★退路断つ、選挙の人生模様

約400年前、ガリレオ・ガリレイは、天動説の中で地球は動くという地動説を発表して、有罪判決を受けました。そのとき、ガリレオは、「それでも地球は動く」と言ったそうです。今、国会では「郵政民営化は必要ない」という結論を出しました。「それでも郵政民営化は必要だ」と私は思います。私はもう一度国民の皆さんに聞いてみたいと思います。本当に郵便局の仕事は公務員でなければできないのか、民間人でやってはいけないのかと。
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今回の「解散・総選挙」を流れを見て、高校時代に世界史をかじった人ならこんなシーンをイメージしたかもしれない。1917年3月、食糧危機から暴動が起こり、ロシアの皇帝ニコライ2世が退位し、ロマノフ朝は滅亡する。翌4月16日にレーニンが亡命先スイスからペトログラードに帰還、4日後に「4月テーゼ」を発表し、「すべての権力を会議(ソビエト)へ」と声明を発する。11月、第2回全ロシア労働者・兵士ソヴィエト大会が開催され、革命に反対するメンシェビキと社会革命党右派は大会から退場した。ボルシェビキが圧倒的多数を占め、ソビエト権力の樹立が宣言された。ここで採択されたのが、地主による土地所有を廃止する「土地に関する布告」であった。レーニンを小泉総理、土地を郵政と置き換えて考えると面白い。あくまでも政治のダイナミズムを考察する上での一つのイメージである。理論づけではない。
今回の総選挙でさまざまな人間模様が交錯している。前回、石川1区で民主の奥田建氏に敗れ、比例代表で当選した自民の馳浩(はせ・ひろし)氏は、今回は比例代表の退路を絶って小選挙区一本で選挙を戦いたいと決意を述べた。前回敗れたとき、「自分は甘かった」と随分後悔していた。今回は、比例代表を担保することなく、小選挙区で勝負しようというのである。これはこれで覚悟が見えて潔い。逆に小泉総理は比例代表に疑問を投げかけ、これまで神奈川11区の小選挙区のみに立候補していた。今回は比例と重複出馬を決めたようだ。知名度が抜群の小泉氏が比例にも回れば大量得票が期待できる。信念ではなく実利を得る。
郵政民営化反対の頭目、綿貫民輔氏の富山3区は悩ましい。綿貫氏は自民県連の重鎮である。今回の比例の萩山教厳氏と綿貫氏がともに県連に公認申請している。党本部へも綿貫氏へも義理立てしなければならない県連の心境はいかばかりか。綿貫氏は78歳である。この年齢もまた悩ましい。
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