2013年 5月 29日の投稿一覧

☆GIAHS国際会議の価値‐1

☆GIAHS国際会議の価値‐1

  きょう29日、石川県七尾市和倉温泉の「あえの風」で世界農業遺産国際会議(GIAHS国際フォーラム)が開幕した。GIAHS関係の11ヵ国19サイトの関係者が集まる国際会議。午前9時に開会式が始まり、午前中は新たな候補地サイトによるプレゼンテーションが行われた。

 日本の新サイトに阿蘇カルデラ農業、掛川の茶草場、国東のシイタケ栽培

  発表順に、日本の熊本県の「阿蘇の草原と持続可能な農業(Managing Aso Grasslands for Sustainable Agriculture)」、静岡県の「静岡の茶草場農法(Traditional tea (Chagusaba) of Shizuoka)」、中国の「会稽山の古代中国のトレヤ(Kuaijishan Ancient Chinese Toreya)」、中国の「宣化のブドウ栽培の都市農業遺産(Urban Agricultural Heritage of Xuanhua Grape Gardens)」、インドの「海抜以下でのクッタナド農業システム(Kuttanad Below Sea Level Farming System)」、イランの「カナード灌漑システム(Qanat Irrigation System)、最後が日本の大分県の「国東半島宇佐の農林漁業循環システム(Kunisaki Peninsula Usa Integrated Forestry, Agriculture and Fisheries System)」の7つの地域。

  日本の3候補地を簡単に説明すると、熊本県の阿蘇地域(7市町村)は野焼きや放牧などで草原を維持管理する農法、静岡県掛川市など5市町の「静岡の茶草場農法」は秋から冬にススキやササを刈り取り、有機肥料などに活用するもの。大分県の国東半島宇佐地域(6市町村)はクヌギ林とため池群の管理により維持されているシイタケ栽培などに活かす。3候補地のプレゼンでは、熊本県は蒲島郁夫知事、静岡県は川勝平太知事、大分県は広瀬勝貞知事がそれぞれ英語で説明するなど力の入ったプレゼンだ。とくに、川勝知事は自身が再選を目指して立候補する県知事選があす30日告示にもかかわらずの能登入りだ。

  プレゼンが終わり、川勝知事は結果を聞かずに静岡に戻られた。プレゼンの後、GIAHSの運営委員会・科学委員会が開催されて、候補地を認定するかどうかが話し合われた。結論から言うと、イランの案件は科学的なデータなどが不ぞろいで認定されず、他は採択となった。つまり、今回は日本の3サイト、中国の2サイト、インドの1サイトが新たに認定されることになる。認定式はあす30日午前中に執り行われる。

  FAOは2002年から、環境保全に配慮した特色ある農業を実践している地域を世界農業遺産に認定している。国内では、能登半島の「能登の里山里海」、佐渡市の「トキと共生する佐渡の里山」が2011年に認定されており、日本のサイトはこれで5サイトとなる。
  
⇒29日(水)午後・七尾市和倉温泉の天気   あめ