2005年 8月 12日の投稿一覧

☆ドン綿貫氏の選挙の行方

☆ドン綿貫氏の選挙の行方

  すさまじいばかりの「民営化反対派つぶし」、と思われて仕方がないくらいに小泉総理は対立候補の擁立に躍起である。これに対し「安政の大獄か。意見が違う者を全部抹殺する気か」(亀井静香氏)や、「ヘビのように執念深い」(綿貫民輔氏)と感情をむき出しにするのも理解できる。テレビの取材ならこの言葉はぜひほしいところだ。しかし、マスメディアの政治担当なら小泉総理の意図をこう読んでいるはずだ。「造反者」の選挙区にあえて対抗する候補者を出し、マスコミの「注目の選挙区」に仕立てる。これによって、郵政民営化に反対か賛成かの争点をさらにブラッシュアップする意図だろうと。東京10区の小林興起氏に対し小池百合子氏を、静岡7区の城内実氏に財務省の片山さつき氏をと話題性のある人物をカードとして次々と切っているのはこのためだ。

     ところで、小泉総理に一つのフライングがあった。きょう(12日)比例区南関東ブロックへの重複立候補はしない考えを党の選挙担当者に伝えた。総理はこれまで党神奈川県連の要請を受け入れ、比例と小選挙区の重複立候補の意向を表明していたが、公選法が禁じる事前運動に当たるため、総理が映った掲示済みの党のポスターを南関東地域からすべて撤去する必要があり取りやめにしたとか。公選法もさることながら、他県で「小泉」と書かかれた比例の無効票が続出しては損だ、との判断もあるようだ。

     先日、石川1区、馳浩(はせ・ひろし)氏の有力なサポーターと話をする機会があった。馳氏が退路を断って比例代表には重複せず、小選挙区のみ立候補をめざすと宣言したことに、ちょっと悩んでいた。「1万の票の差ですよ」と。前回2003年11月は投票率59%で民主の奥田建氏が99868票、馳氏97075票だった。両者が競った攻防のように思われるが、実は前回は馳氏の票には公明の支援票が8000票加算されていた。従って、2800票余りの差であるように見えても、馳氏にとっては10800票の差で敗れたに等しい。というのは、さらにその前回2000年6月は投票率64%で馳氏が107179票、奥田氏が100392票だった。この時は公明の支援票がなくても勝った。保守基盤の強い金沢で1万票余りを奪還するには時間もかかるがその時間が今回はないので、その有力サポーターは「無理せず、比例と重複したら…」と言う。しかし生真面目な馳氏のことである。前言を撤回せず名実ともに走り回って選挙戦を戦うだろう。

     それにしても郵政民営化反対のドン、綿貫民輔氏の富山3区の公認問題は結論が出ない。結局、自民県連は12日に県連役員が上京して、党本部に対し、比例を含め3人が公認申請している現状を報告することにした。これでは県連そのものが分裂すると窮状を訴えるためだ。しかし、党本部の武部幹事長は11日午前の会見でも都道府県連が郵政民営化法案に反対した議員の公認や推薦を申請してきても絶対に受け付けない考えを強調していて、富山県連との協議に党本部が応じるかどうか…。なぜなら、綿貫氏の対抗馬となりそうな萩山教厳氏(前回比例単独)は亀井派に所属しているが、郵政法案には賛成した。党本部とすれば、「敵陣」で踏ん張った人物である。萩山氏にこそぜひ小選挙区にくら替え出馬させ、綿貫氏に戦いを挑んでほしいところだろう。少々地味だが「注目の選挙区」となる。

     「対抗馬」だの「敵陣」だのと書いていると、まるで関が原の合戦前夜の時代小説でも書いているような気分になる。そして、ここ数日の「自在コラム」へのIPアクセス(訪問者数)が普段の2倍にもなっている。タイトルに「選挙」と入れているから検索で引っかかってくるのだろう。このブログサイトが混み合うくらい情報が行き交っている。かつての「草の根選挙」に代わる、日本における初めての「ブログ選挙」となるかもしれないと私は注目している。

⇒12日(金)午後・金沢の天気  雨