☆2つのデモを読む
当のアメリカでは、トランプの大統領に反対するデモが各地で盛り上がっている。11日午後、ニューヨーク中心部の公園で開かれたデモ集会には数千人(主催者発表)が集まり、高校生や大学生らが「トランプは出ていけ」「Love trumps hate」(愛は憎しみに勝る)と叫び、抗議した。ロサンゼルスではデモが暴徒化して、逮捕者が180人にのぼったという。この日、アメリカ各地17ヵ所でデモが行われた。
こうした一連のデモで分析できる特徴的なことは、民族対立の様相を帯びてきていることだ。ロサンゼルスでは反トランプデモが連日行われ、ヒスパニック系や黒人の若者層が「KKKもトランプも出て行け」と叫んでいる。KKKは白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン」のこと。KKKは来月3日に拠点であるノースカロライナ州で、当選祝賀パレードをすると発表していて、民族対立のヤマ場になる可能性がある。今回の大統領選によって、アメリカ社会に修復できない亀裂ができてしまったようだ。それにしても、仮にクリントンだったら、反クリントンデモが各地で起きていただろうか。その違いを分析する必要がありそうだ。
お隣、韓国では朴大統領の政治の私物化を糾弾する大規模なデモが12日、ソウルや釜山で市内であった。参加者は「下野しろ」などと迫るスローガンを掲げ、退陣要求を叫んでいることだ。面白いのは、現地のマスコミの報道ぶりだ。ソウルのデモ参加者数は主催者発表で100万人、警察推計で26万人だが、メディア各社は主催者発表の「100万」を見出しで躍らせている。日本のメディアは記事でも見出しでも「26万人」だ。
上記の違いをどうとらえるか。韓国のメディアはおそらく「民衆の味方」としての立場で「100万人」をアピール、日本のメディアは客観的な報道としての警察推計の「26万人」を取る。見方によっては韓国のメディアは民衆を扇動しているとも受け取れる。この2国で同時多発で起きているデモ。デモを読めばその国のリアルな姿が見えてくる。
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