2005年 5月 の投稿一覧

☆2011年問題がやって来る

☆2011年問題がやって来る

 近い将来、郵政民営化の問題より国民的な議論となると言われているのが、2011年7月までに全国2400万世帯に地上デジタル放送を普及させ、アナログ波を停止する国の計画です。何が議論となるかというと、今から6年後には現行のアナログ波を映らなくする計画なので、その時までにすべての家庭がデジタル対応のテレビに買い換えるか、既存のアナログテレビにSTB(セット・トップ・ボックス=外付けのデジタル放送チューナー)を取り付けなければならない。つまり、ある意味で視聴者に「金銭的負担」を強いることになるのです。「なぜ国策のためにテレビを買い替えなければならないのか」と、その時が迫ってくれば国民は疑問を投げかけることでしょう。これは文字通り「2011年問題」なのです。

 一方で、2011年7月までにデジタル放送が「あまねく普及」するのかという論議があります。デジタル放送を実施するテレビ業界自身が慎重な見方をしています。NHK放送研究所のアンケート調査によると、2011年までに全国すべての世帯(4800万)でデジタル放送が普及していると予想する放送事業者は全体の12%にすぎません。テレビを売る側の家電業界も21%です。それを裏付けるように、NHKの視聴者に対するアンケート調査でも高齢者ほど「デジタル放送を見たいとは思わない」傾向にあり、60代では49%にも上ります。確かに、「さらに複雑なリモコン操作を想像するだけでゾッする」という高齢者は私の身近にもいます。

 このままだと国のプランにズレが生じてくる可能性、つまり、アナログ波を停止する時期が2011年7月よりさらに遅れることが予想されます。仮に遅れるとなると、一番困るのは誰かというと、放送事業者(NHK、民放)なのです。2011年までデジタルとアナログの2波をサイマル放送しなければならない放送事業者にとって、人の配置や設備のメンテナンスだけでも莫大な出費です。さらに、データ放送や1セグメント放送(携帯端末向け放送)、EPG(多機能テレビ欄)などデジタル放送の新サービスでかなりの人とコストの投入が必要となってきます。本来ならさっさとアナログ波を停止してデジタル放送に集中したいというのがテレビ業界の本音でしょう。

 「2011年問題」が尾を引き完全デジタル化への移行が遅くなればそれだけテレビ業界の痛手は大きくなるのは自明で、その可能性が十分にあると言えます。早計かもしれませんが、テレビ業界が高齢者や低所得層の家庭のテレビに「善意でSTBをセットする」キャンペーンを張るぐらいのことをしなければ、「2011年問題」の国民の理解は得られないのではないかと考えます

★業務提携を考えるヒント

★業務提携を考えるヒント

 先日、家族で金沢市の焼肉店に行きました。冷麺がおいしい店なので去年も何回か通い、ことしに入って初めて。繁盛しているせいか、改装で席も増えていました。焼肉の新メニューもいくつかあり、この店の売りとなっている「七輪の炭火」で焼いて堪能しました。トイレもホテル並みにワインカラーを基調に改装されていて、清潔感が一気に高まっていました。

 面白いと思ったのはこのトイレでの新サービスです。写真のように、手洗いの隅に口臭を防ぐうがい液、衣服用の消臭スプレー、つまようじ、うがい用の使い捨てコップの4点がさりげなく置いてあるのです。私は別に必要性を感じなかったので使いませんでしたが、おそらく、2次会で別の人と会うのでニンニクのにおいを消したいとか、洋服についた焼肉のにおいを取りたいとか、人前でつまようじを使いたくないとか、いろいろなニーズがあってこのサービスが始まったのではないかと察しました。

 ここからが今回の本題です。いま模索が始まっているテレビメディアとインターネットの業務提携とは簡単に言えば、互いに補完しあって顧客の満足度を高めることではないかと思うのです。本筋はおいしい焼肉を食べる(テレビ)、テ-ブルではできない補完のサービスをする(インターネット)という図式です。たとえば、旅番組が流れ、関連サイトでは番組で紹介したコースの確認と予約ができるというのが初歩的な業務提携でしょう。

 これが高度になってくると、生のクイズ番組に視聴者が携帯電話のインターネットを通じて参加、スタジオではMC(司会者)が正解者の中から電子ルーレットで賞品の当選者を選び、その視聴者に電話をして喜びの声を聞く、さらに正解者には漏れなくクーポンが配信されるーといったきめの細かいレベルになります。このケースのポイントは①双方向で視聴者の満足度を高める②リアルタイムの演出で視聴者を一定に時間に集めることで視聴率を底堅くする③クーポンを携帯電話に配信することでスポンサーの満足度を高めるー。テレビとネットの業務提携で、視聴者、メディア側、スポンサーの3者の満足度が格段に上がるのです。すでにあるテレビ局で実用例がありますが、別の機会で…。