☆実りは美しい
決して美しい棚田ではない。田も畦(あぜ)も草がぼうぼう。それでも収穫の喜びは格別である。
金沢大学の里山自然学校ではきのう(1日)、角間キャンパスの北谷(通称「キタダン」)の棚田で稲刈りがあった。当初、稲刈りは9月24日を予定していたが生育を少し待って1週間遅らせた。
普通の田とちょっと違っているのは冒頭の草ぼうぼうだ。3年前に市民ボランティア「里山メイト」の手で復元された棚田だ。田んぼは14枚あり、学術調査も実施されている。稲が植えられることでどのような昆虫や植物が棚田にやってくるのか、が研究テーマだ。土中や空中にトラップ(わな)を仕掛け調査が続けられてきた。だから、田植えの後はあえて草取りや農薬散布はせず、自然のままに保たれてきた。
刈り取られた稲は五十周年記念館「角間の里」脇の稲はざにかけ、天日干しする。359束をすべてかけ終えると、作業に携わった人たちからパチパチと拍手が自然にわき起こった。収穫の喜びである。田起こしから始め、苗床づくり、田植え、ようやく稲刈りにたどりついた達成感だ。そして「実りは美しい」という実感もわいた。
今回刈り取った稲はモチ米だ。それをどうするかと言うと、12月17日の「里山の収穫感謝祭」でもちつきをして皆で食べる。もちろん、ボランティアで参加してくれた市民や手伝ってくれた学生も招待する。収穫は皆で分かち合う。こんな美徳も農作業から自然と生まれたのであろう。田んぼに学ぶことは実に多い。
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