2005年 8月 21日の投稿一覧

☆選挙で終結する政治ドラマ

☆選挙で終結する政治ドラマ

   プロ野球を観戦したいと思い、昨夜、ナゴヤドーム(名古屋市)に出かけた。リーグ首位を狙う中日、対するのは勝率を5割に戻したい横浜だ。名古屋というアウエイ(遠征地)は強烈だ。主催者の発表で3万5400人のほとんどが中日応援である。このドームがどよめいたのが6回表。リードされていた横浜、小池が満塁ホームランを放つなど打者一巡の猛攻で8点を奪う逆転劇だった。「オレ流」落合監督も「長いシーズンは、勝ちゲームをひっくり返されることもある。いちいちとやかく言うことではない」と敗戦のコメントがけさの地元紙で載っていた。肝(はら)の据わった監督の言葉である。

    試合を見ながらふと思った。人々はなぜ野球に熱中しドームを埋めるほど集まるのか、と。私のような、どちらを応援するでもない観戦するだけの「観光客」は回数を重ねない。しかし、ファンにはいでたちからしてチーム名入りのTシャツで、「また応援に来たぞ」と意気込みがある。ファンと観光客の違いは、暴論と言われるかもしれないが、「野球のストーリー」というものが脳裏に刻まれているか否かの違いだろう。中日ファンならば、ベテラン立浪が今季初めてスタメン落ちしたのはなぜか、落合監督は打線にカンフル剤を打ったのか、などとストーリーの筋を読みながら観戦したに違いない。だから面白く、面白いからファンになる。

     今回の総選挙にも関心が高まっているのは、野球と同様、政治のストーリーも面白いからだ。小泉総理という人物に郵政民営化というシナリオがあり、参院での否決、衆院の解散という国民を巻き込んだリアリティーがある。そのシナリオが展開する中で、改革と抵抗勢力の攻防、解散という総理の大立ち回り、その後に刺客や怨念といった人間臭さが脚色され、政治がいつの間にかドラマになった。 しかも、一部の人しから知らないドラマではなく、国民的なドラマなのだ。小泉内閣の発足から4年半、そろそろこのドラマの結末が近づいてきたことを有権者が感じ、クライマックスを自分たちで見極めようとしているのではないか。ちなみにドラマの主演とプロデューサーは小泉総理である。

    だから総選挙というドームに人が「賛成」と「反対」のメガホンを持って大勢の人が集まってきている。そうでも説明しなければ説明できないほど、今回の総選挙は異常に盛り上がっている。どちらの応援団が多いかは、見たところ、ナゴヤドームの雰囲気に近い。あとは想像にお任せする。

⇒21日(日)午前・名古屋の天気  曇り