☆里山ハクビシン物語
きのう(10月18日)、金沢大学の五十周年記念館「角間の里」では、ちょっとした騒動があった。その騒動の主はハクビシンだ。
館の前を流れる角間川の橋の下で、学生が仕掛けたカゴに体長50㌢ほどのハクビシンがかかった。尾の長さも40㌢ほどある。仕掛けのエサはバナナだった。ハクビシンはこの雑食性がたたって、里に出てきてはナシやカキを食い荒らす。「鳥獣保護及び狩猟に関する法律」では狩猟獣にも指定されている。一昨年前、新型肺炎である重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)の感染源ではないかと疑われ、ジャコウネコ科のこのハクビンを食す習慣がある中国では一説に2万匹が捕殺されたとのニュースも流れたと記憶している。
「白鼻芯」の当て字がある通り、額から鼻にかけて白い線がある。よく動き回るので写真ではうまく撮影できなかったが、なかなか愛嬌のある顔をしている。調べてみると、これだけ大きく目立つ動物でありながら、国内に生息しているという最初の確実な報告は1945年の静岡県におけるものが最初で、それ以前の古文書での記載や化石の記録もない。でも北海道の奥尻島に生息しているとの報告もあり、日本の固有種なのか外来種なのかはっきりしてない。
ところで今回の捕獲は大学院生の研究でもある。ところが実際に捕獲したものの、どのように処置すればよいか四苦八苦だ。目的は発信機をつけることなのだが、動き回るハクビシンは難物だ。ようやく首に発信機をつけて放すことに成功した。今後、生息圏の調査をする。でも考え方によっては、発信機がついていれば他の場所で捕獲されても、学術調査の研究対象ということでまた放される可能性がある。つまり狩猟獣でありながら、「生存特権」を得たようなものだ。「大学の里山で幸運を得たハクビシンのセクセスストーリー」は言い過ぎか…。
⇒19日(水)朝・金沢の天気 はれ