史上最強クラスのといわれた台風15号が関東を中心に甚大な被害を出したことから、ブルドーザーなどの需要があったのだろう。では、さら強力な台風19号が猛威をふるった10月はどうだったのか。関東・甲信越の河川の堤防が140ヵ所で決壊して甚大な被害があった。それでも、10月は7.9%、11月は2.9%のマイナスだった。少々不謹慎な言い方かもしれないが、もし台風19号が来なかったら中国並みの13.7%のマイナス、あるいはそれ以上だったかもしれない。財政支出の息切れでインフラ整備が滞り、経済不況がじわりと忍び寄っている。中国のことは言っておられない。

⇒6日(木)午前・金沢の天気    くもり

★正念場、中国の危機対応

★正念場、中国の危機対応

   新型コロナウイルスの感染が日増しに拡大しているようで不気味さが増す。中国の保健当局は、感染者数は4日までに新たに3887人確認されて2万4324人に、死亡者数も湖北省で新たに65人増えて490人となったと発表した(5日付・NHKニュース)。

   最近は中国から発せられる数字そのものに怪しさを感じる。1日付のこのブログでも試算したように、日本政府はチャーター機3便を武漢市に派遣し邦人565人を帰国させた。そのうち感染者は8人と診断された。感染率は1.4%となる。衛生観念が割とある日本人でこの感染率だ。この感染率を人口1100万人といわれる武漢市の感染者数に落とし込んでみると15万4000人となる。

   ところが、武漢市の感染者数は先月31日に「3215人」と発表されて以来、数字が出ていない。仮にこの数字で計算すると武漢市の感染率は0.029%なのだ。地元の人たちは濃厚接触が日本人と比べ物にならないほど多いだろうから、「3215人」の数値に真実味がないと疑わざるをえない。

   この非常事態に揺れる中、中国のガバナンスにも首をかしげる。報道によると、中国の習近平国家主席ら党最高指導部は3日、ウイルスによる肺炎に関する対策会議を開き、初動対応などに誤りがあったことを認めた。指導部が誤りを認めるのは異例、という。ところが、対応の遅れを認めたのはよいが、その責任を現場組織の幹部たちに押し付けるかのように続々と処分しているようだ。湖北省の党地方幹部や赤十字の関係者ら400人処分したとの報道もある(5日付・東京新聞Web版)。事態がある程度収束してからの処分ならば理解できるが、事態が揺れ動く中での処分はかえって混乱を招くのではないか。

   3月5日には全国人民代表大会(全人代)が北京で開催され、さらに4月上旬とされる習国家主席の国賓訪日も迫ってきた。中国は壮大な夢を持っている。人民元を国際決済通貨として世界に広め、国連本部をニューヨークから北京に持ってくることを、おそらく正夢として望んでいるだろう。今回の危機対応いかんによって、夢は脆くも崩れるのか、あるいは次なるステップへと踏み出すのか、問われるのではないか。

⇒5日(水)朝・金沢の天気     あめ

☆「マスクの被告人」の高笑いが聞こえる

☆「マスクの被告人」の高笑いが聞こえる

   きょう(4日)は立春。暦の上ではきょうから春になる。ところが、北陸・金沢ではまだ冬が来ていない、冬将軍はおろか、細雪(ささめゆき)や牡丹雪(ぼたんゆき)も今季は見ていない。ただ、天気予報ではあすから雪マーク、7日の最低気温はマイナス4度となっている。どの程度の雪なのか、本当に降るのか、と思いながら日々の新型コロナウイルスのニュースを気にかけている。

   先日、金沢のお茶会に出席し、濃茶が振舞われた。濃茶は数人で廻し飲みが作法なのだが、席主は「このご時世ですので」と一人が一つの茶碗で飲む一服点てだった。茶席とはいえ、このご時世では廻し飲みに抵抗感を持つ人もいるだろ。こうした茶道文化にまで新型ウイルスのインパクトが及んでいると実感した。

   金沢でもマスク姿が目立ってきた。コンビニでマスクが売り切れの店もある。商品はあっても、「お一人様一枚でお願いします」との注意書き付きだ。ところで、マスクと言えば、あの人を思い出す。カルロス・ゴーン被告だ。昨年3月6日、一回目の保釈で東京拘置所から出てきた姿は、青い帽子に作業服姿、顔の半分以上が隠れる特大マスクが印象的だった。

   なぜ、マスク姿で拘置所から出てくる必要性があったのだろうか、この作業服を着た意味は何か、と思ったものだ。このとき、保釈金10億円を納付したのだから堂々と出てきて、記者会見をすればよかったのではないか。いま思えばマスク姿が好みだったのではないかと思ったりもする。

   そのゴーン被告は逃亡先のレバノンで何を語っているのだろうか。ひょっとして、この「ご時世」を語っているのではないか。「はやり日本を脱出してよかった。新型コロナウイルスが中国や日本でまん延しているので、逃げて正解だった。オレは運がよかった。パンデミックで日本を潰してしまえ」などと高笑いしているかもしれない。

⇒4日(火)午後・金沢の天気     はれ