2020年 1月 の投稿一覧

☆2020 先読み~広告が映す未来戦略

☆2020 先読み~広告が映す未来戦略

   それにしても大晦日・元旦の紙面をめくっていて、広告の派手さがエスカレートしていることに気づく。思わず「こりゃ何だ」と声を出してしまったのが、12月31日付・朝日新聞に掲載された立命館大学の全面見開き広告『立命館から、アメリカ大統領を。』だ。文章を読むと、「2040年、立命館で学んだアメリカ大統領が誕生する。と言ったら、あなたは笑うかもしれいない。でも、20年前の1999年に、2019年を想像できた人はなかった。ならば『あり得ない』と言い切ることは、誰にもできないはずだ。」と。

     「立命館から、アメリカ大統領を」の壮大キャッチに覚悟が見える

  文章に理はあるものの、『立命館から、アメリカ大統領を。』のキャッチコピーは誰が考えたのだろうか。このキャッチを採用するかどうかについて、経営内部で相当な議論があったことは想像に難くない。「突き抜けたグローバル教育」を標榜する大学だけあってスケール感が違う。さらに右下に小さく、「この広告は、米国でも同時展開しています。」と記してある。ハーバード大学に対抗意識を燃やしてのことか。この広告のアメリカ現地の評判を聞いてみたいものだ。

  2020年は再び新しい十二支のサイクルがスタートする子(ね)年に当たる。いただいた賀状も圧倒的にネズミのイラストが多い。それなのに、元旦付の全国紙では『2020 ねこ年、始まる。CATS キャッツ』の全面広告が目を引いた。キャッツと言えば、世界中にファンがいる、ミュージカルの金字塔「キャッツ」だ。それを映画化した、ミュージカル映画のロードショーが今月24日から始まる。エンターテイメントとしては最高峰かもしれない。それにしてもこの広告、ネズミ年を意識して、あえて「ねこ年、始まる。」のキャッチコピーを入れたところに、意外性のたくらみが読めて面白い。

     Netflix、動画配信サービスで世界のトップランナーに

  だじゃれと言えばだじゃれなのだが、同じ映画のPR全面広告で「銀河新年 2020年の『夜明け』はスター・ウォーズと共に」も面白い。元旦の賀状あいさつは「謹賀新年」が定番だが、それをあえて「銀河新年」と。また、動画配信サービス「Netflix」は全面広告4面を使って「正月はNetflixざんまい!」をPRしていた。アメリカのナスダック市場で、10年前と比較して株価が41.8倍と、上昇率で首位になるなど業績含めて絶好調。4面全面広告からもその鼻息の荒さが聞こえてくる。

     トヨタ、自動運転をベースに街づくりを構想する未来戦略

   鼻息の荒さでは、トヨタの全面見開き広告「未来を、どこまで楽しくできるか。トヨタイズム」というキャッチも負けてはいない。クルマからモビリティへ、モビリティからコネクティッド「シティ」構想へ。自動運転をベースに、街づくりを担う会社としてのトヨタの未来戦略が読めて、実に考えさせる広告ではある。

⇒3日(金)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

★2020 先読み~五輪後の景気は

★2020 先読み~五輪後の景気は

   ゴーン、ゴーンとまるでお寺の鐘のようにテレビや新聞で鳴り響いている。きょう元旦の紙面は、日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告が秘密裏に中東のレバノンに出国していた問題を取り上げている。ヨーロッパの複数のメディアは、計画が数週間前から周到に準備され、妻のキャロルが重要な役割を担ったと伝えている(1日・NHKニュース)。

   このような脱法行為が許されるはずがないだろ。ゴーン氏は保釈の条件で海外への渡航が禁じられていた。このため、東京地裁は保釈を取り消し、納められた保釈金15億円は没収する。仮にゴーン氏が帰国した場合には身柄が拘束され拘置所に勾留される。不可解なのは、日本の出入国在留管理庁のデータベースにゴーン氏が日本から出国した記録がまったくないことだ。法律の抜け道をくぐった脱法行為による出国ということになる。この方が重大だ。誰が指南したのか。あるいは、日本の司法制度がそれほど緩いのか。このニュースはさておき、2020年の先読みを試みる。まず、日本の景気は。

     東京オリンピック後に日本の景気は低迷するのか

   オリンピック後に不動産市場が低迷し、建設需要も冷え込むのではないか。老朽化した公共インフラを更新すればよいとの論もあるが、では労働力の確保はどうなる、財源の確保はどうなるのか。日銀は大規模な金融緩和を続けているが、いつまで続く。金融緩和を続けていけば必ずひずみが出るのではないか。また、日本の最大の貿易相手国、中国の経済はすでに「成長の限界」に来ているのではないか。リーマンショック後、中国は積極的なインフラ投資などで経済成長を果たしてきたが、その成長モデルはもう通用しないだろう。そして、11月3日にアメリカ大統領選挙が行われる。これか世界の経済、日本の景気にどう影響するのか、だ。

    アメリカと中国の貿易交渉、これからの見通しは

   米中貿易交渉の第1段階の合意については、アメリカの中国への輸出が2倍に、中国が今後2年間でアメリカの農産品の購入を2000億㌦(22兆円)相当を増加させると報じられた。今後の米中貿易交渉で、日本がとばっちりをくらうことにもなるかもしれない。アメリカに輸出される中国製品には、日本製の電子部品や材料が多く使われている。アメリカが中国製品に制裁関税をかければ、実質的には日本製品にも高関税がかかることになる。米中の貿易交渉が今後テクノロジーをめぐってはエスカレートすればするほど日本への打撃が大きくなるのではないか

    デジタル人民元はドルに対抗できる通貨となりうるのか

   中国が構想しているデジタル人民元はデータ改ざんが難しいブロックチェーンの活用が基本とされる。とくに、マネーのやり取りを追跡できるようになれば、マネーロンダリングや詐欺、脱税といった犯罪の抑止になる。注目すべきは、中国国内の不動産バブルが崩壊するなど債務問題が一段と深刻化する中で、このデジタル人民元は吉と出るか、凶と出るか、だ。一方、アメリカはフェイスブックのリブラを警戒している。リブラを認め、世界的に普及すれば、国際決済で40%のシェアを占めるとされるドルそものもが形骸化する可能性も出てくる。

    「5G元年」、情報技術と産業はどこまで融合していくのか

   情報技術をさまざまな産業分野に結びつける動きが加速している。金融では「FinTech」と呼ばれる造語ができ、教育では「EduTech」、農業では「AgriTech」、広告では「AdTech」、医療では「HealthTech」と言うように。テクノロジー(Technology)と既存産業との融合は「Society5.0」とも言われているが、その在り様もある意味で問われている。「5G元年」ともいわれる2020年はどのように展開していくのだろうか。

⇒1日(水)午後・金沢の天気      はれ