☆当確打ちの舞台裏
昨日は家族といっしょに投票場に出かけた。ここ数年、市議選から国政選挙まで欠かしたことがない。政権交代など流動化している政治が面白いし、当落予想は楽しみだ。その実感をつかむには投票行動を起こすことが何よりと考えているからだ。投票場の出入り口には、NHKと地元新聞社の調査員が待機していた。出口調査のためだ。新聞社の調査員が寄ってきて、「ご協力をお願いします」と依頼され応じた。今回の選挙区では誰に、比例ではどの政党にのほかに結構細かな質問がある。「石川県知事を評価するか」などといった、今回の参院選に直接関連しない項目もある。地元新聞社なので、県内の動向をつかんでおきたいのだろうと、むしろその姿勢に好感が持てた。この出口調査の結果は新聞社系列のローカルテレビ局にもデータが共有され、当確打ちの判断材料となっているはずだ。
このテレビ局の当確打ちの根拠となるデータは出口調査だけではない。投票が締め切られる午後8時以降、調査の舞台は開票場に移る。各投票場から投票箱が続々と開票場に集まってくる。そして9時過ぎごろから実際の開票が始まる。投票箱が開けられ、票がばらまかれる台は「開披台(かいひだい)」と呼ばれる。その票を自治体の職員が候補者ごとに仕分けしていく。その職員の手元を双眼鏡で覗き=写真=、どの候補者が何票得ているかカウントする。この作業は、マスメディアの業界用語で「開披台調査」と称している。開票場は普通、体育館で行われるので、観覧希望者は2階に上げられる。その2階から覗くのである。双眼鏡で覗くので「違法性」があるのではと一般の観覧者は思うのだが、メディア各社は選挙管理委員会に「双眼鏡で調査する」旨を届けており、選管も了解済みだ。
開披台調査はペアが基本だ。一人が双眼鏡で仕分けされる候補者の名前を読み上げ、もう一人それを数字でチェックしていく。「A候補が100、B候補が59、C候補が10」というように、軸となるA候補が100になるまでカウントして、その他の候補の数字と比較する。こうしたペアが同じ開票場に5組ほど配置され、それぞれ異なった開披台を調査する。A候補が100になった時点で電話でデータ集計本部に連絡される。開披台調査では、A候補が2000になった時点で、実際の開票終了時との集計誤差はプラス、マイナス3%にまで高められるとされる。この開披台調査では大学生らが新聞-テレビの1系列で数千人規模でアルバト動員され、各局が当確打ちの速さを競うことになる。
選挙特番を視聴していると、その番組のスタジオの裏舞台が見えてくる。どのテレビ局が確実なデータを収集して、それを当確打ちにいち速く反映しているのか…。テレビ局の総力が試されているのが、選挙である。
⇒12日(月)朝・金沢の天気 あめ