☆続・地球世直し水戸黄門
「地球世直し水戸黄門」、レスター・ブラウン氏にはそんな言葉がふさわしいかもしれない。レスター氏の講演(6月7日・金沢市)で印象に残るフレーズをノートからいくつかピックアップしたい。
国連世界食糧計画(WFP)と国連食糧農業機関(FAO)は毎年、緊急の食料援助を必要とする国をリストアップしている。2007年5月にリストアップされたのは33カ国。このうち17カ国は内戦と紛争で、食料援助しようにも、その活動が阻まれるところ多い。つまり、援助部隊が襲撃されることもある。そんな国は間違いなく破綻に向かう。
レスター氏は講演で「これら破綻に向かっている国の中にパキスタンがある」と力を込めたのか。パキスタンは核保有国だからだ。仮に、暴動が蔓延し、無政府状態になった場合、誰がその核兵器を管理するのか、とレスター氏は問題を投げかけたのである。一国のフード・セキュリティーを超えて、アジアの安全保障の問題になりかねない。
この講演が気になって、レスター氏の近著「プランB 3.0」(ワールドウオッチジャパン)を読み込むと、「平和基金とカーネギー国際平和財団は『”破綻国家”は世界政治の脇役から、まさに主役になった』と指摘している」と記されている。かつての国際政治は核軍縮であったり、デタント(政治的な緊張緩和)がキーワードだった。それが、破綻国家が国際政治の主役に躍り出たとういことだろう。その典型的な例がパキスタンなのである。
国際政治はイデオロギーや資源戦争、国境紛争を民族紛争、宗教戦争のレベルを超えて、気候変動による食糧不足、食糧高騰、内戦、政情不安、そして破綻国家という図式でもはや国際政治の主流になった。
ところで、きょう(28日)早朝から金沢はバケツの底が抜けたような大雨に見舞われた。金沢市や白山市付近では1時間に120㍉を超える激しい雨となった。市内を流れる浅野川は数カ所で氾濫し、竹久夢二ゆかりの湯涌(ゆわく)温泉の旅館街でも土砂崩れた起きた。そして、午前8時50分に浅野川流域の2万世帯余りに、市から避難指示が出された。このゲリラ雨はひょっとして気候変動のせいか。
⇒28日(月)朝・金沢の天気 雨
その講演会でのこぼれ話。レスター氏はペットボトルの水を嫌がった。水をわざわざペットボトルに入れなくても、水差しでよい、石油を原材料にする経済の仕組みはもう転換すべきだとはレスター氏の主張だ。そして講演20分前には瞑想に入り、スニーカーで登壇した。
この「自在コラム」でも何度か取り上げたベートーベンの話を再度。昨年10月から、金沢大学が運営する「能登里山マイスター」養成プログラムに携わっていて、能登通いが続いている。車で大学から片道2時間30分(休憩込み)をみている。何しろ能登学舎があるのは能登半島の先端、距離にしてざっと160㌔にもなる。早朝もあれば、深夜もある。体調がすぐれないときや、疲れたときもある。運転にはリスクがつきまとう。同乗者がいればまだよいが、怖いのは一人での運転である。眠気が襲う。
3年前の冬だった。金沢の行きつけのスナックに入ると、珍しくジャズピアノのキース・ジャレット(Keith・Jarrett)のCDがかかっていた。キース・ジャレットは1975年に初めて、当時のPLで「ケルン・コンツェルト」を聴き、すっかりファンになった。鍵盤を回すような軽快な旋律、そして興に乗って発せられるキース・ジャレット自身の呟きが、いかにも即興ライブという感じで、心に響く。
飛来しているコウノトリには足環がないことから、兵庫県豊岡市で野生放鳥されているコウノトリではなく、どうやら大陸から飛んできたらしい。2005年7月にも飛来が確認されていて、3年ぶりということになる。近所の人の話が面白い。この水田地帯にはサギ類も多くエサをついばみにきている。羽を広げると幅2mにもなるコウノトリが優雅に舞い降りると、先にエサを漁っていたサギはサッと退く。そして、身じろぎもせず、コウノトリが採餌する様子を窺っているそうだ。ライオンがやってくると、退くハイエナの群れを想像してしまった。サギ類はコウノトリ目サギ科の鳥である。