☆続々々・いま伝えるべきこと、誰が伝えるのか

一連の報道を注視しているが気になる点がある。音声データを公開している新潮社のニュースサイト「デイリー新潮」でその音声を聞くと事務次官が、女性記者の「森友問題」の取材し対し「胸触っていい」「予算が通ったら浮気するか」「抱きしめていい」などと話す言葉が聞くことができる。気になるのはバックのノイズだ。飲食店での会話だと想像されるが、鉄板の上でステーキを焼くようなカチャカチャという音や、カラオケのような音声も聞こえる。ここから推測すると、複数の店での会話を録音であることが分かる。つまり、公開されている音声は場所が異なるいくつかの会話を切り取って編集されているのだ。テレビ局の記者らしく「セクハラ発言の特集」をつくっていた。
上記のことを積極的に評価するとすれば、女性記者は事務次官をセクハラ発言に耐えかねて、番組で訴えようと準備していた。そのため、これまでの発言の数々を別途編集していた。そう考えると、女性記者は報道番組で自ら出演して、記者として「#MeToo」、セクハラ告発を事実として訴えよう、と。その女性記者の志(こころざし)に冷や水を浴びせたのは、ほかならぬ職場の上司だった。報じられているテレビ朝日側は会見内容で「放送すると本人が特定され、二次被害がある。報道は難しい」と却下したと述べているが、もし本人が自ら番組に出演して「#MeToo」を訴えたいと提案していたにもかかわらず、却下したとするならば、むしろ問われるべきは報道機関としての対応だろう。
その報道番組への企画が通らず、女性記者は取材し編集した素材(音声データ)を週刊誌側に提供した。おそらく無念の思いだったろうことは想像に難くない。記者が取材活動で得た素材をまったくの第三者に渡すということはそれ相当の覚悟があってのこと、つまり懲戒免職も覚悟の上ということだ。今回のセクハラ発言の一件、いろいろと考えさせられる。
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