★世論調査と注目の選挙区

おそらく世論調査の担当は驚いているだろう。通常の国政選挙の世論調査でこれほど数字は動かない。調査ごとに、一つの政党にグングンと数字が集約されていくということは、有権者の関心が相当高まり、争点がはっきりしてきたという証左でもある。1989年参院選のマドンナ旋風と1990年総選挙の反消費税で議席を増やした社民の「おたかさんブーム」以来ではないか。世論調査の担当者は「ヤマは動く」と今回の総選挙の結果をすでに読み切っているに違いない。
世論調査の分析を踏まえ、各マスメディアの選挙担当は今後の番組や紙面構成を練っている。つまり、「注目の選挙区」「話題の選挙区」の選定である。重点的に記者を投入し、公示後に選挙区ルポなどを行う。これも大方決まったようなものではないか。何と言っても、郵政民営化反対のドンである亀井静香氏とITの風雲児ホリエモンこと堀江貴文氏の広島6区だろう。続いて「刺客」という言葉が踊った東京10区(小林興起氏VS小池百合子氏)、静岡7区(城内実氏VS片山さつき氏)、民営化反対のもう一人のドンであり「国民新党」代表の綿貫民輔氏の富山3区も注目を集めそうだ。
こうして見ると自民VS民主という構図で注目される選挙区は少ない。目立つのは衆院補選から4カ月後にまた同じ顔ぶれで戦うことになる自民・山崎拓氏VS民主・平田正源氏の福岡2区ぐらいではないか。
ここにきて総選挙を報道するマスメディアも争点あるいは対立軸を「郵政民営化に賛成か反対か」の一本に絞らざるを得ない状態になってる。年金で争っている選挙区はどこにあるのか、という具体的な話で詰めていくとそのような選挙区ははないからである。従って「注目の選挙区」の取材が進み報道されれば郵政民営化問題がさらにクローズアップされることになる。マスメディア側に意識はないものの、マスメディアに日ごろ触れている有権者が自然と誘導される「見えざる世論操作」ともえいる現象なのだ。
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