☆メディアのツボ-18-
この春に関東地方から転勤で金沢にやってきた男性会社員が当地の民放テレビを視聴した感想をこう述べてくれた。「金沢のテレビって、仏壇と和菓子、そしてパチンコのCMがやたらと多いね」と。
危うさはらむパチンコCM
これは去年、当地の新聞で掲載されたある民放テレビ局の3月期決算の記事。その中に、営業の収入の伸びを牽引している業種について書かれていて、「交通・レジャー、流通・小売り、自動車関連の広告収入が10%以上伸び」となっていた。金沢の視聴者ならおそらく想像がついたはずだ、「レジャー」が具体的に何を指すのかを…。パチンコのCMである。とくに、パチンコは「出玉、炸裂!」などと絶叫型のCMが多いので、見ている方が圧倒される。
「売上アップのためには、背に腹は代えられぬ」とローカル局はパチンコのCMを受け入れてきた。何しろローカルスポンサーの取り扱い高のランキングではパチンコの会社が常連で上位に入っている。極端に言えば、パチンコ業界を抜きにしてはローカルCMは成り立たないのである。そしてパチンコ業界では、自社で広告代理店を持つ会社まで現れた。こうした系列の広告代理店のことを業界では「ハウスエージェンシー」と呼んでいる。
ともあれ、パチンコ業界にすれば、ローカル限定の狭いマーケットでシェア争いに勝つにはテレビCMは欠かせない。そんな持ちつ持たれつの関係が続いているのである。
しかし、ローカルのテレビCMを牽引してきたパチンコ業界も曲がり角にある。くだんのテレビ局の3月期決算の記事が掲載された同じ日、金沢市内のパチンコ店経営の会社が事業を停止し、自己破産を準備中との記事が出ていた。負債は7億円。かつて、この店の過激なテレビCMを見たことがある。企業業績が回復し経済の循環がよくなると、人の足は「身近なレジャー」であるパチンコに向かわなくなる。自己破産のニュースは小さい扱いながらも、パチンコ業界だけでなくテレビ業界にも衝撃が走ったはずだ。
実は、テレビ局ともたれあっているように見えるパチンコ業界は「自主規制」という装置を持っている。過去に何度か、警察から「無用に射幸心をあおる」と自粛を求められると、すばやく自主規制に動いてきた。テレビCMがストップしてしまうのである。
パチンコ業界に依存しないローカルのCM構築はテレビ局の課題だが、妙手がなく悶々としているというのが現状だろう。これまで何度か「メディアのツボ」で取り上げてきた消費者金融(サラ金)のCMも同様である。サラ金の方は政府の金利制限が強まれば利益率は落ちるわけで自ずとテレビCMは徐々に落ちてくる。しかし、パチンコのCMは突然止まるかもしれない。ローカルテレビ局にとっては、危うさをはらんだCMなのである。
⇒28日(木)朝・金沢の天気 くもり
記事を要約すると、消費者金融「アコム」は地方銀行など10社と提携し、地銀が商品化している消費者ローンで滞納者が発生した場合、アコムが債務保証、つまり借り手の保証人として残金を肩代わりしている。その後、アコムが新たな債権者として借り手に日数に応じて年率17%から26%の遅延損害金を課しているという。アコムの遅延損害金は消費者契約法で認められた利率(14.6%)を上回っており、同法違反の疑いが強いとしている。
これには訳がある。サラ金の大手6社は①7時-9時、17時-22時はCM放送をしない②22時-24時は1エリア内で1社のCMの総量を15秒スポットに換算して100本とする-という内容の「放送自粛」をしている。だから時計の針が22時00分を超えるとどっとサラ金CMが流れ出すことになる。
河出文庫から出ている「浅間山荘事件の真実」を読んだ。元・日本テレビのアナウンサー、久能靖氏の著書だ。この本の見どころは、当時の報道陣が取材現場の視点で書いた初の本というだけでなく、記述が詳細なので、34年前のテレビ局が事件をどう伝えたのかを知る放送史上の貴重な資料であるという点だ。
USENの番組配信サービス「GyaO」はブロードバンドを活用し、番組コンテンツを提供スポンサー企業からのコマーシャル収入を得ることで、ユーザー(利用者)に無料で見せている。ビジネスモデルはテレビと同じだ。スタートは去年、すでに登録会員数1000万人を突破している。その「GyaO」が15日、東京都内で開催される21世紀臨調(「新しい日本をつくる国民会議」)主催の自民党総裁選の3候補者による公開討論会をノーカットで生中継する。総裁選まで5日と迫り、マニフェストを掲げての安部晋三、谷垣禎一、麻生太郎の3氏の激論が期待される。時間は午後3時から5時だが、中継の後はただちにアーカイブで放送(オンデマンド)するそうだ。
総理は一貫して「靖国は外交カードにはならない」と主張してきた。この意味が当初理解し難かった。ところが、小泉政権の5年間で日中をめぐる事件がはっきりと見えるようになった。たとえば東シナ海の日中中間線付近でのガス田の一方的な採掘、国連の安全保障理事会に日本の常任理事国入りに反対、今なお強化している反日教育(中国版ホロコースト博物館の各地での建設)、反日デモの意図的な煽動…などを冷静に観察した日本人は次のような印象を持っているのではないか。
結果がどうなれ、小泉総理はおそらく「無傷」で引退する歴代総理でも数少ない一人ではないか。前総理のように支持率が10数%という結果であえなく退場ということではない。小泉内閣支持率は各世論調査で今でも40-50%を維持している。なぜ高支持率を維持できているのだろうか。
国家VS国家の戦いではなく、アフガンで展開したようにテロ集団と国家の図式である。国際法にもとづく定義とか、もちろん戦争作戦でもなく、紛争あるいは掃討作戦という地域限定の争いである。その延長戦上にイラク攻撃もあった。実はこれならメディアは乗りやすい。国家と国家の争いならイスラエルとパレスチナのようにそれぞれの言い分がある。しかし、テロは絶対悪である。その理由はどうであれ報道しやすい。そのことに反発する世論が形成されないからである。
行政指導を行ったのは放送局の監督官庁である総務省だ。竹中大臣がTBSの社長を呼んで注意文書を手渡し、再発防止を要請した。大臣名の最も重い厳重注意だ。