★プリンストン大生からの礼状


「拝啓 梅雨に入り、あじさいの花がきれいな季節になりました。先日、私達プリンストン・イン・石川プログラム(PII)の学生四十五人は金沢大学を訪れた間、色々お世話になりまして、どうも有難うございました。現在、我々PIIの学生は日本にまいりまして、日本語を学習したり、日本の社会や伝統的な文化を体験したりしております。皆お漬け物などの日本料理が大好きですけれども、その作り方を教えていただいたり。おもちつきをしたりしたのは金沢大学を訪ねて初めてでした。お陰様で、金沢大学の学生達と交流するのも、日本の文化を一層に深く理解するのも、できるようになりました。皆様のご健康やお幸せをお祈り致しております。 敬具」
文面通りに書いた。「てにをは」の間違いは許せる。短文ながら何の目的で来日し、日々どのような活動をしているのか、金沢大学での交流はどうだったのか、というポイントをきちんと押さえた文章である。手書きだから、緊張感も伴っただろう。
想像するに、「お世話になった方々にお礼状を出さなければ日本のルールに反するのではないか」と彼らが話し合い、誰かが叩き台となるテキストを書いて、何人かが精査し、そして一番「達筆な人」が書いた。そのような共同作業のプロセスを経て、この礼状は書かれたのであろう。その証拠に、たとえば、第一人称では「私達」「我々」「学生四十五人」の表現が使われ、言葉の繰り返しを見事に避けている。一人で書いた文面はどうしても言葉の繰り返しがあるものだ。おそらく、「言葉の繰り返し表現は避けよう、日本語の文章表現のルールに反するのではないか」との意見で手直しされた、そのような共同作業の痕跡が文面から読み取れる。だからどうだ、と言うことではもちろんない。
⇒20日(水)午前・金沢の天気 晴れ