☆学生「選挙と関わりたい」
今月16日、衆議院は解散し、来月12月4日告示、同16日に投票と開票が行われる。マスメディア(テレビや新聞)はその選挙結果(当落)を伝えるために、水面下で動き出している。さまざま調査活動を実施するための人員の確保だ。
前回のブログで述べたように、知り合いの新聞記者からメールがあった。「選挙の投開票の日に開披台調査を実施するので学生たちの協力を得たい」との相談だった。「開披台(かいひだい)調査」をもう一度簡単に説明すると、投票日の午後8時に投票は締め切られ、各投票場の票が開票場に集められる。全部集まったところで、自治体の職員が一斉に開票、集計の作業を行う。この開票作業の様子を双眼鏡でウオッチし、刻一刻と積み上がる票数を開票者の手元で数え、マスメディアの選挙報道センターに伝えるのが開披台調査だ。新聞社と連携したテレビの選挙特番では、こうした開披台調査や、投票所の出口で有権者にどの候補に投票したのか記入してもらう出口調査のデータなどを突き合わせ、リアルタイムに当選確実の速報を打っていく。記者の相談は、「この開披台調査、学生の参加が多ければ多いほどいい」という。
金沢大学では総合科目の『マスメディアと現代を読み解く』や『ジャーナリズム論』を担当していて、「選挙とメディア」のコマでは上記の調査データの収集と分析の意義なども講義している。メディアにとって今後の国政を左右する衆院選挙は、総力で報道する一大イベントである。そこで「総選挙をメディア論の実習に」と位置づけて、記者に協力することを約束した。記者からは時給、交通費などの条件も示された。しかし、数十人の学生の参加を募るのは大変な作業なのだ。
まず、衆議院が解散したその日(16日)、「マスメディアを通して選挙を知る、学ぶ、体感する選挙調査の説明会(11月21日)を実施」と学生向けに学内メールを流した。参加は自由としたが、学生たちからの反応は速かった。「選挙報道の一端にかかわることで選挙を勉強したい」「自分たちの将来を左右する大事な選挙だと思うので参加したい」「就活をする上でメディア業界に関心があるので参加したい」と参加意向のメールが寄せられた。手応えを感じた。
そして、きょう(21日)夕方、説明会を開いた=写真=。50部用意した資料がほぼなくなった。授業を通じて思うことなのだが、学生たちは社会参加に意欲を持っているものの、チャンスに恵まれていない。もちろん、震災ボランティアなどあるが、日常でかかわる社会参加は企業のアルバイトが主で限られている。今回は1日、厳密にいうと夕方から半日の調査活動だ。それでも、テレビで選挙特番を視聴するのではなく、その報道の裏方として選挙と関わってみたい、参加してみたい、そうした学生たちの欲求を感じた。
⇒21日(水)夜・金沢の天気 はれ