☆4Kの風

4K番組と言えば、最近は4K放送や4KVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスも充実してきたが、それは高速インターネットサービスや124/128度CS対応パラボラアンテナの設置によって視聴するもの。地上波やBSでの4K番組の放送がいつ始まるのか、気になる。総務省のHPを検索して調べてみると、4K・8K放送のロードマップが記されている。2014年には、4K放送「Channel 4K」(124/128度CS)、4K商用VODサービス「ひかりTV 4K」、4K商用VODサービス「4Kアクトビラ」が開始した。2015年には3月に4K商用放送「スカパー! 4K」(124/128度CS)が始まった。来年2016年は、BSで4K試験放送(最大3チャンネル)と8K試験放送(1チャンネル)を開始される予定。2018年にはBSで4K・8K実用放送の開始が予定されている。ところが、地上波での放送は空き周波数帯域の問題などもあり、現状では全くの未定なのだ。
勉強会で、あいさつ立った石川テレビの高羽国広社長は、「新社屋のメディア館が完成し、喫茶店で現場の担当者に4K番組の制作を話題にしたら、『できますよ』と言われ即断した。そして、間もなく取材が動き出した。新しい4Kという技術があるのに、地上波だけが取り残されていいのかという思いがあった。周波数の割り当てがないからとBSやCSの後塵を拝していていいのだろうか」と懸念を述べた。
石川テレビはことし8月から4Kカメラで取材する週一回のレギュラー番組『新ふるさと 人と人』の放送を開始した。4Kカメラで撮影したものを2Kにダウンコンバートした映像で放送している。ところが、他局からは「4Kで撮影しても2Kで放送するのなら4Kは無駄ではないか」との意見が出た。実際は、4Kから2Kにダウンコンしても、4Kの映像のシャープさ(精鋭感、解像感)はさほど衰えないことが実証されている。
周波数の割り当てが不明確だから、4K番組にチカラが入らないというのはまったく当てはまらない。むしろ、積極的に4K番組を先駆的につくってこそ時代のテクノロジーを未来に活かせるのだ。ディスカッションで、札幌テレビの参加者は「アジアで4K番組を売れる手応えがある。アジアのコンテンツ市場はすでに4Kが前提だ」と。4K映像に詳しい立教大の佐藤一彦教授は「4Kの風はローカルから吹き始めている」と述べたのが印象的だった。
映像の美しさを求めるのは人間の欲求である。それは、解像度や自然界の色の「色域」の広がり。それに輝きをどう加えるか、その欲求は果てしない。勉強会に参加しての感想だ。
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