☆続・サンマの煙
サンマの話の続きである。サンマを七輪コンロで焼いていると、この自然学校で藍(あい)染を研究しているのグループ(市民)がやってきた。日本の伝統的な染色「あい染め」を藍の種まきから栽培、葉の収穫、染めまでを研究する女性たちのグループだ。どうすれば藍をうまく栽培できるか,染めるときのコツなど試行錯誤を繰り返し、もう5年目になる。
グループの活動開始は午後1時。サンマを焼くのに熱中していて、その時間を忘れていた。グループは寸胴の鍋で湯を沸かし、染めを始めている。その側で、サンマを焼いていたのである。ウチワを扇いでいた私にグループの一人が近いづいてきた。「あのう、いい匂いですが、染物ににおいが・・・」と遠慮しながら言う。
うかつだった。焼くのに集中していて、周囲に匂いが立ち込めていることをすっかり忘れていた。確かに、サンマの匂いは布に付きやすい。新しく染めたものにサンマのにおいがついては台なしだ。そこで、「ごめんなさいね」と詫びて、七輪を30㍍ほど離れたサトイモ畑に移動し、焼きを続行したというわけだ。あのこうばしいサンマの匂いも場所によっては、迷惑になるというのがこの話のオチだ。
ところで、女性たちが創作した染物は角間の里の長い廊下を使って干された=写真=。秋の日和に照らされ、廊下がまぶしい。念のためにサンマのにおいが付いていなか、こっそりと染物に鼻を近づけてみた。あの魚の生臭さはなく安心した。
⇒15日(土)夜・珠洲の天気 くもり