★解散・総選挙への一日
きょう(14日)午前、石川県内のある市長と面談する機会があった。市長は元県議会議員で、「政局」を読むに敏感だと定評があるので、あえて水を向けてみた。「年末の解散、総選挙など政局はどう動きますか」と。即答だった。「結局、民主党は大分裂を起こして選挙突入だね」と。この後、午後の党首討論で「16日に解散してもよい」との野田総理の発言が出て、解散(11月16日)・総選挙(12月4日公示、16日投開票)の嵐が吹き始めた。
市長が「大分裂」と言ったのは、決議支持率が低迷する中の解散・総選挙では民主の苦戦が必至で、すでに同党の一部議員による新党結成や、有力議員の日本維新の会への合流など離党の動きが出ている。そこで、13日の民主党常任幹事会で「党の総意」として年内解散に反対する方針で合意していた。にもかかわらず、野田総理は党の分裂を覚悟で、「16日解散」を表明したのである。市長の読みは的中したことになる。
きょう午後の党首討論の様子をテレビで視聴して、どちらが役者が上か考えた。総理は衆院小選挙区の「1票の格差」を是正するための「0増5減」の法改正を今国会で成立させ、かつ来年の通常国会で「比例代表定数の40削減」(民主案)など大幅な定数削減を条件にあげ、それを自民党の安倍総裁が確約すれば「16日に解散してもいい」と提案したのだった。安倍総裁は即答できなかった。党首討論後に自民党は定数削減に関しても協力する考えを表明、これで解散の条件が整ったと言える。
役者とすれば野田総理が上だろう。これまで「近いうち解散」を言いながら延び延びとなっていて、12日の衆院予算委員会では石破自民幹事長から「うそつき」とまで。そこまで言われて、総理は攻勢に出た。今度は、自民党に定数削減の確約を迫ったのである。解散は総理の専権事項であり、野田氏は主役を演じきった。それにしても異例の「解散宣言」だった。
きょう午後8時前、知り合いの新聞記者からメールが届いた。「12月16日の晩」に選挙調査で学生を紹介して欲しいとの依頼だった。「開披台(かいひだい)調査」のアルバイトである。選挙でで出口調査は知られているものの、開披台調査は一般では聞きなれない。投票が締め切られる午後8時以降、各投票場から投票箱が続々と開票場に集まってくる。そして9時過ぎごろから実際の開票が始まる。投票箱が開けられ、票がばらまかれる台は「開披台」と呼ばれる。その票を自治体の職員が候補者ごとに仕分けしていく。調査のアルバイトはペアを組んで、その職員の手元を双眼鏡で覗き、どの候補者が何票得ているかカウントする。「A候補が50、B候補が40、C候補が10」というように、軸となるA候補が50になるまでカウントして、その他の候補の数字と比較する。
こうしたペアが同じ開票場に10数組配置され、それぞれ異なった開披台を調査する。電話でデータ集計本部に連絡される。この調査では、A候補が2000になった時点で、実際の開票終了時との集計誤差はプラス、マイナス3%にまで高められるとされる。この調査に、大学生らが新聞-テレビの1系列で全国で数千人規模でアルバト動員される。
総選挙になると、「元新聞屋・テレビ屋」の血が騒ぐ。2012年末まで政局は一気に走る。
⇒14日(水)夜・金沢の天気 雷雨