2019年 10月 の投稿一覧

☆台風の最中、正常化の偏見

☆台風の最中、正常化の偏見

    きょうは朝から雨風が絶え間なく吹き寄せている。金沢では午後から相当荒れそうだとTVニュースで報じているので、緊張する。午前中に7都県の140万人以上に避難指示や勧告が出され、9月の台風15号の被害を受けた千葉県市原市では竜巻によって住宅が倒壊するなどの被害が出ているようだ。窓から外庭を見つめていると、ムクゲの花が一輪咲いているのに気がついた。風で花が散ってはもったいないとの衝動にかられ、ハサミをもって風雨の庭に出て、小枝ごと切ってきた。

    ムクゲは、白の一重花に中心が赤い、いわゆる底紅(そこべに)という種類だ。茶道の三千家(表、裏、武者小路)の祖とされる千宗旦が好んだことから、「宗丹木槿(そうたんむくげ)」とも呼ばれる。アカジクミズヒキとともに活け、和室の床の間に飾る=写真=。ムクゲは早朝に咲き、一日でしぼんで落ちてしまうことから、花の命は短く、「ムクゲ花、一日の栄」と茶席では言ったりもする。私自身はムクゲはたくましい花だと感心している。花一輪は短命でも、次から次と咲き続け花期が長い。ただ、きょう摘んだ花は最後の一輪かもしれない。

    以下は勝手な解釈だ。千宗旦が好んだとされる底紅はそのたくましさにあるのではないか。宗旦は千利休の孫にあたる。利休が豊臣秀吉から切腹を命ぜられ、利休の先妻の子・道庵と後妻の子・小庵は地方に逃れる。京に戻ったのは数年後で、徳川家康や前田利家らが取りなした。小庵は秀吉から利休の遺品を下賜され、京の千家の後を継ぐ。道庵も京に戻り、利休の出身地である堺の千家を継ぐが、道庵の没後に絶えてしまう。秀吉の没後、小庵は家康に仕えて、その後、小庵の子・宗旦に千家を譲る。それぞれは短命ながら、必死に茶道を継いできた。そうしたファミリー・ヒストリーを宗旦は底紅にイメージを重ねたのかもしれない。

   ブログを綴っているうちに風雨がさらに強くなってきた。ニュースでもよく使われるようになった防災用語に「正常化の偏見」や「正常性バイアス」という言葉がある。目の前に危険が迫ってくるまで、その危険を認めようとしない人間の心理傾向、あるいは危険を無視する心理のことを指すようだ。ということは、台風の最中に庭に出て、花をめでようとする行為はまさに正常化の偏見の極みか。

⇒12日(土)午後・金沢の天気   あめ

★迫る台風19号、茜色の夕空

★迫る台風19号、茜色の夕空

  見事な茜(あかね)色の風景だった。きょう午後5時37分、金沢の外環状道路を車で走っていて西の空に見えた=写真=。暴風雨の前のつかの間の和みの光景か。非常に強い台風19号が迫っている。あす12日は北陸も大荒れとなる見込みだ。自身が講義を予定をしていた金沢大学の人材養成事業「能登里山里海SDGsマイスタープログラム」も次週に延期となった。紙面ではラグビーのワールドカップもニュージランドvsイタリア(愛知・豊田市)、イングランドvsフランス(横浜市)が中止となり、試合はドロー(引き分け)扱いとなると報じられている。確かにこの2会場は19号の直撃コースだ。

  それにしてもラグビーW杯の盛り上がりはだれが予想していただろうか。W杯の開催ついての功労者は、かつて「神の国」発言で物議をかもした森喜朗元総理であることは選挙地盤でもあった石川県民が地元紙を通じてよく知っている。森氏が日本ラグビーフットボール協会の会長を務めていた2009年に今回の第9回W杯の日本招致に成功した。 当時は衆議員在任中でもあったので、「趣味のラグビーのために国費を使うのか」などと冷ややかな声も地元ではあった。政界引退後は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長を務める。ラグビーW杯と東京オリンピック・パラリンピックが成功裏に終われば、「スポーツ界の神様」と称されるかも。

  森元総理のことはさておき、ラグビーについて知るとなんとグローバルなスポーツかと実感する。その国に3年以上滞在していれば、その国の選手として国籍に関係なく出場できるのだ。日本チームのメンバーはニュージーランドのトンプソンルーク、南アフリカのピーター・ラブスカフニ、オーストラリアのジェームス・ムーア、韓国の具智元ら。多国籍を超えて、日本チームとして結束しているところが見事だ。国歌斉唱では外国人選手も「君が代」を歌い、むしろグローバルさを感じさせる。

  このラグビーの在り様は、日本が取るべき将来の進路ではないかと考える。急速に進む少子高齢化で働き手や担い手が不足する中、日本の多国籍化を進めていく。国際化と述べると共通の理念が求められるが、目標に向かって結束する場合は多国籍化でよいのではないか。多国籍化が求められるのは、スポーツだけでなく、研究開発やマーケット戦略、生産性や教育分野など幅広い。市民生活でもあえて日本人の社会に溶け込む必要はない。たとえば、金沢に「ニュージーランド村」や「南アフリカ村」があってもいい。日本の法律の下でお互いに暮らし安さを追求すればそれでよいのではないか。茜色の夕空を見てそんなことを考えた。

⇒11日(金)夜・金沢の天気    はれ

☆学生たちのメディア接触度

☆学生たちのメディア接触度

    金沢大学の共通教育科目「マスメディアと現代を読み解く」「ジャーナリズム論」では履修学生を対象にマスメディアとの接触度についてアンケート調査を行っている。2016年から実施し、今回で4回目となる。インターネットやSNSの普及し、若者の「メディア離れ」が言われて久しいが、その実態を学生の協力で調査している。

    新聞との接触度では「毎日読む」が4年間で4%から10%で推移している。これに対し「読まない」は75%から81%となっている。金沢大学の学生調査(20Ⅰ7年)によると、学生の自宅からの通学は17%で、自宅外のアパートや学生寮からの通学が圧倒的に多いことも新聞に触れる機会が少ない原因とみられる。金沢大学はもともと自宅外通学の学生が多いが、ネットやスマホの普及でこの傾向に拍車がかかったといえる。

    テレビとの接触度では「毎日見る」が2016年は65%だったが以降は漸減し、2018年と2019年は50%を前後している。「見ない」は2016年の12%から、2019年は21%に増えている。テレビには位置の固定と時間の固定があり、帰宅しないと視聴できない。「毎日見る」は50%前後だが、学生からは「帰宅すると一人でさみしいのでテレビは付けているが、見たい番組がない」との意見も聞く。テレビ離れはコンテンツ離れともいえるのではないか。ネットによる動画配信サービスが定着しつつある中、テレビは放送と通信の当時配信を始める。

    アンケート調査結果だが、この科目を履修する学生はもともとメディアに関心を持っている学生がいることも調査には加味しなければならないことは言うまでもない。

⇒9日(水)夜・金沢の天気     くもり

★猛烈な台風接近、北の漁船は

★猛烈な台風接近、北の漁船は

   能登半島沖の日本のEEZ(排他的経済水域)できのう(7日)、水産庁の漁業取締船と北朝鮮の漁船が衝突した事故で、沈没した漁船の乗組員60人が救助され、別の北朝鮮の船に引き取られた。これで一件落着なのだろうか。事故の原因は、取締船が北の漁船に放水して退去するよう警告したところ、漁船が急旋回して取締船の左側から衝突してきたと報じられている(8日付・NHKニュースWeb版)。通常、船同士がぶつかりそうな場合、左側の船が衝突をよけるルールとなっているが、避けることなく衝突し沈没した。

   日本側への威嚇による故意の事故なのか、単なる操縦ミスなのか、伝えられていない。水産庁が撮影しているであろう衝突映像を国際社会に公開すべきだ。衝突が単なる事故なのか、故意に衝突した「事件」なのか。それにしても不可解なのは、なぜ、救助した60人全員を帰すことになったのか、だ。本来ならば北の船長や機関士らから事情聴取すべきだろう。水産庁の目的は違法操業をさせないことで事故原因の調査ではないとするならば、海上保安庁にバトンタッチすべきだろう。

   日本海のスルメイカの漁期は6月から12月だ。これからの日本海は荒れやすい。大型で猛烈な台風19号も接近している。能登半島や金沢の海岸線に打ち上げれた北の漂着船をこれまで何度か目撃した。2018年1月10日朝、金沢市下安原海岸に北朝鮮の漁船が漂着し、船内から7人の遺体が見つかった。現場に足を運んだ。船の中には、ハングル文字で書かれた菓子袋などが散乱し、迷彩服もあった。ひょっとして軍人が乗っていたのではないかと勘繰った。小型船で日本海の大和堆に繰り出して漁をする。荒れる日本海に命がけで、なぜそこまでしてイカ漁に固執する必要があったのだろうか。上からの命令なのか。

      海上保安庁によると、昨年1年で北朝鮮からとみられる木造船の漂着は201件で前年の2倍。問題はこうした漂着船の解体処分や遺体の火葬をするのは自治体だ。石川県に漂着した木造船などの処分費用21件880万円。最終的に国が全額負担している。猛烈な台風19号の接近で難破する北の漁船も増えるだろう。無謀で不合理な光景がまた繰り返されるのか。(※写真・上は水産庁の取締船と北朝鮮の漁船の衝突を報じる石川県の地元紙、写真・下は2018年1月に金沢市下安原海岸に漂着した北朝鮮の漁船)

⇒8日(火)朝・金沢の天気      あめ

☆能登半島沖、北の漁船と衝突の衝撃

☆能登半島沖、北の漁船と衝突の衝撃

   これは起こるべくして起きた「事故」ではないだろうか。報道によると、きょう7日午前9時10分ごろ、能登半島の北西、350㌔の沖合で、水産庁の漁業取締船「おおくに」と北朝鮮の大型漁船が衝突した。北朝鮮の漁船は浸水、乗組員が海に投げ出され、水産庁の漁業取締船が救助にあたり、夕方までに漁船の乗員60人を救助した(読売新聞Web版)。衝突した現場は日本のEEZ(排他的経済水域)内だった。北朝鮮は2日朝、東部の元山付近から弾道ミサイル1発を発射し、島根県隠岐諸島の北約350㌔㍍の日本のEEZ内に撃ち込んでいる。

   現場は日本有数のスルメイカの漁場で知られる「大和堆」。ここ数年6月から12月にかけて北朝鮮のイカ網漁船による違法操業が繰り返されている。ことし8月23日午前9時半ごろ、同じ大和堆で北朝鮮海軍らしき旗を掲げた小型高速艇と北朝鮮の国旗が船体に描かれた船の不審船2隻を水産庁の取締船が見つけ、連絡を受けた海上保安庁の巡視船が駆け付けた。高速艇には小銃を持った船員がいた。周辺には日本のイカ釣り漁船が操業していて、水産庁は漁船に対し安全確保のため海域を離れるよう指示した。

   言うまでもないが、領海の基線から200㌋(370㌔)までのEEZでは、水産資源は沿岸国に管理権があると国連海洋法条約で定められている。ところが、北朝鮮は条約に加盟していないし、日本と漁業協定も結んでいない。そのような北朝鮮の漁船に排除行動を仕掛けると、北朝鮮が非批准国であることを逆手にとって自らの立場を正当化してくる可能性がある。おそらくそこが取り締まる側としては悩ましいところなのだろう。うがった見方をすれば、今回の衝突事故は北から仕掛けれた可能性もある。8月23日の接近問題では北の船が水産庁の巡視船に30㍍にまで近寄ってきた。相手を威嚇するためだろう。

   同じ日本海でロシアと「事件」も起こしている。先月9月17日にロシア国境警備隊が、日本海のロシアのEEZで北朝鮮の密漁船2隻をだ捕し、乗組員80人以上を拘束したと発表している。このとき、北の密漁船1隻から武力攻撃を受け、国境警備隊3人が負傷した。ロシア側は、同月12日にもロシアのEEZでイカを密漁していた北の漁船16隻を拿捕し、250人以上を拘束している。

   なぜこれほど北は強気に出てくるのか。北朝鮮では海軍が水産事業所を所有し、漁船は各部隊の傘下に所属して漁に出ているとされる。昨年12月には、金正恩党委員長が日本海側にある軍の水産事業所3ヵ所を視察し、軍の幹部らに漁業活動に力を入れるよう指示を出したとされる。また、北朝鮮では近海の漁業権を中国に売却したため、漁民が危険を冒して大和堆などの沖合に出ざるをえない事情があるとも言われている。北にすれば、ロシアのEEZより、日本のEEZの方が拿捕されないので「安全」と見くびっているかもしれない。

   おそらく北による違法操業は当面止むことはないだろう。日本は水産庁が撮っているであろう今回の映像を国際社会に公開すべきだ。衝突が単なる事故なのか、故意に衝突した「事件」なのか。

        夕方の報道によると、北朝鮮籍の漁船は漁業の準備をしようとしていたため、水産庁が退去させようと警告した。しかし、船は止まることなく水産庁の船に左側から衝突してきた。通常、船同士がぶつかりそうな場合、左側の船が衝突をよけるルールとなっているが、よけることなく衝突し沈没したという。関係者は日本側への威嚇ではなく船の操作ミスではないかとの見方を示している(日テレNEWS24)。

⇒7日(月)夜・金沢の天気      くもり

★マーラー交響曲『巨人』、闇と光の相克

★マーラー交響曲『巨人』、闇と光の相克

   きょう(6日)午後、久しぶりに石川県立音楽堂に出かけた。バイオリンを弾く知人が出演する「石川フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会」=写真・上=。ジョン・ウィリアムズの『スターウォーズ』組曲では、「帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)で指揮者がライトセイバーを持ち出して指揮したのには思わず笑い。グスタフ・マーラーの交響曲『巨人』では、ウトウトと眠りかけていたのに第4楽章の冒頭でシンバルの強烈な一撃をくらってビックリ。勝利感に満ちたフィナーレで、ブラボー屋たちも思わず叫んでいた。アンコールの同『花の章』は最後にハープがポロリンと演奏をしめたのが印象的だった。

   この演奏を聴いていて、さまざまなニュースが脳裏に浮かんできた。『スターウォーズ』では、アメリカの配車大手「ウーバー・テクノロジーズ」が「空飛ぶタクシー」をアメリカ・テキサス州ダラスとロサンゼルスでの試験飛行するのに続いて、オーストラリアのメルボルでも始めるというニュース(6月)を思い出した。垂直着陸が可能な電気小型航空機を活用する空飛ぶタクシーは、無人機ではなくパイロットが操縦する。空のライドシェアの先駆けでもある。「Uber Air」のホームページにあるPR動画=写真・下=は、空を飛ぶというイメージよりも、高層ビルを宇宙船に見立てて、その空間をつなぐというモビリティ(移動)の発想が映画『スターウォーズ』をイメージさせるのだ。

  『巨人』の演奏を聴いていて、揺れる香港をイメージした。今月1日のニュースでは、中国建国70年の軍事パレードよりも、香港の若者たちの必死の主張に耳を傾けた。マーラーが思い描いて作曲したのは、まさに生きる希望ではなかったと感じる。自由な言論、自由な議論、自由な社会活動、自由な経済、自由な学問研究など、香港が一国二制度という枠組みで守ってきた歴史を絶対に揺るがせないという若者の熱意と、マーラーの激しく情熱的な全楽器による演奏(第4楽章「嵐のように激しく揺れ動いて」)が実に響き合う。 

   一方で、『巨人』の同じ第4楽章には混沌とした「闇」を連想させる部分もある。関西電力と行政の原発立地の闇というイメージが膨らむ。エネルギーという公共性の高い事業なのだが、現在の科学では核廃棄物を処理が不可能である。原発にはそうした社会的な負の部分がどうしてもつきまとう。「闇金」を回し合いながらお互いを慰め合っているとしか思えない。マーラーの曲は、深く濃い「闇」をクライマックスの凄まじい「光」でその「闇」を打ち消して終わりを告げる。名曲である。

⇒6日(日)夜・金沢の天気     くもり時々はれ

☆韓国の荒れた日

☆韓国の荒れた日

    台風18号から温帯低気圧に変わり、金沢でも今朝から非常に激しい雨が降っている。台風18号をネットで調べると、AFP通信(日本語版)が「韓国の行政安全省は3日、豪雨と強風を伴って同国に上陸した台風18号により、少なくとも9人が死亡、さらに数人が行方不明になっていると発表した。」と伝えている。この台風は2日夜に韓国に上陸し、洪水警報が発令された。同省によると、これまでに家屋1000戸以上が損壊したという。

    同じAFP通信によると、同日、ソウルでは文在寅大統領に退陣を要求するデモが開かれたと、写真(21枚)を掲載している=写真・上=。韓国の中央日報も「『チョ・グク法務部長官、辞退を』光化門~ソウル駅の2.1㌔㍍を埋め尽くした」との見出しで空撮映像を掲載している=写真・下=。産経新聞Web版によると、ソウル中心部で文氏退陣を求めるデモは数十万人規模。先月28日に行われた文大統領の支持デモと同規模で、「国論の二分が鮮明になった」と報じている。

    また、この日は疑惑の渦中にある曺国法相の妻である韓国東洋大教授のチョン・ギョンシム被告=先月23日に起訴=が検察に出頭し事情聴取が行われたとNHKなど日本のメディア各社も伝えている。チョン被告は、娘の大学進学に有利になるよう東洋大総長名義の表彰状を偽造したとし、私文書偽造の罪で在宅起訴された。韓国では逮捕状の請求に至るかどうかが注目されている。不正入学疑惑では、すでに娘や息子も聴取するなど異例の捜査展開となっている。検察改革を掲げる曺国法相との対立が増々深まっているようだ。

    文在寅大統領に退陣を要求するデモもこの国民不信によるものだろうか。韓国ギャラップのホームページをチェックすると、文大統領の支持率(9月第3週の調査)は支持率が40%(前回43%)、不支持率53%(同49%)で、支持率は落ち込んでいる。支持しない主な理由はやはり曺国氏を法相に任命した人事問題だった。

    3日は「開天節」と呼ばれる韓国の祝日で、建国記念日に相当するめでたい日だが、大荒れの日になったようだ。

⇒4日(金)朝・金沢の天気     あめ

★今ここにある朝鮮半島の夢と現実

★今ここにある朝鮮半島の夢と現実

  北朝鮮はきのう(2日)朝、東部の元山付近から弾道ミサイル1発を発射し、島根県隠岐諸島の北約350㌔㍍の日本のEEZ(排他的経済水域)内に着水した。防衛省ホームページによると、河野防衛大臣=写真=はきょう3日午後5時45分から5分間の臨時記者会見を行った。北朝鮮が発射した弾道ミサイルが新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられ、打ち上げ角度を高くするロフテッド軌道での発射でなければ射程が2500㌔㍍に達するもので、準中距離弾道ミサイルとの見解を示した。陸上ではなく、沖合で発射されたが、実際に潜水艦が使われたかどうかは、さらなる分析が必要と述べた。記者との質疑は以下。

記者:今回の北朝鮮のミサイルの飛距離が2500㌔㍍におよぶSLBMということで、トランプ大統領は、短距離については問題にしないということで発言をしていたと思いますが、これは明らかに、問題になるような弾道ミサイルだと思いますが、その点はいかがでしょうか。
河野大臣:日米間では、短距離のミサイルであっても安保理決議に違反をしているということは問題であるという認識は、これまでも共有しております。当然に、このミサイルについても、そうした考え方は共有しております。トランプ大統領は、この米朝プロセスを進めるために、様々、発言をされ、あるいは、ツイートされておりますが、そういう目的でやられているということで、日米ともに了解しております。

記者:SLBMと断定するに至った、何か新しい情報はあるのでしょうか。差し支えない範囲で、どのような根拠でそうだと言えるのかを説明していただけますか。
河野大臣:分析の中身は申し上げられません。

記者:日韓の情報共有についてですが、昨日、日本政府は当初、2発発射というところから、その後1発が分離した可能性があると修正されていると思いますが、GSOMIAを含め、日韓での情報共有に支障を来たしているということはあるのでしょうか。
河野大臣:そのようなことはありません。

記者:潜水艦かどうかはともかく、中距離弾道ミサイルを発射するという北朝鮮の軍事行動が、日本の安全保障、あるいは、地域の安全保障にとって、どのような脅威になるとお考えでしょうか。
河野大臣:日本の安全保障にとって、深刻な脅威であるということは間違いないことでありますし、国際社会にとっても非常に大きな課題であるという認識は、広く国際社会で共有されていると思います。

記者:2段式ということですか。
河野大臣:2つに分離している可能性はあると思います。

   北は今年に入って弾道ミサイルを含む飛翔体を11回も発射していて、ミサイル技術の高度化が進んでいる。一方の韓国の文在寅大統領は8月15日の「光復節」で「2032年ソウル-ピョンヤン共同オリンピックを成功裏に開催し、2045年の光復100周年までには平和と統一で一つになった国(One Korea)として世界の中でしっかりと立つことができるように、その基盤をしっかりと固めると約束する」(8月15日付、韓国・中央日報Web版)と述べた。これが今ここにある夢と現実なのだろう。

⇒3日(木)夜・金沢の天気     あめ

☆新聞の価値、フェイクニュースと戦うこと

☆新聞の価値、フェイクニュースと戦うこと

   金沢大学で担当している共通教育科目 「マスメディアと現代を読み解く」(1単位)の授業(全8回)の学生たち75人にマスメディアとの接触度を尋ねるアンケートを行った。アンケートの設問は「あなたは新聞を読みますか 1・毎日読む 2・週に2、3度 3・まったく読まない」。その結果(回答者68人)は「まったく読まない」68%、「週に2、3度」22%、「毎日読む」10%だった。調査を始めた2016年から「まったく読まない」は漸減し、3年間で10ポイント減った。逆に「週に2、3度」は16%から22%に推移して、6ポイント増えている。「毎日読む」も6%から10%だ。数字で見る限り、下げ止まりから反転傾向は浮かんでくる。
 
   とは言え、若い世代で新聞は生活必需品となってはいないのが現状だ。きょうから始まった「消費税10%」だが、新聞は軽減税率が適応され、8%で据え置かれた。軽減税率の対象には「酒類・外食を除く飲食料品」のほかに、「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」が含まれている(国税庁ホームページ)。ただ、同じ新聞でも電子版での購読料は10%になる。アナログが軽減税率で、デジタルが増税、この違いはなぜだ。

   善意に解釈する。活字文化は単なる消費財ではなく「思索のための食料」という考え方がヨーロッパにはあり、新聞に税を課さない国(イギリス、ベルギー、デンマーク、ノルウェー)もある。EU加盟国では標準税率が20%を超えるが、新聞に対する税率を10%以下にしている国は多い。フランスは付加価値税が20%に対し、新聞は2.1%、ドイツは同19%、新聞は7%、イタリアは同22%、新聞は4%だ。

   日本新聞協会はきょう1日付で「消費税軽減税率の適用にあたって」と題して以下のような見解を発表している。以下要約。 

   私たちは報道・言論により民主主義を支え、国民に知識・教養を広く伝える公共財としての新聞の役割が認められたと受け止めています。民主主義の主役である国民が正しい判断を下すには、信頼できる情報を手軽に入手できる環境が必要です。私たちはそう考え、新聞の購読料への課税を最小限にするよう求めてきました。最近では、不確かでゆがめられたフェイクニュースがインターネットを通じて拡散し、世論に影響するようになっています。そうした中で、しっかりとした取材に基づく新聞の正確な記事と責任ある論評の意義は一段と大きくなってい ます。「知識に課税しない」という考えが定着する欧州各国では、新聞、書籍、雑誌の税率を軽減またはゼロにしています。電子新聞に適用する国も相次いでいます。私たちは軽減税率の対象が欧州と同等に拡大されるように、今後も求めてい きます。

   ネット世代の若者たちが読めば、なんとアナログな文脈と思うだろう。「知識に課税しない」はむしろインターネットに適用すべきだと思うのではないか。個人的に言えば、「軽減税率を機に新聞はフェイクニュースと戦う」と宣言してほしい。新聞はフェイクニュースと戦ってこそ存在価値を高めることができる。また、新聞しか戦えないと思う。軽減税率であることの意義をそこに込めたい。(※写真は「Finance Monthly」ホームペ-ジより)

⇒1日(火)夜・金沢の天気      はれ