2006年 7月 の投稿一覧

★昆虫をスキャンする

★昆虫をスキャンする

 夏といえば昆虫の季節である。金沢大学「角間の里山自然学校」の研究スタッフが、「すごいことできますよ」と見せてくれたのが昆虫写真。ご覧の通り、クワガタの裏と表がくっきりと写っている。まるで、図鑑のようである。さぞかし特殊なカメラ(スリットカメラなど)でと思ったがそうではない。これがなんと、市販のスキャナで撮った画像なのだ。

  スキャナなのでフタをするが、直に載せると虫が潰れてしまうので、フタとガラス面の間に薄手の雑誌など挟んで隙間をつくる。1㌢ほどの大きさならば十分に足の毛まで写るのである。小さなものをこうして撮影できるとなると格段に昆虫への理解も深まる。研究スタッフはさっそく「子どもたちの学習プログラムに取り入れましょう」と意欲満々である。

  電子レンジでつくる「押し花」にも目を見張ったが、スキャナにもこんな得意技があったとは正直驚きである。偶然発見したのではない。ネタ本がある。「養老孟司のデジタル昆虫図鑑」(日経BP社)である。この本では、養老氏がこの撮影方法を作家の山根一眞氏から教わったことを述べている。ひょっとして、「デジタル昆虫撮影」はこの夏のブームになるかもしれない。

  これだとお気に入りの昆虫標本をスキャナで撮って、A1サイズで拡大して研究室や部屋に飾っても、随分と癒されるかもしれない。こうなるデジタルアートと言えるかもしれない。

 ⇒10日(月)夜・金沢の天気  はれ

☆JanJanからの手紙

☆JanJanからの手紙

 きょう8日、出張から帰宅すると、「日本インターネット新聞社」から封書が届いていた。「何だろうインターネット新聞社って。まさか架空請求書じゃないだろうな」と少々疑念を持ちながら封を切った。すると「編集委員選賞」の受賞のお知らせと図書カード(1000円分)=写真=が同封されていた。これで日本インターネット新聞社はインターネット新聞サイト「JanJan」を運営する会社だったことに気づいた。

  JanJanにはたまに投稿している。私が勤める金沢大学のイベントや、地域の話題など。今回、編集委員選賞に選ばれたのは6月14日に投稿した「マエストロ岩城の死を悼む」である。選ばれた理由は、記事の内容より、むしろタイムリーに投稿したためではなかったかと考えている。指揮者・岩城宏之さんの死去は13日、投稿は翌日だった。

  ところで、インターネット新聞といえば、日本ではJanJanが独走している。ここにきて強力なライバルが出現した。韓国で大きな影響力を持つインターネット新聞「オーマイニュース」の日本版が8月下旬にも立ち上がる。5月の記者発表で、編集長には元毎日新聞記者でジャーナリストの鳥越俊太郎氏が就任することが明らかに。さらに、日本語版を発行する現地法人のオーマイニュース・インターナショナル(東京)は、70%を韓国のオーマイニュース、30%をソフトバンクが出資している。ソフトバンクという強力なバックが存在するのだ。

  そのライバル出現をかなり意識してか、今回届いた封書には、「ぜひご参加ください」と呼びかけるパンフレットも同封されていた。同社の会社概要によれば、代表取締役は竹内謙氏(前鎌倉市長、元朝日新聞編集員)。ソフト開発大手の「富士ソフト」会長で創業者の野沢宏氏が取締役に、同じく取締役に岩見隆夫氏(毎日新聞社特別顧問)らが名を連ねる。

  競争はよい意味でお互いのレベルを高める。図書カードをもらったからではないが、エールを送りたい。

⇒8日(土)夜・金沢の天気  あめ

★続・天を仰いで唾する…

★続・天を仰いで唾する…

 北朝鮮のミサイル発射が韓国でも相当、論議をよんでいるようだ。中には、「北」擁護の声を紹介している韓国紙もある。日本では見受けられない貴重な内容だ。以下、6日付の中央日報インターネット版(日本語)から引用する。

 ・・・「盧武鉉を愛する人々の会」の掲示板には「今回のミサイル発射実験は強大国間で犠牲になった不遇な民族歴史の憂憤を晴らす発射だった」という解釈もある。 この文に関連し「北朝鮮の(ミサイル)発射はそれほど責めることではない。政府の立場としては止むを得ないが、われわれは拍手を送るべき」という意見もあった。・・・

 上記は盧武鉉大統領支持派のインターネット掲示板の内容紹介であり、新聞社の論調ではない。ただ、ミサイル発射の対応について、小泉総理が主宰する国家安全保障会議が開かれたのは5日午前7時30分だったのに比べ、盧大統領が主宰する安保長官会議が開かれたのは同午前11時だった。この3時間半のタイムラグをめぐり、日ごろから「北」擁護の論陣を張っている盧大統領についてさまざな憶測を呼んでいる。たとえば、ミサイル発射と排他的経済水域(EEZ)での調査が同じ日だったことから、「盧大統領はミサイル発射の日を予め知っていて、調査船を竹島沖に向わせた。つまり南北合作の陽動作戦じゃないのか」といった疑念が日本側でもくすぶっているのだ。

  話は変わる。今回の北のミサイル発射でマスメディアでの露出が格段に多くなったのが安倍晋三官房長官だ。安倍氏は5日午前4時30分ごろ、首相官邸に一番乗りだった。内閣のスポークスマンとしてこの日は4回の記者会見に臨み、北を強く批判する声明を発表した。その毅然とした物言いの映像や、口をヘの字に閉ざした写真がマスメディアに頻繁に登場することになる。マスメディアが番組や紙面で緊張感を演出するには「安倍」は欠かせない素材となっているのである。

  言いたいことは一つ。自民党は5日の党総裁選管理委で、小泉総理の任期満了に伴う総裁選を「9月8日告示、20日投票」と決めた。告示まであと2カ月。ミサイル発射の衝撃は今後、国連安保理での北朝鮮非難決議の採択や経済制裁などをめぐり2カ月は持つだろう。ということは、総裁選レースは安倍氏がこのまま走り込んでゴールとなる。10月上旬には首班指名選挙、続く組閣と政治日程は組み立てられていく。

 ⇒6日(木)夜・金沢の天気  くもり

☆天を仰いで唾するのたとえ

☆天を仰いで唾するのたとえ

  誰がどう見ても、常識的に考えても、この2つの行為はおかしい。北朝鮮によるミサイル発射と、日本が主張する排他的経済水域(EEZ)での韓国の一方的な海洋調査のことである。きょう帰途のバスの中で、私の前の席に座っていた会社員らしき2人の男が交わしていた会話の中で、「南北(韓国と北朝鮮)共同の宣戦布告みたいなもんやろ」という言葉もあった。こうした「車内の声」は意外と世論なのである。

   この2つの行為が連動していないにしても、また意図がどうであろうと韓国が北朝鮮と同等だとみなされたことは韓国にとって大きなダメージだろう。先にこの「自在コラム」で韓国の土地バブルが崩壊寸前だと書いた。この動向はすでに日韓の懸案になっていて、ことし2月の日韓財務長官会議で、韓国に通貨危機が発生すれば日本が100億㌦を、日本に危機が生じれば韓国が50億㌦を支援することに合意している。 支援は、通貨危機にある相手国の通貨をドルに換える形式(通貨スワップ)で行われる。双方の危機に対応するというかたちをとっているが、実質的に韓国のデフォルト(破綻)に対する救済策なのである。しかし、今回の北朝鮮によるミサイル発射を受け、政府が新たな制裁措置を行う過程で南北の2つの行為が連動していたものとなれば、この100億㌦の合意は当然、ご破算だろう。

   しかも、北朝鮮はきょう5日未明の午前3時から8時かけての6発で国際世論が沸き立ったにもかかわらず、夕方午後5時20分にも中距離ミサイル1発を追加で発射している。国連安保理が日本時間の午後11時から緊急会合を開くと決めた以降もこうしてミサイルを発射し続けているのである。天を仰いで唾(つば)するとはこのことだろう。

    北朝鮮が巧妙だったは、アメリカの最大の祝祭日である独立記念日に「派手な花火」を打ち上げたことだ。 アメリカ時間の4日午後2時38分、フロリダのケープカナベラル基地から7人のクルーを載せた宇宙船「ディスカバリー号」が飛び立った。北朝鮮の最初のミサイル発射はアメリカ時間で午後2時32分だった。つまり、北朝鮮はディスカバリー号打ち上げ6分前に最初のミサイルを発射したのだ。これは意図的なものか、偶然か。アメリカがショックを受けているのはこの事実なのである。

  それにしても滑稽なことがある。このタイミングで共同通信など日本のマスメディアが北朝鮮を訪れている。きょう5日、横田めぐみさんら拉致被害者が一時居住していたとされる平壌市郊外の2カ所の招待所や、めぐみさんの「遺骨」を焼いたとする火葬場を見学した。真実が語られることのない北朝鮮で何を見ても聞いても果たして取材に値するのだろうか。北朝鮮がお膳立てした現場で撮ったものを、これがめぐみさんを焼いた火葬場の写真であると掲載しても、日本の読者は信じるだろうか。「さっさと戻って来い」。私ならそのひと言である。

 ⇒5日(水)夜・金沢の天気  あめ