☆メディアのツボ-31-
過日、ある大手新聞社の世論調査担当の記者と話す機会があった。「世論調査は調査自体が難しくなっている」と随分と危機感を募らせているという印象的だった。
悩み多き世論調査
大手紙の全国調査は選挙人名簿から3000人を地域的や性別・年代などの偏りがないように無作為で選び、「有権者全体の縮図」をつくる。全国の有権者は1億330万人(05年)なので、1人がおよそ3万人余りの代表となるわけだ。ちなみに私が住む石川県の場合だと28人が調査対象数だ。
世論調査は大きく分けて、対面調査、電話によるRDD(ランダム・ディジット・ダイヤリング)、郵送によるものの3つがある。「調査自体が難しくなっている」というのも、面接の場合だと核家族化が進んだせいで在宅率が低い、防犯意識の高まりでインターホンの段階で門前払い。電話だと「オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」の影響で電話が鳴るだけで不審感が先立つことが多くなった社会風潮もあり、のっけから断られる。あるいはナンバーディスプレーが普及して、知らない電話番号は受話器を取らない人が多くなった。郵送は回収率が低い。
こんな状態なので、面接調査だと80年代は回収率80%だったものが、最近は60%ぐらいの回収率が目立つ。調査現場では苦戦を強いられているのだ。確かに調査人の質の問題もあるだろう。調査人にはアルバイトの学生も多く、中には一回目の調査でけんもほろろに断られると意欲を失う者もいる。粘って食い下がるという若者が少なくなったのかもしれない。
回収率が低いということは調査の品質が低下していると同義語である。かといって、登録制による調査のような「協力的な人」や、割と親切に答えてくれる高年齢の「在宅率の高い人」に偏った調査では民意は反映できない。忙しく、つっけんどんで、言葉のきつい人にも調査をしなければならない。無作為とはいえ、有権者3万人の中から選んだ人なのだ。「忙しいから」と断れたくらいで簡単に引き下がっては調査にならないので、再度アポを取る。すっぽかされてもまた翌日、ドアをノックする。これが世論調査の基本だろう。
世論調査という民意が劣化したら、おそらく内閣や政党の信任の度合いのバロメーターが機能しなくなる。また、個々の重要な政策についてもマスメディアそのものが論評する根拠を失ってしまう。つまり議会制民主主義の補完機能が失われるのだ。
ただ、マスメディアが行う世論調査で異常に関心を呼ぶものがある。投票前の選挙情勢調査と投票場前での出口調査だ。ところが、投票が終了していないにもかかわらず、候補者の選対本部がマスコミ各社の中間集計の情報を知っていて、マスメディア内部での情報漏えいが問題になったりする。あるいは、投票が終わった直後に選挙特番が始まり、出口調査の精査と分析をしないまま生データだけをグラフにして、「大躍進」や「惨敗」の見出しを躍らせるテレビ局も多い。そして誤報が繰り返されている。
日ごろの地道な世論調査が回答拒否や回収率の低下という大きな壁にぶつかっている一方で、数年に一度の華々しい選挙調査ではモラルハザートを起こしている。調査対象者の変化を嘆く前に、マスメディア自体に問題、あるいは危機感というものがないのだろうか。
⇒26日(日)朝・金沢の天気 くもり
東京生まれの岩城さんは読売ジャイアンツのファンだった。親友だった故・武満徹さんが阪神ファンで、岩城さんがある新聞のコラムで「テレビの画面と一緒に六甲おろしを大声で歌っていた」「あのくだらない応援歌を」と懐かしみを込めて書いていた。また、岩城さんはクラシックを野球でたとえ、04年と05年の大晦日、ベートーベンの1番から9番の交響曲を一人で指揮したときも、作曲家の三枝成彰さんとのステージトークで「ベートーベンのシンフォニーは9打数9安打、うち5番、7番、9番は場外ホームランだね」と述べていた。面白いたとえである。
記事によると、記者はゴルフ場に生息してたオオタカの取材をきっかけにゴルフ経営者と知り合った。そして、02年8月に記者が異動する際、餞別として封筒を受け取り、04年9月に大阪本社に戻った時にも、出産祝いとして封筒を渡された。記者は「いつか返そう」と思い、封筒の封を切らずにカンバに入れていた。ところが、今月15日に一部の情報誌が「ゴルフ場経営者が大手紙記者に現金百万円」とする記事を掲載したことから、記者が上司に報告した。そして、未開封だった封筒を弁護士立ち合いで開けて、異動祝いが10万円、出産祝いが5万円だったことが分かったという。
月尾氏は文明批評家でもある。金沢での講演では、経済優先主義で没落したカルタゴ、造船の技術革新に出遅れたベネチアなどの事例を挙げ、「現代の日本は歴史に学ぶべき」と。
04年と05年の大晦日、岩城さんが東京でベートーベンの交響曲1番から9番までを指揮するというので放送メディアの一員として付き合いをさせていただき、東京で年越しをした。で、何をしていたのかというと、大晦日の午後3時半から年越しの深夜1時を回る9時間40分ほどを、04年はCS放送「スカイ・A」で生放送、そして05年はスカイ・Aでの生放送と同時にインターネットでライブ配信した。
煩雑さが予想されたネット配信の著作権処理は岩城さんの意向でクリアされたものの、次なる問題は9時間40分にも及ぶライブ配信。ましてや12月31日の大晦日はただでさえインターネットの回線容量が確保できないという状態にあり、安定したネット環境で配信ができるのかという懸念があった。そこで、動画サーバと映像のオーサリングを日本テレコムの東京の拠点に置くことで解決をはかった。日本で一番の大容量の回線が担保された場所にサーバを設置したのである。
韓国・中央日報の11月17日付のインターネット版だ。景気がよい中国の外資系製薬会社の一行が大挙して韓国・済州島を訪れたという記事。以下は抜粋。
音声というのはお目にかかったことがない。これは日本独特なのかと思ったりもする。おそらく制作する立場では、「とにかく後に問題が残らないようにインタビューにモザイクをかけろ、音声に変換をかけとけ」とディレクターが編集マンやカメラマンに指示しているはず。
クマ出没に関して、現在はドングリなどのエサ不足に加え、里山と奥山の区別がつかないほど里山が荒れ、クマ自身がその領域の見分けがつかず、里山に迷い込んでくる…などの原因が考えられている。これを人災と見るか、害獣の侵入と理解するか意見は分かれる。
文科省に最初に届いたのは今月7日。差出人は不明だが、大臣、教育委員会、校長など宛てた合計7通の手紙が入っていた。それを新聞やテレビのメディアは写真つきでその手紙で紹介した。すると、後日さらに5通の匿名のテレビが大臣宛てに届いた。
昨夜、金沢の繁華街・片町を歩くと、居酒屋などでは6日解禁となったズワイガニがさっそくお目見えしていた。例年、解禁初日には石川県内から100隻を越える底引き網漁船が出港し、近江町市場の店頭にはドンとカニが並ぶ。ご祝儀相場が立つので高値で売れるからだ。だが、庶民にはちょっと手が出せない。何しろ一匹数千円の食材なのである。