2007年 7月 24日の投稿一覧

★「ニュースの天才」

★「ニュースの天才」

 おととし(2005年)の話になるが、アメリカ映画で「ニュースの天才」を鑑賞した。かいつまんで内容を紹介すると、大統領専用機内に唯一設置されている米国で最も権威のあるニュース雑誌の若干24歳のスティーブン・グラス(ヘイデン・クリステンセン)が政財界のゴシップなど数々のスクープをものにし、スター記者として成長していく。グラスの態度は謙虚で控えめ、そして上司や同僚への気配りを忘れない人柄から、編集部での信頼も厚かった。しかし、ある時、グラスの「ハッカー天国」というスクープ記事に、他誌から捏造疑惑が浮かび上がり、グラスの捏造記事が発覚していくというストーリーだ。実話をもとに制作された映画だった。

  中国の北京テレビが放送した、段ボール紙を混ぜた肉まん販売の報道は「やらせ」だったと、日本で報道されている。しかし、真実がよく分からない。なぜなら、テレビ局側が当局に謝罪したというが、日本でいう「検証報道」がなされていないので、実態がつかみにくい。

  たとえば、臨時スタッフだったという記者が「紙くずを混ぜた肉まん」の通報を受けて市内を探し回ったが、問題の肉まんは発見できなかった。テレビ局の制作会議で番組として取り上げようと提案した手前、引くに引けなかった。そこで、身分を偽って露店主に段ボール肉まんをつくるように依頼した、という。身分を偽るとはどういう意味なのだろうか。その必要はあったのか。日本の新聞各紙は背景に中国で台頭してきた市場経済の波で、視聴率競争が過熱している、と伝えている。果たして、そんな複雑な経済的な背景があるのだろうか。そもそも中国における視聴率競争はどんな方法でデータを取っているか、公正に評価できるシステムとして確立されているのか聞いてみたい。

  中国の食の安全性の問題を海外にさらしたのである。国家の威信を傷つけたのだから謝罪では済まないだろう。「やらせ」と認めたのであれば、前述したように「検証番組」を制作してはどうか。ぜひ見てみたい。

  アメリカの「ニュースの天才」は架空の話を事実のように報道したが、事実を架空の話にして、事実を覆い隠そうとうするケ-スもある。もしそうだとしたら、一枚上手の「ニュースの天才」なのだが。想像でしか言えないところがもどかしい。

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