2013年 3月 7日の投稿一覧

☆医療と薬を遠ざけて

☆医療と薬を遠ざけて

  昨年暮れに中国・雲南省のハニ族の棚田での学術交流に参加した研究者から聞いた話だ。ハニ族の人たちはとても前向きな性格で、「水が飲めたら酒を飲め、声が出たら歌え、歩けたらダンスを踊れ」というそうだ。一言でいうならば、人生を楽しもう、これが長生き健康の秘けつである、と。先祖が創り上げた、壮大な棚田を維持するすためには、勤労意欲、そして健康で長生きでなければならない。そのような前向きな民族性がこの棚田を守る精神的なベースとしてある、というのだ。

  もう一つ健康に関する話題を。政府の規制改革会議が、一般用医薬品のインターネット販売に関し、原則として全面自由化を求める方針を固めたとメディア各社が報じている(7日)。あす8日に規制改革会議を開き、厚生労働省に対して薬事法の改正などを求める、という。これまで副作用のリスクが高い第1類など薬のネット販売は省令で禁止されていたが、ネット販売会社が起こした訴訟判決で最高裁はことし1月、省令について「薬事法の委任の範囲を超えて違法」と判断、事実上ネット販売が解禁されている。規制改革会議としては、全面自由化の前提として、販売履歴の管理や販売量の制限といった安全確保策に関して議論する。

  医薬品のネット販売は一見、選挙運動のネット解禁とイメージがだぶり、規制改革のシンボルのように思える。が、個人的な感想で言えば、「これ以上、国民を薬漬けにするな」との思いもわく。高血圧患者4千万人、高コレステロール血症(高脂血症)3千万人、糖尿病は予備軍含めて2300万人・・・と、日本にはすごい数の「病人」がいる(近藤誠著『医者に殺されない47の心得』より引用)。たとえば、高血圧の基準が、最高血圧の基準は160㎜Hgだったものが、2000年に140に、2008年のメタボ検診では130にまで引き下げられた。50歳を過ぎたら「上が130」というのは一般的な数値なので、たいい高血圧患者にされ、降圧剤を飲んで「治療」するハメになる(同)。その結果として、1988年には降圧剤の売上は2000億円だったものが、2008年には1兆円を超えて、20年間で売上が6倍に伸びた計算だ。

  高血圧の原因は、9割以上が不明という。また、日本人の血圧が下げることによって死亡率が下がる、心臓病や脳卒中などが減ると実証されたデータは見当たらない(同)。近藤氏の著書を読んで、話を総合すると、日本人ほど医者と薬を信用する民族はいない。信じ切っている。そして「信じる者は救われる」と思っている。一方で、さして根拠もなく、数値データで「病気」にされ、薬を飲む。

  個人的な感想と言ったのも、じつは自分自身も「高血圧症」でもう10年余り前から降圧剤を服用している。首筋あたりが重く感じられ、病院で血圧を測ったところ160だったので、それ以来ずっとである。そのとき医者から「このまま放っておくと血管がボロボロになりますよ」と言われたのが病院通いのスタートだった。毎日4種の降圧剤を飲み続けている。

  近藤氏はこう書いている。フィンランドで75歳から85歳までの「降圧剤を飲まない」男女521人の経過の調査で、80歳以上のグループでは、最高血圧が180以上の人たちの生存率が最も高く、140を切った人たちの生存率はガクンと下がる。なのに日本では、最高血圧130で病気にされる、薬で下げさせられている。もし、このようなデータが日本で調査されているのであれば、ぜひ公開していほしいと望む。

  本の副題は「医療と薬を遠ざけて、元気に長生きする方法」。なるべくならば薬は飲みたくない、医者にもかかりたくない。持病があったとしても、ハニ族のように「水が飲めたら酒を飲め、声が出たら歌え、歩けたらダンスを踊れ」と前向きに人生をまっとうしたいものだ。

⇒7日(木)夜・金沢の天気   はれ