★「ネット選挙」の読み方
この政治家のブログは実に分かりやすい。世耕弘成・参議員のことである。この人との面識はない。ただ、ブログの書き方がいかにも誠実で、信頼がおける。時々ブログ「世耕日記」をのぞくと、珍しい鉱物の原石にでもめぐりあったような発見がある。
以下、世耕氏のブログの10月26日付の抜粋である。「…選挙制度調査会へ移動。鳩山邦夫会長からインターネットを使った選挙運動に関するワーキングチームの設立について諮られ、了承。私が座長を務めることになった。いよいよ自民党として本格的な選挙運動でのネット解禁検討に入ることになる。・・・」
9月14日に最高裁が判断した「在外選挙権訴訟」の違憲判決を受けて、2007年の参院選では、インターネットの選挙利用が解禁になる見通し。自民党はすでに最高裁判決前の9月9日の党選挙制度調査会で「選挙におけるインタ-ネット利用に関する小委員会」(仮称)の設置を決めている。また、民主党も以前からインターネットの選挙利用解禁に積極的で、早ければ来年の通常国会にも公選法改正案が議員立法で提出される。07年夏の参院選は「ネット選挙」あるいは「ブログ選挙」となることは想像に難くない。
前述の世耕氏のブログは、「ネット選挙」のかなり具体的なところまで話が進んでいることを窺わせる。そして、自民党の選挙制度調査会ですでにワーキングチームがつくられ、その座長に世耕氏が就任したこと自体が興味深い。彼は先の総選挙では自民党の広報本部長代理として「コミュニケーション戦略チーム」を率いた、メディア対策の中心人物だ。その彼が注目されたのは、選挙公示前の8月25日にメールマガジンの発行者やブログのユーザー(ブロガー)33人と党幹部との懇親会を開いたことだった。新聞やテレビの既存メディアと同等に、ブロガーにも政党幹部との懇談の場を設けた。これは画期的だった。彼の視野にはインターネットはすでにメディアであるという位置づけができているのだ。
世耕氏はその柔軟な発想で07年参院選の「切り込み隊長」になるのは間違いない。その切り込みの「武器」がインターネットであり、ブログなのだ。きのう第三次小泉改造内閣が発足した。この顔ぶれを見ると、大方の予想では、「次ぎ」は安倍晋三だ。「党の新しい顔」と「新しい選挙対策の顔」がそれぞれ見えてきた。次回の国政選挙をこのような筋目で読んでみるもの面白い。
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