★メディアのツボ-13-
あす15日は、おそらくインターネット放送がメディアの仲間入りをする記念すべき日になるだろう。
小泉政治とメディア③
USENの番組配信サービス「GyaO」はブロードバンドを活用し、番組コンテンツを提供スポンサー企業からのコマーシャル収入を得ることで、ユーザー(利用者)に無料で見せている。ビジネスモデルはテレビと同じだ。スタートは去年、すでに登録会員数1000万人を突破している。その「GyaO」が15日、東京都内で開催される21世紀臨調(「新しい日本をつくる国民会議」)主催の自民党総裁選の3候補者による公開討論会をノーカットで生中継する。総裁選まで5日と迫り、マニフェストを掲げての安部晋三、谷垣禎一、麻生太郎の3氏の激論が期待される。時間は午後3時から5時だが、中継の後はただちにアーカイブで放送(オンデマンド)するそうだ。
既存のマスメディア、特に新聞は妙なところがあって、政治を扱うメディアをメディアとして認めるところがある。いわば一目を置くのだ。逆に新聞の体裁を整えていても、政治を扱わない新聞はメディアとしては認めない。この意味でGyaOがようやくメディアとして認められることになる。
これは日本の新聞が政治部を中心にしていることと関係するかもしれない。明治時代の日本の新聞は言論(政論)型が中心の「大(おお)新聞」だった。それは当時の読者と言えば、地方ならば地主、都市ならば中産階級といった中央の政治に敏感な階層だったからだ。そして戦前は軍が、戦後は中央政界や官僚が情報を握ったため、どうしても政治部が新聞の中核となった。また、ローカル紙では県政が中心となった。いまでも政治の動きは扱いが大きい。
かつて新聞記者がテレビを見て、記事を書くということはありえなかった。ところが、田原総一朗氏が司会をするテレビ朝日の討論番組「サンデープロジェクト」が政治のホットなテーマを果敢に取り上げ、政治記者の見方が変わった。特に1993年の政治改革論議から細川内閣誕生のころはテレビから目が離せなくなった。そして、「非自民政権が生まれるよう報道せよ、と指示した」とする発言内容が問題となった、いわゆるテレビ朝日の椿貞良報道局長の発言はそれを象徴する出来事であった。新聞が椿発言を徹底して叩いたが、それは裏返しに言えば、新聞の政治部がテレビをメディアとして認めた証拠でもあった。
そしていまでは、「民放テレビ局の番組に出演した○○氏は…」の書き出しで始まる新聞記事をよく目にするし、当たり前のようになってしまった。
小泉政治の5年間でインターネットの存在が単なる通信という分野だけでなく、経済、文化などあらゆる分野で大きく占めるようになってきた。そして、来年夏の参院選からいよいよインターネットの選挙活動利用が解禁になる見通しだ。すなわち政治におけるインターネットの存在が大きくなる。これを契機に選挙のあり方が様変わりし、政治における世代交代を促すことにもなろう。それはメディアとしてのインターネットの存在が増すということにほかならない。(※写真はことし5月、金沢市の兼六園を散策する小泉総理)
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