★避難訓練と制裁決議
石川県と輪島市の共同による、北朝鮮による弾道ミサイルの落下を想定した住民参加の避難訓練を今月30日に実施すると4日、記者発表した。「弾道ミサイルを想定した住民避難訓練の実施について」と題した県庁危機対策課による記者発表文の内容は以下となる。
訓練は今月30日午前9時から、防災行政無線で住民に情報伝達、同市河井町地区で住民が屋内避難を行う。これと連携した訓練として、河井町地区以外の市内小中学校の児童・生徒、教職員が屋内避難等を実施する。行政レベルでも国からのエムネットによる情報伝達を受け、県と各市町・警察本部・各消防本部との情報伝達の訓練を行う。訓練時間そのものは午前9時から10分間の予定、という。
不可解なこともある。なぜ訓練を実施するのかという点だ。発表内容は以下。「訓練想定 X国から弾道ミサイルが発射され、我が国に飛来する可能性があると判明」とある。どこかの国が弾道ミサイルは発射したという想定だが、「X国」という表現は何とも回りくどいが、外交に配慮した表現なのだろう。
先月14日、同じ北陸の富山県高岡市でもJR高岡駅や小学校周辺で弾道ミサイルを想定した避難訓練が実施された=写真=。高岡市役所のホームページによると、訓練は、国や県、市の情報伝達系統の確認と居合わせた人それぞれの行動確認を行うことを目的とした。午前9時4分、ミサイル発射情報を携帯電話で受信した人、エムネットを受信した警察や鉄道、バス会社などからの呼びかけで知った人などが身を守るため「地下街に逃げる」「頑丈な建物に逃げる」「乗り物から降りる」など避難行動を取った。
ちなみに、富山県庁の記者発表文でその目的を見ると、「想定 X国から弾道ミサイルが発射され、我に飛来する可能性あると判明」と石川県とまったく同じ「X国」としている。石川、富山両県とも国の指導での実施なのでこのような同一表現になるのだろう。しかし、訓練を実感を持って訓練を行うというのであれば、「X国」ではなく「北朝鮮」と表現してもよいのではないだろうか。
グローバルなレベルはもっとリアリティがある。北朝鮮が先月(7月)4日と28日の二度、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験を実施したことをめぐり、今月5日の国連安全保障理事会で新たな制裁決議が全会一致で採択された。報道によると、その主な内容は、北朝鮮の主な外貨獲得の手段となっている石炭、鉄鉱石、海産物の輸出について、上限や例外を設けることなく一切禁止するとした。また、北朝鮮労働者の新たな受け入れも原則禁止とした。これによって、北朝鮮の総輸出額の3分の1に相当する10億㌦が減る。採択にはロシアと中国も賛成に回った。現実感のある制裁決議だ。
(※写真は高岡市役所HPより。高岡駅で屋内避難を呼びかける)
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