2011年 12月 17日の投稿一覧

☆天からの雪便り

☆天からの雪便り

 昨夜から金沢でも雪が降り、きょう17日朝は自宅周辺で20㌢ほど積もった。北陸に住む感覚から述べると、「冬のご挨拶」だ。毎年この時期、12月半ばになると初回の積雪がある。これが「そろそろ雪を本格的に降らせますので、みなさん心の準備と積雪の備えをよろしくお願いします」という自然からの挨拶のように思える。

 ただ、この挨拶も度が過ぎるというのもある。ちょうど6年前の2005年12月17日、いきなり金沢市内で50㌢という積雪に見舞われた。こうなると挨拶どころか、ケンカを売っているようにも思える。「人間ども見ておれ、自然をなめるなよ」といった感じだ。すると、人々は「ちょっと待ってくださいよ。二酸化炭素の排出などで地球は温暖化に向かっているのではないですか。それなのになぜ大雪なのですか」と思ってしまう。すると自然の声もさらに荒々しくなる。「地球温暖化は人間が引き起こしていると思っているようだが、オレに言わせれば、地球の寒冷期がたまたま温暖期に入ったわけで、これはオレが差配している自然のサイクルだ。今後雪を降らせないとか少なくするとかは一体誰が決めたんだ、それは人間の勝手解釈だろう。オレは降らせるときはガツンと降らす。2008年1月にはバクダットにも雪をプレゼントしてやったよ」と。北陸という土地柄では、冬空を見上げながら自然と対話ができる。1936年に世界で初めて人工雪を作ることに成功し、雪の結晶の研究で知られる中谷宇吉郎(1900-62、石川県加賀市出身)は「雪は天から送られた手紙である」という言葉を遺している。

 さて、この時期、雪は生活の一部だ。積雪に備え庭の樹木に雪つりを施す。乗用車のタイヤをスタータイヤに交換する。除雪用のスコップを玄関に用意する。雪靴をゲタ箱に入れておく。慌ただしく準備をして、積雪期を迎える。きょうはさっそく除雪用のスコップの出番だった。道路に面した家の間口分だけ道路を除雪するのが暗黙のルールになっている。しかも、側溝付近の人が歩く側だけだ。不思議なもので、早朝近所の誰か始めると町内の人々が入れ替わりに出てきて除雪する。お昼ごろにはだいたい道路の歩道部分の除雪が終わっている。町内一斉の除雪というのもあるが、これはドカ雪で道路機能がマヒし、除雪車も来ないというときに、非常措置として町内会が音頭を取って実施する。5年か6年に一度ほどある。

 北陸の雪は長野や北海道と違って、湿り気が多く重い。五葉松などの庭木は雪つりがないとボキリと枝が折れる。写真は、きょう9時に撮影したもの。パラソルのように広がった縄が五葉松の枝を雪の重みから支えている。自然に対応する先人の知恵というのはかくも確かで、そのフォルムは美しい。

⇒17日(土)朝・金沢の天気  ゆき