☆こいのぼりと気球
朝の日課なので、青空に映えるこいのぼりを見るとすがすがしい。通りがかりの学生たちが「こいのぼりをこんなに間近に見るのは初めて」とか「大学でこいのぼりを揚げているのは金大だけとちがうか…」などと言いながら見上げている。聖火リレーをめぐる騒ぎに比べれば、実にのどかな光景ではある。
ところで、金沢大学では気球も上げる。金沢大フロンティアサイエンス機構の研究者たちが、能登半島・珠洲市で黄砂に関する大気環境のモニタリングの拠点づくりを計画している。日本海に面して大陸からやってくる空気をいち早くキャッチできる能登半島は黄砂研究には持ってこいという訳で、三井物産環境基金を得て、高度の大気観測を可能とする大気観測サイトを構築中だ。この研究プログラムを称して「大気観測・能登スーパーサイト」。運営が軌道に乗れば世界から黄砂研究者が集まってくる、そんな研究拠点となるはずだ。
手始めとして、黄砂バイオエアロゾル研究チームによるサンプリング(気球による黄砂の採取)を行う。黄砂バイオエアロゾルというのは、黄砂にのって浮遊する微生物、花粉、有機粉塵などを指す。ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠から舞い上がった黄砂が日本海上空で水蒸気と絡まって能登半島辺りから落ちてくる。これをサンプリングして研究するのだ。さらに海に落ちた黄砂はどのように変容し、海洋生物に影響を与えるのか、などが研究対象となる。気球を上げる場所は、珠洲市三崎町の金沢大学能登学舎(旧・小泊小学校)のグラウンドで。5月7日から9日の時間を見計らって気球によるサンプリングが行われる。
能登半島では、金沢大学の別の研究班がすでに生物多様性の調査を行っていて、「研究フロンティア能登」の様相を呈している。生物多様性も黄砂も環境がテーマである。そこでもう一歩踏み込んで、東アジアにおける「環境センサー」としての能登半島という役割があるのでは、と密かに思っている。青空に泳ぐこいのぼりから話がえらく飛躍した。
⇒29日(祝)朝・金沢の天気 はれ
その法隆寺で、日本工芸のルーツといわれるのが「国宝 玉虫厨子(たまむしのずし)」。日本史では飛鳥美術の代表作とされる。が、現在のわれわれが目にするは黒光り、古色蒼然とした造作物という印象しかない。すでに描かれていたであろう仏教画や装飾などは、イメージをほうふつさせるほどに残されてはいない。歴史の時空の中で剥離し劣化した。
奥能登・珠洲市に古民家レストランと銘打っている店がある。確かに築110年という古民家には土蔵があり、その座敷で土地の郷土料理を味わう。過日訪れると、中庭で野点が催されていて、ご相伴にあずかった。
節を重んじ、相和すことを重んじる。そんな凛(りん)とした雰囲気が感じられる野点だった。
ミシュランガイド東京に掲載されているレストランは150軒で、最も卓越した料理と評価される「三つ星」は8軒。「二つ星」は25軒、「一つ星」は117軒選ばれている。フランスやイタリア料理が多いのかと思いきや、ガイド全体では日本料理が6割を占めている。和食への評価が世界的に高まっていることがベースにあるのだろう。ちなみに、一つ星は「カテゴリーで特に美味しい料理」、二つ星は「遠回りしてでも訪れる価値がある素晴らしい料理」、三つ星は「そのために旅行する価値がある卓越した料理」の価値基準らしい。