☆ガレリオの墓
イタリアの有力紙「コリエレ・デラ・セラ」を引用した記事は、フィレンツェの光学研究所を中心に英ケンブリッジ大学の眼科の権威やDNAの研究者らが調査に参加する。フィレンツェのサンタ・クローチェ教会に埋葬されている遺体の組織の一部からDNAを採取するという。ガリレオは若い頃から遺伝性とみられる眼病に悩まされ、晩年に失明。地動説を唱えたことでローマ法王庁の宗教裁判で有罪となり、軟禁生活を送った。死後95年たってサンタ・クローチェ教会に埋葬されてた。
一方で困惑の声も上がっているという。ガリレオ研究の第一人者でフィレンツェ天文台のフランコ・パッチーニ教授は朝日新聞の取材に「なぜ博物館にある指を鑑定せず遺体を掘り起こしてまで調べるのか。彼も不愉快だろう。そっとしておくべきだ」と語った。
ガレリオの墓は06年1月に訪れた。サンタ・クローチェ教会にはガレリオのほか彫刻家のミケランジェロ、政治理論家のマキアヴェッリなど世界史に燦(さん)然と名を残す偉人たちの墓がある。このサンタ・クローチェ教会大礼拝堂の正面壁画「聖十字架物語」の修復作業が金沢大学と国立フィレンツェ修復研究所、そして同教会の日伊共同プロジェクトとして進行している。金沢大学が国際貢献の一つとして位置づけるこのプロジェクトの進み具合を視察・報告するため、同教会を訪れた。
修復現場はどうなっているのかというと、鉄パイプで組まれた足場は高さ26㍍、ざっと9階建てのビル並みの高さである。平面状に組んだ足場ではなく、立方体に組んであり、打ち合わせ用のオフィス空間や照明設備や電気配線、上下水道もある。下水施設は洗浄のため薬品を含んだ水を貯水場に保存するためだ。それに人と機材を運搬するエレベーターもある。つまり「何百年に一度の工事中」なのである。ガレリオの墓は教会大礼拝堂にある。墓を解体して、遺体を掘り起こすというのはおそらく相当の作業だろうが、教会とすると、修復作業の工事中であり、ガレリオの墓の掘り起こしもタイミング的には観光的なダメージはないと読んだのだろうか。記事を読みながら、そんなことをふと思った。
※写真は、サンタ・クローチェ教会大礼拝堂にあるガレリオ・ガリレエの墓
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