☆「ミッションインポッシブルに挑戦」の理屈
保釈中にレバノンに逃げたカルロス・ゴーン被告がきのう午後10時(日本時間)から現地で2時間余りの記者会見を行った。しかし、ゴーン被告側の制限で会場に入れてもらえなかった日本のメディアが多く、記者会見というよりむしろお気に入りのメディアを招いた「記者懇談会」だろう。今朝の各社のニュースによると、ゴーン被告は日本では公正な裁判を受けられる望みがなかったと逃亡を正当化する主張を行ったが、どのような経路で日本を脱出したのか、その経路については一切、明かにしなかったようだ。
面白い下りはこうだ。「私はミスター不可能と言われてきた。たくさんのミッションインポッシブルに挑戦してきた。1999年に日本に行ったときにもそう言われた。日本語もしゃべれないし無理である。フランスから、ルノーからやって来た人で誰もあなたのことは知らないと。でも、その後のことは皆さんご存知のとおり。私は不可能な状況の中でも色々なことができる。嫌疑を晴らしたい。真実が明るみに出るようにしていく」。ミッションインポッシブル、まさにその通り。保釈中にレバノンに逃げたこと、そのものだ。まるで「スパイ」のようだ。
これに対し、ゴーン被告の発言を受けて東京地検はホームページ(9日付)でこのように述べている。「被告人ゴー ンが約130日間にわたって逮捕・勾留され、また、保釈指定条件において妻らとの接触が制限されたのは、現にその後違法な手段で出国して逃亡したことからも明らかなとおり、被告人ゴーンに高度の逃亡のおそれが認められたこと や、妻自身が被告人ゴーンがその任務に違背して日産から取得した資金の還流先の関係者であるとともに、その妻を通じて被告人ゴーンが他の事件関係者に 口裏合わせを行うなどの罪証隠滅行為を現に行ってきたことを原因とするもの で、被告人ゴーン自身の責任に帰着するものである」
ゴーン被告にはもともと逃げる意志が感じられたので、あえて130日間にわたって逮捕・勾留となったのだ、と。実に分かりやすいが、それが現実となった。その意味では、ミッションインポッシブルに挑戦し可能にした男、まるでハリウッドのスター気取りだ。
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