☆メディアのツボ-20-
ついに記者たちはゲリラ戦法に打って出ることにしたらしい。でも、それは見苦しい。
記者たちのゲリラ戦
懸案となっている「ぶら下がり」会見の回数について、世耕弘成総理補佐官(広報担当)は2日、内閣記者会からの「ぶら下がりは1日2回」との申し入れに対し、「1日1回しか応じられない」との回答をした。これを受けて記者会側は世耕補佐官に対し、総理が1日2回のぶら下がりに応じなければ、十分な取材機会を確保する観点から官邸や国会内などで「歩きながら」の取材に踏み切ると口頭で通告した、と各紙のインターネット版が報じている。
「ぶら下がり」は総理が立ち止まっての会見だが、「歩きながら」は記者がざっと総理に近づいて、ぞろぞろそと併行しながら質問を投げかける、という取材手法だ。
総理へのぶら下がりは今年7月、小泉前総理がこれまで原則1日2回から1回にしたのを安倍総理も踏襲するとしたのに対し、記者会側は先月29日、1日2回の取材機会確保など5項目の要望を申し入れていたものだ。記者会側は「ゼロ回答」だっとして、「2回の原則を破ったのは官邸サイドだ。だから、ぶら下がりこだわらずに歩きながらでも質問をする」と、食い下がりのゲリラ戦に出ると宣言したわけだ。
でも、ゲリラ戦法を実施しても、おそらく安倍総理は口をつぐんだまま答えないだろうし、ヘタをするとSPに遮られてしまう。それでも記者会側は「国民の知る権利に応えるため」と意を決して突撃するのだろうか…。見方によっては、そのくらいの意気込みを記者は持って当然との評価もあるだろう。が、一方でどこかの国の自爆テロを想像しておぞましくもある。
前回の「メディアのツボ」でも指摘したように、われわれ読者や視聴者は別に「ぶら下がり」の回数にはこだわってはいない。むしろ、どのような総理と記者のやり取りがあったのか全容を知りたい。どこの記者がどんな質問をして、それに対して総理がどう答えたのか、ノーカット編集のものを見たい。それゆえ、記者には質問の回数ではなく、質問の鋭さで勝負してほしい。
仮にメディアの側が2回にこだわっている本音が夕刊と朝刊、あるいは昼ニュースと夜のニュースという紙面や時間枠に間に合わせるためにあるとすれば、それは「国民の知る権利」に名を借りたメディア側のご都合主義といわれても仕方がない。
⇒2日(月)夜・金沢の天気 くもり