☆地デジ、アメリカ流~下
日本のテレビ局はもっと地域に入り普及活動を
法律家であるミラー氏は、「日本の場合はテレビを受信することは権利」とらえられているが、アメリカでは受信するかしないかは個人の自由という受け止め方になる」と話す。隣地にビルが建って電波が受信できなければ、日本では民法上で権利として主張できる。アメリカの場合は、コモン・ロー(判例法)をルーツとしており、権利的な保護はなく、あくまでも受信者の責任と負担で、となる。これを地デジの現場に当てはめれば、アメリカでは困っている人を助けるという発想でボランティア活動が活発だった。一方日本では、政府による「新たな難視」を出さないためのあらゆる手が打たれ、自治体も手を差し伸べているが、アメリカのような地域のNPOや民間団体による支援の動きは目立っていない。日本では、「地デジは国が責任を持って行うもの」との雰囲気が強いからだ。
そうした日米の意識や文化の違いのツボを押さえると、アメリカと日本の地デジの課題と現状がよく見えてくる。2009年6月12日に地デジ移行を終えたアメリカでは、地デジ未対応の世帯は貧困層を中心にまだある。クーポン配布プログラムは7月末で受け付けを終えた。下院からは、アンテナ救済とクーポン延長の法案が出されたが、廃案に終わった。この時点で申し込みがないとすれば、後は「受信するかしないかは個人の自由」との解釈になる。では、テレビが完全に視聴できなくなったのかというとそうではない。デジタル化の対象外である、宗教団体や自治体、学校などが運営するLPTV(低出力のコミュニティー局)が地域にある。こうしたローカルな番組はアナログのテレビで視聴ができるのだ。
最後にミラー氏は、1年後に地デジ移行する日本へのアドバイスとして次のことを挙げた。「地デジ移行は官製のキャンペーンだけではなく、例えば大学に働きかけて、お年寄り宅の地デジ化をサポートする学生ボランティアの輪を広げるなど、もっと民間のチカラを活用すべきだ」と。また、テレビ局に対しては、「地デジはテレビの魅力やパワーを訴えるよいチャンスととらえて、テレビ局の人たち自身がもっと地域に入ってキャンペーンを繰り広げてはどうか」と提案し、講演を締めくくった。日本の地デジ移行では、行政と視聴者の中間で動く地域団体やNPO、ボランティアの存在が成否のカギとなるに違いない。
※写真はポートランドの学生による手作りのアンテナ。学生ボランティアとして高齢者宅などに設置した(ミラー氏提供)
⇒8日(土)朝・金沢の天気 はれ
ミラー氏を講師に招いた理由が2つある。1つ目は、FCCのスタッフとして、アメリカの西海岸(オレゴン州ポートランドなど)に出向き、地デジの広報活動や視聴者対応の現場にかかわってきたこと。2つ目は、 マンスフィールドフェローシップ・プログラム(連邦政府職員の日本研修)の一員として、2004年から2006年の足掛け3年、 総務省(総合通信基盤局電波部)や経済産業省、知的財産高等裁判所などで知見を広め、日本の電波行政やコンテンツ政策にも明るいこと。ちなみに、私はミラー氏の金沢でのプログラム(2005年)で知己を得た。
現実に目を向けてみよう。地デジの世帯普及率は、昨年3月の総務省の調査では、薄型テレビなどのデジタル対応受信機の世帯普及率は83.8%だ。これ以降で、テレビの買い替えが進んでいるとしても90%に届いているかどうか。さらに、ビル陰による受信障害が約319万世帯、山間部のデジタル波が届かない地域は72万世帯にも上る。さらに、地デジに対応しないVHFアンテナしかない世帯は大都市圏を中心に220万世帯から460万世帯もあるとされる。これら問題が解決されないと、「7月24日」に仮に10%の世帯が取り残されたとして、全国約5千万世帯のうち500万世帯の「テレビ難民」が発生する。
世界から嘲笑が聞こえる。「ネットを政治や選挙に活用できなくて、何がICT(情報通信技術)先進国だ、笑わせるな」と。アメリカでも韓国でも、「YouTube選挙」と言われるくらいに選挙でネット動画が盛んに利用されている。一方、日本の選挙で唯一の動画ツールである政見放送などは視聴率数%の低レベルだ。税金を無駄遣いするなと言いたくなる。
ムベは、いただいた能登半島の珠洲市でオンベと呼ばれている。インターネットで方言名を調べていると、グベ(長崎県諫早地方)、フユビ(島根県隠岐郡)などいろいろある。ニホンザルが好んで食べる、とある。「むべ」の語源を示唆するようなページもあった。面白いので、以下、引用して紹介する。
それにしても、「戦争」を伝えるメディアは内容もすさまじい。以下は、各紙の引用だ。
朝日新聞は、ことし9月21日付の紙面で大阪地検特捜部の主任検事による押収資料改ざん事件をスクープした。この特ダネが評価され、平山氏は今月15日に開かれた第63回新聞大会(東京)で、取材班を代表して新聞協会賞を受賞した。学生は200人、私自身も多少緊張して耳を傾けた。
「不明100歳超 279人に」「京阪神3市に集中」との見出しがきょう13日付の朝日新聞に躍った。朝日新聞社が集計した、不明100歳超279人のうち221人が京阪神、つまり京都府、大阪府、兵庫県の3自治体なのだ。また、東北や北陸など26県は1人もいなかった。人口が1300万人の東京都が13人なので、人口比としては京阪神は異常に多いことになる。すると、印象として「行政の怠慢」「年金詐取」「老人への虐待死」などいろいろと考えてしまう。もし私が京阪神に住んでいたら、思いはもっと複雑だろう。
おくやみ欄に目を通すといろいろなことが脳裏をよぎる。若い人の死亡が散見される。20代、30代、40代での死亡は、その死亡原因を想像してしまう。病死か、交通事故死か、あるいは自殺か、と。その喪主が父母だったりすると心中をはかるに忍びない。遺族の言葉に「やさしい子でした」とあると病死か、「精一杯頑張りました」とあると自殺かとつい思いをめぐらしてしまう。喪主が妻だと、妻子の生活や将来を他人ながらつい案じてしまう。
沖縄の地デジカ大作戦は、那覇市で実施された。イベントには「沖縄県地デ~ジ支援し隊」をはじめ、沖縄県の放送局各局のキャラクターたちも参加し、うちわを配布するなどして地デジ化をアピール。また、舞踊集団がパフォーマンスを披露し、イベントを盛り上げたという。このまま地デジ完全移行の日が近付くと、テレビの購入や工事などが同時期に殺到し、環境整備が遅れる可能性があり、イベントでは早めの地デジ対応を県民に呼び掛けたのは言うまでもない。